2016年9月8日木曜日

【随時更新 吃音Q&A】人事採用担当者の方へ 吃音者雇用ガイドライン 働く吃音者への合理的配慮とはなにか? 吃音者を採用する場合はどうしたらよいのか? 吃音者採用事例 雇用事例について

こちらから引き継ぎました
http://stutteringperson.blogspot.jp/2015/08/blog-post.html

この記事の読了目安は20分です。
吃音者への合理的配慮については■5番、■6番あたりから読み進めてください。

2016年9月現在
吃音は徐々にではありますが、社会全体に認知が広がっているのではないかと思います。
フジテレビの4月スタート月9ドラマ「ラヴソング」が放送されたこと、吃音当事者団体の変化、吃音ラジオという吃音当事者が吃りながら放送するラジオ、毎日新聞社が積極的に吃音について取材報道する、吃音ドクターこと菊池医師の情報発信、日本吃音・流暢性障害学会が発足し今年で4回目の大会を開催などなど―。吃音という言葉が世の中に広まるようになってきているのです。

そもそもの発端は2014年7月3日の厚生労働省管轄である国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターが「吃音は発達障害の1つである」と発達障害の定義を説明するページに吃音を明記したことからはじまりました。この情報の掲載はある意味勘違いにも繋がりました。2014年に吃音が発達障害に指定されたという勘違いです。これは間違いで2005年の発達障害者支援法施行時からずっと含まれています。この法律がどのような理由なのか「見える化」されていませんでした。


この投稿記事は、吃音者の雇用事例、吃音者採用・雇用ハウツー、吃音者雇用ガイドライン。吃音者の雇用促進マニュアルとして読者の方(特に人事採用担当者、障害者雇用担当者、就労移行支援事業所職員)の力になればと思っています。この記事は新しい情報があればその都度更新します。
吃音者の障害者雇用や合理的配慮についてもっと詳細に知りたい場合はコチラより問い合わせをください。http://kitsuonkenkyuguideline.jimdo.com/%E3%81%8A%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/


■1.この投稿記事を読む前に、吃音業界の真実を知らねばならない。とくに官民・企業団体の人事採用担当者、障害者雇用担当者、就労移行支援事業所職員は必ず知っておいてほしい


・【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html


■2.行政職員、民間企業・団体、その他、人事採用担当部門、総務部門などの職員の方へ
上のリンクは読んでもらえましたか?

残念ながら吃音者、吃音業界は不毛な争いをしています。聴覚障害者の人々が考え方の違いにより対立していること、発達障害当事者会が意見の違いや喧嘩により分裂することと同じ状態になっています。吃音者も障害者認定絶対反対派、吃音があるが程度が軽い・なんとか吃音を隠しているから障害者認定消極派、吃音があって学校に行くのも働くことも困っているから障害者認定して障害者手帳や合理的配慮が必要派というように大きく3つの派閥が存在しています。

吃音当事者団体によっては『完全な障害者認定反対派』の団体があるため、関わると面倒なことになります。例えば2016年8月17日毎日新聞社朝刊の一面トップに吃音への差別や困っていることが報道されました。しかしその内容と毎日新聞社と担当記者、アンケートに協力した吃音者団体を痛烈に批判し間違っていると表明する吃音者団体が存在するのです。とくにその内容で恐ろしいのは「障害者はかわいそう」だと子ども達に言わせている点です。障害はかわいそう。この気持がすでにありとあらゆる障害者や社会的障壁がある人より吃音者は優れているという優生思想があるのだと辟易します。吃音が障害ではない。頭のオカシイ精神障害者とは違うんだ。発達障害者とは異なる。と主義主張を開陳するのは言論の自由ですが、困っている人はずっと困っていれば良い。というのも人間の文明社会では異常でしょう。使える選択肢、社会保障を利用することを否定するのは理解に苦しみます。どのような選択をするかは当事者が決めることです。


このような実例を見ると、行政や民間企業において、吃音者を採用する場合は『障害受容のできている、障害者手帳を所持している、障害認定反対派ではない穏健な吃音者』を採用することが前提になると筆者は推測します。毎日新聞の報道を糾弾する叩く団体は今後近い将来、吃音者を対象とした就労移行支援事業所や吃音者を障害者雇用した官民の団体が事例として集まってくれば、次にその関係各所に刃を向けて攻撃することは予想できます。

