2016年11月28日月曜日

2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった

◆筆者感想 

2016年11月27日、東京大学駒場祭の最終日でした。
東京大学スタタリングという学生サークルでは吃音をテーマにした演劇がリーディング形式で披露されました。今回の演劇は、もっともっと100回でも上演してほしいです。
吃音業界のことをこんなにコンパクトに短時間に伝えることができる脚本はこの世にありません。東大スタタリングの今回の劇は問題提起としてわかりやすいです。この脚本は実在の人物に着想を得て創作している内容だと思われますので、非常にリアリティのある作品です。



今回の演劇のテーマは「医療従事者やソーシャルワーカーが見守り役として参加しない、当事者しかいないセルフヘルプグループが如何にして価値観の違いを受け入れず、排除し、腐敗し、崩壊するのか?」という第三者が参加しない当事者会、ソーシャルワークの失敗事例を扱ったことなのかなと筆者は感じました。

この演劇をみた一般の人も、「この当事者会ちょっと怖い。絶対参加したくない」と感じたはずです。医療従事者からみれば「うわー相当こじらせている当事者会だな。今までソーシャルワーカーが参加していないのかな?これはできれば遠慮したい。呼ばれても行きたくない」と感じるレベルです。

劇中にて吃音は障害か障害ではないか?という「内に秘めたる優生思想を問う」シーンも演じられます。これも医療従事者や支援者、他の障害者や難病や社会的障壁のある人が見れば、「うわわああ。吃音者…うわわああ」となんともいえない感情を持つでしょう。

吃音が障害か障害ではないか?
一冊の書籍があります。 『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ | 神戸 金史』これを読んでほしいと思います。内に秘めたる優生思想や相模原殺傷事件のことが扱われています。



東大スタタリングの詳細はコチラ
http://ut-stuttering.wixsite.com/start

毎日新聞社でも事前記事がありました
http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00e/040/223000c


毎日新聞記事によると

 昨春発足したサークルの名前は、英語で「どもること」を意味するstuttering(スタタリング)からつけた。代表で、今回の脚本を書いた山田舜也さん(25)=同大大学院修士2年=は「吃音は、当事者によって公的支援が必要な障害と考える人がいる一方、個性や話し方の特徴と受け止める人もいる。当事者同士が意見の食い違いで衝突することも少なくないので、今回の脚本は『対話』にこだわった」と解説。山田さんは「対話を通じて人間関係が変化する描写を心がけた。演劇を通じ、吃音者を取り巻く複雑な現実を社会に伝えたい」と話す。

と書かれていました。
東大スタタリング演劇の本番、まさにその通りの内容でした。


吃音者の主義主張の違い、派閥抗争があることが演劇の中でも、それぞれの当事者や支援者の演技という形で表現されました。

この演劇の最重要点は「医療従事者やソーシャルワーカーなど国家資格などを持った支援者が参加しないセルフヘルプグループ、当事者団体はどのように悪い方向へどんどん陥って行き、不利益・不都合なことが起きるのか」という部分でしょう。

今回の演劇を精神医療・発達障害医療に携わる医師、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士などが観劇すれば「あまりの見事な教科書に掲載されるレベルの失敗事例」だと認識し観劇中でもウズウズ、ソワソワするような内容でした。吃音業界、吃音当事者を支援する場合は困難事例が多いのだろうと認識するでしょう。

東京大学と言えば、熊谷さん、綾屋さんが携わる「おとえもじて」という発達障害者の当事者研究も存在します。ここでは、安心安全のためのルールが決められていること、言いっ放し、聞きっぱなしの手法、どうしても悪い事態になりそうなら運営スタッフがそれを食い止めるということもあります。一般に言われる発達障害者の支援者も今回の東大スタタリングの演劇を見れば、「吃音業界は相当病んでいる。支援困難事例だ。」と感想を持つでしょう。

おとえもじて
http://otoemojite.com/


吃音業界とは長い長い間、本当に当事者のみの世界で成立していました。

例えば、第三者視点の医療従事者やソーシャルワークをできる人が吃音者の当事者会に参加していれば普段は最小限のサポートをしつつ、意見の衝突や考えの押し付け合いや人格攻撃がはじまりそうな場合、吃音は障害ではない、障害者はそもそも可哀想な存在で吃音者は可哀想な障害者ではないと他の障害者を見下す思想、さらに発展した考えや主義主張の対立に空中戦、それが発展し派閥抗争になり、ハルノートが提出され当事者団体の分裂になる前にそれを食い止めて、安心安全な当事者会、居場所を守ったはずです。