もちろん吃音や発達障害がある人でも、どのような社会的障壁がある人でも、障害者手帳を所持しておらず法定雇用率に計算できなくとも、ウチの団体は社会的障壁のある人を雇用するよという先進的な考えを持った篤志家な経営者もいると思います。これはこれでとてもありがたいことです。本来なら障害者手帳がなくとも全ての社会的障壁のある人が働ける社会になればいいのですが…。雇用する側としては仕事に配慮が必要ならば障害者手帳を持っていてほしいというのが本音でしょう。

日本社会の現実として、障害や難病がある人はなかなか一般枠で働くことはできません。一般枠でも双方の条件が一致すれば問題はありません。障害者の就労移行支援事業所もその訓練の中でこのように利用者に説明しています。就労移行支援事業所としては現実も知っているためです。

例えば

1.障害を完全に隠すことができるなら、一般枠で応募しなさい。障害者手帳を持っていても言わなければ問題ありません。エントリーシートや履歴書に●●障害や苦手なことがあるとは書いてはいけませんし、カミングアウトは絶対にしてはいけません。それが理解できているならば一般枠での就職活動をしてください。その方法も教えます。と。

一方で

2.もし障害についてカミングアウトする場合はこのように説明がなされます。
一般枠と障害者枠での両方で就職活動しなさい。そして現実を体験しなさい。
一般枠というのは雇用する側が想定した給与分100%以上の仕事をすることができる人が働きます。障害者枠とは障害や病気により、雇用する側が想定した仕事をこなすことができない、仕事の一部免除や苦手な仕事の完全免除、転居なし、通勤時間を前後させる、障害に応じた合理的配慮などなどをするために見返りとして障害者手帳・法定雇用率に計算できることが必要だからです。
と説明します。


精神障害、発達障害を扱う就労移行支援事業所は特に1と2の説明を強くします。なぜこのような説明をするのかというと、就労移行支援事業所の職員は雇用する側の希望、本音を知っているからです。

人事採用担当者の本音。雇用する側、企業側の本音ですね。カミングアウトする場合は、
配慮しなければいけない場合は障害者手帳や難病の証明を持っていて法定雇用率として計算したいという本音です。

例えば2015年12月内閣府の障害者週間セミナーでこのようなセミナーがありました。ここで説明されたことは、精神障害者雇用をするときは必ず「就労移行支援事業所に通所している者」、「ジョブコーチなど相談できる状態がある者」を雇用すべきと説明しています。このセミナーの場合精神障害者と限定していましたが、発達障害者も共通する部分があると思います。

さらに2016年12月の内閣府障害者週間連続セミナーでも同様のことが言われました。
「発達障害のある人は、障害受容のできている人、病院、就労移行支援事業所とつながりがある人、相談できる支援者がいる人」を採用の際に考えるようにという説明でした。
http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/h28shukan/event.html#seminar

精神障害者雇用は今! ~精神障害者の職域拡大の可能性について~
http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/h27shukan/event.html#forum
一方、平成25年度に厚生労働省が実施した障害者雇用実態調査では、精神障害者の雇用上の課題として、「会社内に適当な仕事があるか」と回答した企業が77.2%と最も多く、依然、企業において精神障害者の職務の創出・設定に苦慮している状況がうかがえる。
そこで、専門的な職種が主となる医療機関において、創意工夫して新たな職務で精神障害者を雇用する取組の紹介、そのノウハウなどについてのディスカッションを行い、精神障害者の職域拡大の可能性等について参加者とともに考える。
主催:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
所在地:〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2
電話:043-213-6203
FAX:043-213-6556
URL:http://www.jeed.or.jp/
平成25年6月に成立した改正障害者雇用促進法により精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられたこと等を契機に、雇用されている精神障害者数は大きく伸びているところである。



■3.吃音当事者は『吃音をカミングアウトすれば一般枠採用されると思っている』当事者も存在する 雇用する側と吃音当事者側の考え方の違い?

吃音当事者側の視点です。
吃音当事者は派閥に関係なく、吃音をカミングアウトすれば一般枠で採用される! と思っている人もいます。これは実際そうなのですが、吃音があっても雇用する側が吃音は仕事に関係ない、結果で評価する。という主義主張であれば成立します。しかし雇用する側が想定した給与分100%の仕事のうち90%くらいしかこなせないかもしれません。

この『吃音をカミングアウトすれば一般枠で採用されるはず』という考えは性善説的です。正直に自分の気持ちを相手に伝えれば、まっすぐに正直にありのままの自分をエントリーシートや履歴書、面接でカミングアウトしても、『吃音だけで評価する会社』は存在しないと思っているのです。吃音があっても一般枠で採用されて仕事をする機会を入手できると思っているのです。

しかし、世の中、全てがそうではありません。全てが善人とは限りません。吃音があれば雇用する側からすれば想定した給与分に見合った勤務ができないと判断し『貴意に添えない結果』など不採用通知を届けることになるでしょう。やはり、吃音がある=うまく話せない → 出来ない仕事がある。お客様や取引先に何か言われるのではないだろうか? と考えている雇用側の本音もあります。

また雇用する側の本音として、障害者の法定雇用率を満たせるなら、障害者手帳を持っていてほしいという考えもあります。カミングアウトしてきた吃音者に障害者枠での応募をアドバイスする場合もあります。もちろん障害者手帳を持っていない、吃音があっても一般枠で問題ないという雇用する側の人もいますので、これは雇用する側の主義主張次第ということになります。

2016年現在。発達障害者や精神障害者を採用時に見極める方法、発見するテストを販売しているビジネスモデルが存在しています。人事採用担当者ならご存知のことだと思います。自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群や自閉症、広汎性発達障害)、ADHDと言われる注意欠如多動性障害、LDと言われる学習障害の特徴を発見する方法が人事業界では出回っています。またそもそもDSM-4やDSM-5と言った精神疾患診断の手引きという医学書が一般人も購入できますし、医師免許がなくとも『その障害の特徴』をなんとなく見極めることはできるのかもしれません。

吃音も2016年現在でこそ、『吃音は発達障害者支援法に定義されている障害』ということになっています。が、そもそも吃音の場合は一般に言われる発達障害のように見た目ではあまりわからないわけではありません。吃音者が面接やグループディスカッションや集団面接のときに採用する側がカミングアウトしていない吃音者の状態を『あれ?この人喋り方変だな。うーんコミュニケーション能力低いから不採用方向でチェックっと』と判断することも、今まであったかもしれません。


例えば防衛省の防衛省訓令第一号があります。航空身体検査に関する訓令です。ここでは「不合格疾患等」という項目に一般に言われる自閉症などの発達障害、吃音や気分(感情)障害や既往歴が不合格の基準として明記されています。海幕衛第8931号は海上自衛隊の身体検査です。こちらでも不合格疾患として「精神と行動の障害」、「吃音」が明記されています。陸上自衛隊達第 36―1号は陸上自衛隊の身体検査です。こちらでは具体的に吃音という項目はありませんが「脳神経・精神」の検査項目があります。

このような検査を見れば、行政職員でさえこのような基準があるなら、民間でも存在するはずだ、いや表向き存在しないとしていても裏ではあるはずだろうと思います。2013年に北海道で自殺した吃音者も警察官になりたいという夢があったとのことでしたが、どうしても面接で落ちてしまうことを繰り返したそうです。警察内部の採用活動基準については不明ですが、自衛隊でNGなら警察や消防でも難しいのではないかと思いました。

他にもこのような研究報告が独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表されています。
吃音で困っていても、適切なソーシャルワークや、支援機関につながることができず、困難な状況に陥っているようです。

・若者サポートステーションなどに訪れるクライエントの中に吃音がある人がいる。
このような人は就職困難者である
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2013/123.html

・大学4年生に未診断の発達障害??、および吃音の学生がいるがどうしたらいいのだろうか?
障害受容はどうなっているのか? 
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/156.html


年配の吃音者、とりわけ、今現在の「就職活動」というものが存在しない時代に就職できている人はラッキーな人です。吃音者は一般に言われる発達障害者のように一部にとても頭の良い人がいます。IQが高いといえばいいでしょうか。難関大学、国公立大学を卒業している人もいるので、履歴書のみで採用、出身校の先輩の紹介で採用、などがあったのです。年配の吃音者はよく若い吃音者に「私は吃音があっても就職できた、東証一部上場企業だ。結婚もした。子どももいる。自動車も買った! マイホームも買った! 子どもは全員大学卒業させた! キミもやればできる!」などアドバイスをしてしまいますが。その当時は発達障害や吃音の概念はあまり浸透していないという好条件も重なったのだと思います。ゆえに学歴で採用活動側、雇用する側は判断していた場合もあります。