吃音業界はこれが無かったのです。
本当に医療従事者やソーシャルワークができる人が、所属しない当事者だけの団体というのは歪みや不利益や不都合なことが起こる、どんどん狭い世界で物事や価値観が共有される、日本赤軍や連合赤軍などと似ているかもしれませんね。吃音業界は。

もしも、吃音当事者団体に医療従事者やソーシャルワーカーが参加し、運営にもご意見番として携わっていれば、2005年の発達障害者支援法を吃音者が見落とすということもなかったでしょうし。仮に吃音が発達障害者支援法に入っていることを隠そうとする動きがあったとしても、それに対抗するパワーもあったでしょう。

少なくとも2014年7月3日に吃音が発達障害者支援法に入っていました!なんて寝耳に水、青天の霹靂な状況にはならなかったはずですし、吃音を苦にした自殺もひきこもりを発生しなかったはずです。「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnet」という発達障害者の連合体にも、2005年から2012年?まで吃音業界の団体である「NPO法人 全国ことばを育む会」が正会員として参加した過去、「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」も2007?2008?から現在に至るまで参加している現実があるのだから吃音が発達障害者支援法に含まれていたことは、2005年から知ることができた人はいたわけです。それでも2016年現在でも、吃音が発達障害者支援法に入っていたなんてことは初耳だというテイで責任から逃れようとしている方もいますが。自責の念で潰れることはないのでしょうか?後悔の気持ちはないのでしょうか?と心配になります。



東京大学の学生の視点だと、瞬時に吃音業界の闇を見抜けるのでしょうか?
筆者がこれを認識するのにX年かかっているのに、東大スタタリングの方々はもっと短期間にその闇に気づいたわけです。東京大学の学生は本当に優秀だと思いました。次回は吃音業界を当事者研究する!をテーマにしてほしいなと個人的に感じました。

この深い深い吃音業界の闇に切り込んでくれた東京大学スタタリングという学生サークルには心から感謝の気持ちを表明します。ありがとうございました。

今後も東京大学という多種多様な価値観、多種多様な学部、吃音以外の障害や社会的障壁がある学生や教員などの視点、東京大学という高度な知識を持った学生や教員からの視点などにより吃音業界に意見表明をしてくれることを祈ります。外部から指摘されないと吃音業界は気付くことができない状態に現在陥っているからです。




◆東大スタタリング 「ことばがひらかれるとき」 詳細
(記憶違いがあるかもしれません ご容赦願います)

●会場の待ち時間と終了時のBGMは藤原さくらさん

●場面設定
駒場 夢言会(ムゲンカイ)という吃音当事者団体の例会

●登場人物
・ミッキーさん(本名はヤマネ) 男性 夢言会初参加という設定
初参加の吃音者なので「吃音業界タブー」を知らないので、どんどん爆弾を投下する。ボンバーマン。

・トバさん 副会長 男性 会の運営に徹しているよう見えた。

・コイワさん 毎朝新聞の記者 中国出身で吃音当事者 男性 
吃音者にもいろいろな選択肢があるべきだと考えている人。障害者手帳など社会保障制度のことを訴える。中国出身のため、ダブルマイノリティ。

・サシマさん 介護職員 男性 吃音当事者団体で社会的支援の運動をしていたが、吃音業界の体質に辟易しているよう すでに吃音当事者団体からの卒業を心に決めている 
自閉症スペクトラムっぽいキャラ設定 他人の会話に急に割り込んでくる 受動型ASDのようで仕事を断れないタイプ 終盤で癇癪を起こす 会からも離脱?