年配の吃音者は自分が吃音ありつつも就職できたことを誇りに思っているので、現在の若者たちがなぜ就職できないのか?なんていうことは関係ないのです。

吃音の障害者認定反対派なら『吃音をカミングアウトしなさい。エントリーシートにも履歴書にも吃音のことを明記しなさい』と危機意識のカケラもないアドバイスをして悦に入る場合もあります。この手のアドバイスは2016年現在ではもはや通用しないのですが…。
逆に考えれば『自分の地位を脅かすかもしれない若い吃音者に就職してほしくない。同じ会社に入社してほしくない』など下心もあるのかもしれません。


吃音のある若者が『吃音をカミングアウトすれば一般枠採用されると思っている』理由には性善説を信じている場合もありますが、他にもこのような理由があります。障害者枠だと給与が安い、出世しない、スキルアップができない、正社員採用されないというのをデメリットだと思っていることもあります。給与が安ければ恋愛もできない結婚もできない。幸せな生活ができない。自分の両親や親類縁者と同レベルの生活水準を維持できない…。などを不安に思っている人もいます。

吃音のある子どもの父母や祖父母が『自分の職場で吃音者が採用されることは無い』と知っている場合は特に厳しく子どもの吃音に接します。なんとか治そうとしたり、病院や民間療法などなどありとあらゆる手段を使うかもしれません。親御さんの気持ちはわかります。それは社会が吃音者に冷たい、吃音があると就職や結婚が不利、ということを知っているのです。親御さんも障害者や社会的障壁のある人に冷たい接し方をしていたこともあるかもしれません。

吃音のある子どものお父さんお母さん、家族のみなさん、親戚のみなさん。ぜひ、ご自身が働いている職場の人事採用担当、人事部の人に『吃音者が就職活動で私たちの団体に応募してきたら採用する?しない?障害者枠なら採用する?』と質問してみればよいでしょう。その答えが現在の日本社会の真実です。

筆者自身も若い頃は吃音の障害者認定反対派の教典に心酔しており、就職活動の際は吃音を堂々とカミングアウトしていましたが。結果は全て不採用でした。最初の書類選考で落ちます。障害者認定反対派の人の堂々と吃れ、吃音を治してはいけない、吃音は障害ではないということが通用するのは本当にごく一部の限られた吃音者だけのものだとやっと目が覚めたのです。


■4.吃音は吃音のみの人が存在する一方で、吃音と(自閉症スペクトラム、ADHD、LD、チック・トゥレットなど)が併存している人もいます

吃音は神経発達障害とDSM-5で分類されるようになりました。
この1つの理由として、その他の発達障害と併存している事例が報告されているからです。

こちらのリンクを見てください。
 吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/57/1/57_7/_article/-char/ja/

http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


■5. それでは吃音者の採用 吃音者雇用ガイドラインはどうなるか? 吃音の就労支援、合理的配慮とは?

まず、これは採用する側、雇用する側の主義主張を明確にする必要があります。
人事採用担当と経営者がよく考えて明確にする必要があります。

吃音は現在、精神障害者保健福祉手帳の対象になっています。2年更新の手帳です。
ごく一部、吃音の状態が重度な『家族でないと意思疎通できない』レベルの人であれば身体障害者手帳の4級を持っています。

4番で説明したように、吃音だけではなく、吃音とその他の発達障害を持っている吃音者もいます。これも難しいところです。


これらの情報や吃音者の派閥抗争を知ったうえで考えを明確にする必要があります。雇用する側は吃音者をどのようにとらえるのか?が重要になります。


1.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、仕事の成果を出すならば一般枠で働いてほしい。一般枠で働く機会を与える。法定雇用率には興味ない。

2.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、手帳を取得して障害者枠で働いてほしい。法定雇用率に計算したいのが本音。

3.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、障害者手帳を持っていれば、一般枠でも障害者枠でもどちらでもよい。法定雇用率に計算したいのが本音。

4.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、手帳を取得して障害者枠で働いてほしい。しかし仕事は責任ある仕事、出世できるようにする。正社員雇用する・いつかは正社員にする。スキルアップ・キャリアアップの機会を与える。



この4つでしょうか。
まずこの部分を明確にする必要があります。雇用する側としては少なくとも『障害受容のできている吃音者』を採用したいと思うはずです。派閥抗争をしているトラブルメーカーよりもそうではない温厚で穏健な人が良いと考えるはずです。そして発達障害者支援法やICD-10やDSM-5に定義されている吃音という障害であれば障害者手帳を持っていることがデフォルトであると考えるかもしれません。

この雇用する側のホンネ、障害者雇用業界のホンネを理解していない吃音者が多いことも事実です…。


吃音者を雇用する、吃音者を採用する、吃音者と一緒に働く。
これには企業団体がどのような立ち位置になるか?が重要になります。

1.「吃音丸出し。いついかなる時でも常に吃りまくっていてもいい。聞き手は吃音者の話を待つ。ちゃんと待って聞く」
2.「吃音があるなら、吃りそうなら発話発語以外の使用を認める。そのほうが聞き手も時間効率が良いから。常に吃るのは正直勘弁してほしい。」
3.「吃音があっても、どんな職務を遂行してもいい・接客も放送も営業などお客さんと接することもなんでもやっていい」
4.「吃音があるなら、話すこと以外の仕事をしてほしい。無理して話さなくていい。接客や営業や放送などお客さんと接する仕事にこだわらないでほしい」

吃音者側には吃ることは権利であり。どもらせないようにするのは差別だという人も一部にいます。
上の1から4、この条件にさらに法定雇用率に計算したいために障害者手帳の所持を希望する、希望しないという前提もあることになります。



えっ、でも、吃音者側だけの希望を聞かないといけないの?

良い質問ですね。
そうです。そもそも吃音に限らずですが、合理的配慮とは過度な過重なものはしなくてもよいということになります。

平等であるならば、合理的配慮される側の希望、合理的配慮を提供する側の希望ということ、両方が必要です。

吃音は「吃る」障害でもありますが。「相手の時間を奪う、多く消費させる障害」でもあります。吃音者が吃りまくって話しているのを最後まで相手は待たないといけないのか?吃りまくっている吃音者に話を丁寧に聞くたびに、1分、2分、3分と時間が消費されていきます。これが1年間の出勤日と計算すれば、年間吃り時間により、これだけ時間が多く消費されたということにもなります。

となると吃音者とコミュニケーションをする聞き手、相手、お客さんなども「希望」がでてきますよね。無理に発話発語してコミュニケーションしなくてよい。チャットでも筆談でもメールでも、丁寧な言葉遣いではなくていい、マニュアル通り話さなくていいから・・・と希望が出てきます。

合理的配慮とはバランス、話し合い、お互いの歩み寄り、譲り合い、落とし所を考えることにもなるのです。

■6. 吃音者への合理的配慮とは具体的に何をすればいいのか?
吃音は話すこと、発話することの障害です。(ただし発話器官に障害があるのではなく、発話しろと命令する脳神経の障害・神経発達ネットワークの障害です。)
例えば、挨拶ができない、自分の名前や社名が言えない、他人の名前を言えない、マニュアル通りの決められた順番で話せない、言いやすい言葉を発話するために敬語を使わない場合もある。などなどが考えられます。

(ただ、これだけ色々な合理的配慮を職場で、採用側、雇用する側が行う可能性があるとなると障害者手帳所持は必須だと思いますが……)

(吃音の障害者認定反対派の人は、吃る権利があると考えているので、一年間365日ありとあらゆる場所で吃りまくるので、そのありのままの状態を一般雇用枠で認めることになります…)



◆吃音者に想定できる、考えられる合理的配慮一覧

・声をだして挨拶ができない場合は笑顔や会釈でも良いとする。

・電話応対を一部免除する。全部免除する。社内の電話のみ応対させる。外部との電話応対は免除する。

・社内アナウンスや店内アナウンス、放送の業務を免除する。

・落語家の桂文福さんのように歌いながらメロディに乗せて職場内やお客様のところで話してよいと認める。吃音者は歌いながら、メロディに合わせて話すと吃らない人がとても多いため。

・落語家の桂文福さんのように、会話の中でギャグを織り交ぜたり、舌打ちをして滑稽な音を鳴らして職務遂行をしても、それを許容する。許す。怒らない。吃音者の道化キャラで働くことを認める。