・ヤギさん 自営業でスペインバル経営者 初代会長 男性 
吃音が障害ではなく個性だと思っている。
最初からコイワさんとは仲が悪い? 喫煙所で挨拶をしなかった場面がある。無視している?
吃音者の中に実在するギャグ発言を得意とするタイプ そのキャラが処世術なのか? 本当の性格なのかは不明

・トガワさん 吃音当事者ではない 父親が吃音者 それに影響され吃音を研究する立場 女性
吃音を研究する立場であり、吃音治療や改善のために実験協力や専門職としての助言もする


・イヌイシさん とても吃音が重度な人 
サシマさんが癇癪を起こして会場から退出する際に サシマさんへ感謝の気持ちを伝える サシマ
さんがいたからこそ―。と。


●演劇内容

―――当事者が集まりだす

どこかの施設?で駒場夢言会という当事者グループ(セルフヘルプグループ)の例会をしている。

最初の場面、トバさん。初参加のミッキーさんがやってくる。

お互いに自己紹介で吃る部分があるとあるあるネタを披露。

その後、コイワさんがやってくる。

コイワさんは新聞記者でありながら、自身の吃音について情報発信をしている。

つい最近あった、吃音者団体の全国大会も取材報道したという。


サシマさんがやってくる。

タバコを吸っていたそうだ。喫煙所の場所をコイワさんに教える。

トバさんは今日は飲み会もあるよとミッキーさんに伝える。サシマさんも参加しますよねと誘う。


サシマさんは今日は引き継ぎのための書類を持ってきただけ、あとは君たちにまかせるよ的な言い回し。

そこにヤギさんがやってくる。コイワさんとすれ違いませんでしたか?喫煙所にいたでしょう?と言われるが『知らないフリ』をする。

ヤギさんは「ディズニーシー」が発話できないため、他の人に言わせる。(吃音者によくあるネタ)

サシマさんはもう当時者会から卒業するような言い方をする。トバさんが次だという。



トガワさんがやってくる。(トガワさんはこのまま特に発言なし)

こないだの全国大会でも分科会を担当したようだ。


コイワさんが喫煙所から戻ってくる、ヤギさんが気づかなかったという説明をするが、微妙な空気になっている。




―――当事者が集まったので会が開催

それぞれの自己紹介、近況報告。

コイワさんから自己紹介

先日は吃音の記事に協力ありがとうございましたとトバさんから感謝される。

吃音が全国紙に報道されるなんてすごいよねとトバさんが持ち上げて。全国紙の1面に乗るなんて初めてなんじゃないの?と

(するといきなり会話に割り込むサシマさん ASDっぽい)

サシマ『いやかなり前にもあったよ40年くらい前だよ』 

サシマさんの発言を華麗なスルーで、コイワさんが発言を続ける。




イヌイシさんの自己紹介

イヌイシさんは吃音が重度な設定。

かなり自己紹介に時間がかかる。

32歳なので、結婚を考えています。こないだ街コンに参加してみました。

ぜんぜん喋ることができなかったとのこと。




トガワさんの自己紹介

トガワさんは吃音者ではない。大学で吃音の研究をしている。

全国大会でも分科会を担当したとか。



トバさんの自己紹介

現在は休職中?求職中?のトバさん。夢言会の副会長。

先日、トガワさんの実験協力をしてきたとのこと。



ヤギさんの自己紹介

お店で注文を取るときに困ることがあるけどたいしたことない。



サシマさんの自己紹介

夢言会の活動を後輩に引き継ぐという。



ミッキーさんの自己紹介

初参加の人。大学四年生で、11月なのに就職が決まらないという。

書類選考は通過するが面接の後に不採用通知がくるそう。

みなさんはどうしているのか聞きたい。



―――トバさんがトイレにいくため 仕切りをヤギさんに託し フリートークに

ミッキーさんが、いつもこんな風にはじまるのですか?と質問

ヤギさんがこういうのを自助グループというんだと。


ミッキーさんはすごくうれしいです。自分以外にも同じ悩みをもった仲間がいることに安心しましたという。

ヤギさんは安心して吃りなさいよという。

トガワさんみたいな当事者ではない専門家もいるけどと余計な事を口走る。



ミッキーさんは、トガワさんはどのような研究をしているのですか?と質問

トガワさんは理工学部で吃音者の脳の研究をしているという。

父が吃音でそれが吃音に興味をもったキッカケだという。吃音とはどのような感じなのか知りたいという。



コイワさんが当事者でない人が吃音を知るのは難しいと会話に割り込む。

吃ることを読者に伝えるのは難しいという。

世間から理解されないので、まずは世間に知ってもらうことが大事だという。



サシマさんが知ってもらってそれでどうするわけ?知ってもらったら吃音者の悩みって解決するものなの?