・社内の朝礼、全体集会、全体挨拶、飲み会の挨拶、式典の挨拶などで口頭発表させることや社訓の暗唱や社内用語暗唱などを免除する。

・吃音者には営業以外の仕事をしてもらう。他の障害者のように社内の仕事をその分切り出す。その仕事をしてもらう。

・吃音者は吃ること避けるため、言いやすい言葉に言い換えを行う。「赤いボールペン」→「レッドなボールペン」、「トイレ」→「お手洗い」、「昨日(きのう)」→「昨日(さくじつ)」、「水曜日」→「火曜日の次の日」、「新聞紙」→「ニュースペーパー」などと言い換えることがあります。

それを不自然だと笑わない。指摘しない。

・吃音で有名な芸能人やアナウンサーや総理大臣や王族がいるからといって、あなたの目の前にいる吃音者はそうではない場合もあると認識を改めること。XXさんがこうやって成功したからあなたもやりなさいと意味不明のアドバイスをやめる。障害が個性となる職業のイスは非常に限られている。

・筆談を利用できるようにする。

・吃音者は吃ることを避けるため、言いやすい言葉を発話する。場合によって敬語などを使わずにタメ口になってしまうことがある。それを認める。許す。怒らない。

・営業や電話応対を認めるにしても、必ず初回に外部やお客様に接するときに、同僚や上司が「弊社のXXは吃音という障害があるので。話し方が不思議に思われるかもしれませんが仕事には影響がないので気にしないでほしい」と説明する。

→とくに職場の同僚や上司が一度、吃音当事者とファーストコンタクトする相手に説明するステップは重要です。吃音当事者自分の言葉で説明するのは大切ですが、同僚や上司のワンクッションがあるかないかでは相手側の受け止め方も変化します。

・電話応対の場合 自動音声システムでを利用する。「この電話は吃音者、吃る人が架電しています」、「この電話は吃音者、吃る人が受電しています」こういったアナウンスも必要になるでしょう。

・口頭での報告連絡相談よりも筆談以外に手書きメモやEメールやチャットの利用を認める。コミュニケーションアプリの利用を認める。

・吃音者は人それぞれであるが、話すときに、唾液を飛ばしてしまうことがあるので、マスクの着用を認める。

・工場や調理場など安全確認が重要視される職場で、「後ろ通ります」、「声出し安全確認作業」ができない場合ブザーやホイッスルなど他の手段を考える。

・飲食店やサービス業であれば、いきなりステーキの従業員が利用している透明マスクの着用を認める。(これは吃音者の中に吃るとき唾液を飛散させる場合もあるためである)

・飲食店やサービス業以外では普通の顔が隠れるマスクの着用を認める。吃音者は吃る時の顔を見られたくない人もいます。口がまがる。唇が震える。唇が尖る。口元が痙攣する。唾液を飛ばしてしまう。白目をむいてしまう。視線が合わない。などなど吃るときの外見上の影響がでる当事者も存在するためです。

・飲食店やサービス業ではお店の入り口などに、「吃音者が働いています」と告知すること。聴覚障害者の洋菓子店のように吃音者が働いていることを説明しましょう。タッチパネル方式だと聴覚障害者も吃音障害者も助かりますね。

・吃音者がホウレンソウや会話をするときに、吃ってしまうため他の人よりも時間が倍近く必要だとしても、ゆっくり余裕をもってその話を聞く。

・吃音者の言葉を先取りしない。吃音者の主義主張によっては最後まで言い切るまで待ってほしい人もいます。逆に話している途中で、XXXのことを言いたいの?と言われたほうが話しやすい人もいます。 ※このあたりは当事者とよく話し合う


★医療従事者、コメディカルの吃音者はどのような合理的配慮? 学校教員や弁護士、警察官や消防士なども同様
吃音当事者の中には、医師、言語聴覚士、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、介護士、臨床心理士など心理系、の仕事をしている当事者もいます。

医療従事者、コメディカルの吃音者にはどうしても言い換えのできない言葉を多く使用する場面が想定できます。人名や薬品名、患者さんクライエントさんとの面接や心理検査、言語療法、結果の説明などがたくさんあります。とくに心理検査や言語療法などの場合は一言一句間違わないで実行できなければいけません。

心理検査や言語療法などで患者さんに「私のあとに続けて話して下さい。マネしてください」などと説明して、吃る部分まで真似をされてしまうという事例も発生しています。事前に患者さん、クライエントさんへの吃音の説明が必要になります。この場合も同僚や上司がワンクッション説明を入れることが重要です。

また、吃音を持った当事者が医療従事者など、警察官、自衛隊、消防士、国家資格や専門資格などを目指す場合。吃音当事者学生を受け入れる学校、大学や専門学校等は、研修所、実習先にも合理的配慮を求めるときに助けてあげてください。




以上のように様々な合理的配慮が今のところ考えつきます。
話すこと発話することの配慮だけが必要です。それ以外はおそらく大丈夫だと思います。

※しかしながら、吃音当事者には吃音だけではなく、自閉症スペクトラムやADHDなどの一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、この場合はその発達障害特性にも配慮をする必要もあるかもしれません…。

何れにせよ、当事者と雇用する側がその都度、その人その人ごとにカスタマイズ就労について話し合い考えることがとても重要なステップになります。吃音はその人それぞれにより症状が異なります。また吃音当事者の主義主張によっては合理的配慮をたくさんされるよりも、吃ったまま仕事をしても怒らない環境、笑われない環境を希望する場合もあります。一律にこうすれば良いという正解はありません。雇用する側の譲歩できる部分、当事者側の希望する部分。これらをじっくり話し合い落とし所を見つけてお互いが納得できる気持よく仕事ができるようになることが重要です。

まずはスモールステップアップで吃音者の雇用事例が日本全国で集まっていくことを期待します。その際は吃音の障害者認定反対派の妨害工作もあるかもしれませんが気にせず冷静な対応をしましょう。

■7. 就労移行支援事業所は吃音者とどのように向き合うか?
2014年7月から突如として吃音が発達障害者支援法に含まれていると定義されていますと発表があり―。しかし吃音以外の発達障害の業界では吃音が発達障害者支援法に含まれていることはそれ以前から知られていたようです。就労移行支援事業所の職員でもそれを理解している人はいるかもしれません。

さて、今後は、発達障害者の就労移行支援に吃音者が入るようになります。就労移行支援事業所によっては吃音者が利用申請をしてくる場合もあるでしょう。成人しても吃音が治らずに継続する吃音者は全人口の1%に世界中に存在していると言われています。吃音者への就労支援は一般に言われる発達障害を併存している場合もありますので、その部分については既存のメニューで対応ができるでしょう。

問題なのは就労移行支援事業所内で、吃音をどのように扱うのかです。これは6番でも説明したように合理的配慮を提供するのか?などを考えなければいけないでしょう。

吃音当事者が吃音だけではなく一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、その部分については現在のノウハウが利用できます。

その他にも就労移行支援事業所が営業や案内やセミナーを企業団体向けに行うときに、企業側、雇用する側の吃音者への本音をどれだけ聞き出せるか?ということも重要です。そしてその本音を吃音者や吃音当事者団体に気付いてもらうことも必要です。しかしながら吃音者は障害受容ができていない場合も多く時間がかかる場合もあります。かなりのミスマッチが起こることが想像されます。

■8. 障害者手帳を持っていないのに合理的配慮を宣言された場合、雇用する側は不採用を決断する 採用したが失敗した場合 事案紹介 事例紹介
※全ての事例や事案がそうだとは限りません



1.
「吃音者の人が障害者手帳を持っていないのに。合理的配慮をしてくれ」と言ってきたので、面接では合理的配慮をしたが、後日不採用通知を出したということだ。理由は障害者手帳を持っていないから、障害受容ができていないから、他の障害者に何か悪影響を及ぼすような気がしたという。

一度非公式に「障害者手帳のコピーを今度持参してください」と伝えたが「吃音は障害ではありません。個性です。仕事上問題はありません。私は吃音で障害者手帳を取る予定はありません。」と自信満々に言われたため、『あぁ。これが講演会や勉強会でよく出てくる障害受容ができていない人か。入社後もトラブル起こしそうだし、すでに働いている障害者に個別の障害についてあれこれ説教し始めそうだから不採用』という結論にいたったという。

2.
カミングアウトしてきた吃音者が面接に来たので、障害者手帳を持っていれば、障害者枠で採用できると水面下で伝えたが、応じなかった。吃音は障害じゃない!と反論してきた。採用は見送った。