まぁまぁサシマくんもっと和やかにとヤギさんが発言。




ミッキーさんはトガワさんが吃音の研究しているので、吃音の治し方、服薬とかあるのかと質問する。



毎度おなじみサシマさん。
吃音は治らないよ。言語訓練、認知行動療法、XXXXXXXX方法など(筆者 聞き取り不能)、確実に完全に治る方法は存在しないのに専門家はお金を俺たちから巻き上げるんだよ。


ミッキーさんは、じゃあ吃音はもう治らないのかという。


トガワさんは、確実に治る方法はなく、子どものときに治らないと大人は難しい。確実に全ての人に効果あるものはないが、症状の軽減や悩みの軽減はできるという。


コイワさんがここで社会的支援や障害者手帳制度について説明をする。社会保障制度について述べる。

もちろんお約束のサシマさんが食いついてくる。


ミッキーさんは、吃音は障害者だったんですか??と驚く。



またサシマさん。
サシマさんは、そういうヤギさんは吃音についてどう思うのか?という。

ヤギさんは吃音は個性で治すべきものでもないという。



ミッキーさんは、吃音で困ることはたくさんあるのにどうして吃音を治すべきでないものと思えるようになるのですか?という。



―――トバさんが戻ってくる

トバさんが、ミッキーさんに話し合いたいテーマはありますか?と聞く。

ミッキーさんは「吃音は治すべきか 治さないべきか」を知りたいという。


トバさんはいきなりすごいテーマ持ってきたね。いいね話し合おうと承認。


サシマさんは職場からタイミングよく電話がかかってきて、一時離席。

その間にミッキーさんからサシマさんは何かあったんですか?(いろいろ噛み付いてくるから)と質問


サシマさんの話をヤギさんトバさんがはじめる。

サシマさんは頑張り過ぎちゃう人なんだ。
仕事をなんでも引き受けてしまうサシマさん。事務や調整の仕事をしているという。
社会的支援の仕事もしていたという。ヤギさんトバさんがサシマさんに感謝の気持ちと、なんでもやってもらっていて悪かったと後悔の気持ちを述べる。

(筆者が、サシマさんは、「断る力」がない、周囲に依頼されると断れない受動型ASDっぽいと感じたところ。最初は頑張って仕事をこなしていても、なぜ自分だけこんなにしているんだと気付くと癇癪を起こす周囲に敵意を向ける。または仕事そのものが能力をオーバーして癇癪を起こすより前にぶっ倒れて、うつ病や適応障害になるパターンもある。最悪、入院になることも)





サシマさんが戻ってくる。

サシマさんが言うには「施設の利用者が亡くなった」がよくあることなので、すぐに向かう必要はないとはなしている。



―――改めてミッキーさんの質問に戻る

ミッキーさんは吃音を治したくないとヤギさんが発言したこと、どうしたらその考えにたどり着くのか知りたい。


ヤギさんは言う。
吃音は今のところ、治す方法はないし原因も不明なんだ。
それを治したい治したいと思うのは辛いことだと思う。
自分を否定することだと思うんだ。


ミッキーさんは言う。
じゃあ治す方法がないから、寧ろ治らないほうがいいって思うことにしているんですか?


ヤギさんは言う。
いやーその。どういうふうにいえばいいのかな。
例えば、ハゲとか顔がよくないとかコンプレックスになったりすこともある。
でも、だからといってみんながみんな整形手術やカツラを利用することはない。
受け入れる人もいるじゃん。


ミッキーさんは言う。
吃音はハゲや不細工と同じようなものだということですか?


ヤギさんは言う。
いや、そういうとちょっと乱暴な言い方だけど。
どうしようもないコンプレックスって開き直るしかないじゃない。
受け入れるっていうか、気にしないっていうのが1番なんじゃないのかな。
吃音は気にしなくなるよと症状も軽くなると言うし。


ミッキーさんは言う。
吃音は気にしなくなると、軽くなる?改善するのですか?