「私の団体では、吃音のある人とも一緒に働きたい。とは思っている。でも障害者手帳を持っていない吃音者が本当にいるとは思わなかった。残念だ」という。

合理的配慮をする以上。法定雇用率に計算できること、という部分については吃音者側にも理解してほしいのだけど残念だという。

3.
障害者手帳を持っているが、不採用になった吃音者。
障害者手帳を持っている吃音者が障害者枠で応募してきた事案。
合理的配慮の希望と法定雇用率の問題はクリアできたが、吃音者側が「障害者枠の仕事じゃなくて。一般と同じ仕事がしたい。なぜ接客や営業をしてはいけないのですか?なぜ喋る仕事をしてはいけないのですか?吃音者に対する差別ですか?機会を奪うなんてズルい。吃っていても総理大臣やアナウンサーや医者や営業がいる。接客や営業だって経験したい」と面接段階で意見を述べていたため、不採用通知を出したという事案。

これも吃音者側と雇用する側のみミスマッチです。
現在、吃音業界、吃音当事者団体では、東証一部上場企業や国家公務員、地方公務員に就職して活躍する人もいるため。成功した吃音者がやっている仕事や職務を遂行したい!という若い学生、新卒就活をする吃音学生が多いことと条件が合わないという事案。

たしかに発達障害という概念が世界に生まれる前は「ちょっとあの人変だよね」という人は就職できていたが、2017年現在の就職活動は件の障害者発見試験や面接、グループ面接、グループ討論、などに「発達障害傾向のある人」をなんとかしてあぶり出す手法が販売されているため、一般枠で発達障害者が隠して応募してもなかなか突破するのは難しい。ましてや吃れば一発でバレる吃音者にはハードルが高い。

そこで障害者枠で就活している吃音者が出てきたが。吃音のある先輩達、パイオニア達がやってきたこと、同じ仕事をしたい。機会を提供しないのは差別だ!という雇用する側が用意した仕事をしたくない!差別だ!と衝突につながる事案が発生したという。

雇用する側としては無理に話す仕事はしなくていいので、社内に限り電話や通信はまかせるけど、積極的に表舞台では活躍しなくていい。もっと他にも仕事があるから、こっちを一緒に頑張っていきたいと吃音者側に伝えても。吃音者側が拒否する、その仕事しかさせないのは差別だと反論してきたという事案だ。雇用する側としてもトラブルになりそうな人は最初から雇用したくないというのだ。たとえ障害者手帳を持っていたとしてもだ。

4.
採用後の事例。雇用側が吃音だけ配慮する予定で採用計画を考えており無事入社した吃音者。しかし吃音以外に、発達障害があることがわかり雇用側が「採用ミス」だと社内で一致した事例。吃音者は社内ニート扱い。

採用時に吃音者は吃音のことしかカミングアウトしておらず、雇用側も吃音だけだと思っていた。しかし、発話発語のコミュニケーションよりも空気や気持ち、雰囲気、ホウレンソウが原因となる問題が多発。時間配分や時間を守ること、ケアレスミスなども多い。独自ルールが社内ルールよりも優先されるなどのトラブルも。

吃音以外に広汎性発達障害、ADHDがあることが後に判明。雇用側は採用時に見抜けなかったのかと問題に発展。

吃音者は純粋吃音だけではないと障害者の人事採用、障害者の就労移行支援など支援者や就職エージェントなどの間で支援困難事例として現在情報共有されている。

5.
採用後の事例。せっかく障害者枠で採用した新卒吃音者が4ヶ月で辞めた。
障害者枠で採用した新卒学生の吃音者。意欲も高く採用したが。入社の後の新人研修期間、組織の人事制度、給与面、キャリアアッププランなどに不満があったらしい。吃音ではない発達障害の新卒学生は黙々と仕事を続けているのを見ると吃音の人は今後、採用対象から外すという判断をせざるを得ないことになる。発達障害の新卒学生は就労移行支援事業所に行っていた経緯もあるので支援者が間にいることが影響しているのかとも反省。「不安」や「希望」などを聞いてくれる支援者のワンクッションがここまで大切だったということが判明した残念な事案。

障害者枠で入った新卒学生がたった4ヶ月で自分勝手に辞めていった事案は、今後吃音者の就職活動全般に、後輩吃音者にとても不利になるだろう。採用にもコストがあるということを吃音者側が理解しないとならないだろう。また、吃音者も就労移行支援事業所経由でないと採用が難しくなるだろう。自分勝手に辞めてしまう衝動性からADHDもあるのではないかとも思われる。吃音者の採用をお考えの企業様、公的機関様に悪い印象になったことは間違いない。

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