トガワさんは言う。
吃音はどうしても治さなければいけない、吃音が劣ったものだと、吃音に対する否定的な認知や感情を修正することで、吃音を改善する方法はたしかにありますね。


ちょっといいですか?? コイワさんは言う。
私はヤギさんの意見に全く共感できません。
私は吃音により学校でも会社でも対人関係でものすごい苦労をしてきました。
だから吃音は個性だという考え方は受け入れられません。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


ヤギさんは言う。
そういわれるとちょっと厳しいなぁ。

コイワさんは言う。
人とうまくコミュニケーションしたいというのは当たり前の気持ちです。
研究者の人には、ぜひ、吃音を治す方法も研究してほしいと思います。

また、吃音者が望めば、誰でも障害者手帳を取得できるようにこれからも社会的な運動をはじめなければならないと考えています。



―――吃音は障害なのか?
ミッキーさんから質問

吃音は障害なのですか?
たしかに吃音は治したい。治したいと思うのは当たり前の気持ち。
でも、吃音者が障害者というのは何か変な感じがする。



トバさん。
なるほど、吃音が障害か障害ではないか? どうなんですかトガワさん。


トガワさんは言う。
うーんそうですね。
難しいですね。
もちろん当事者が障害か個性かとらえるのはその人の自由です。
ただ、実際はどこかで線引をしないと医療や社会保障の対象にならない。
医学的な見地だと流暢性障害という分類されています。
そういった意味では障害に含まれると思います。



コイワさんは言う。
吃音は障害ですよ。
吃音で障害者手帳を持っている人もいます。
でも、それはとても限られています。その状況は改善しないといけません。
手帳がないと支援をすぐに受けられませんからね。


ミッキーさんは言う。
でも支援、支援って言いますけど。
吃音って別に車椅子とか点字ブロックが必要なわけじゃないし。
どう助けてほしいかわからない…。


コイワさんは言う。
いま、1番問題なのは新卒の就職活動です。
新卒採用でもっとも重視されるのはコミュニケーション能力です。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
だから吃音は障害だと受け入れて、障害者雇用枠を利用できる選択肢を増やさないといけない。


ヤギさんは言う。
あのーちょっといい?
吃音があるからって必ずしもコミュニケーション能力が低いとはいえないんじゃない?
田中角栄だって吃音をもっていて、吃りながらめちゃくちゃ演説がうまい人もいるし。


コイワさんは言う。
そういう人はそれでいいですよ。
私が言っているのは社会生活で困っている人のことです。
障害者手帳を取得できるようにしておかないといけないですよ。

ヤギさんは言う。
でもさ、手帳を取得することではなくて、吃音を持ちながらどうやって前向きに生きていくことのほうが大事だと思う―。



ミッキーさんは言う。
症状が軽い人はどうすればいいですか?見られてしまう人はどうしたらいいですか?
僕はいま話せていますけど。
手帳とかは無理だと思うのです。
障害者手帳を取得できない人はどうしたらいいですか?


トバさん。
サシマさん詳しいですよね。お願いします。


サシマさん。
トバさんだって詳しいでしょ。別に俺にふらなくても大丈夫でしょ。


トバさん。
私がこたえます。
2016年4月に障害者差別解消法が施行されました。
障害をもっている人(筆者補足 障害に限らず難病も)が何か困りごとがあるときに申し出れば
役所やお店は過剰な負担にならない範囲でちゃんと対応をしないといけないという法律なんだ。
合理的配慮というんだ。



ミッキーさん。
それは吃音者にも当てはまるんですか?

トバさん。
ええ、この法律は障害者手帳所持の有無はとわないんだ。

ミッキーさん。
吃音への配慮はどういうものが?

トバさん。
たとえば、筆談の対応。人口音声の利用を認めるとか、挨拶ができなくても怒らないとか。
まぁ、吃音者への合理的配慮が過剰な負担になるとは考えにくいからちゃんと配慮してもらえると思います。

ミッキーさん。
でも筆談とかって、話さないように済むっていうするってこと?

ヤギさん。
筆談って話さないよう済むようににすること。そうじゃなくて吃りながら、話すことを諦めないことがとても大切なことなんじゃないの?


コイワさん。
いや、だから。そういう配慮を受けたいかは、個別の対話で決めることで。第三者が決めることではないですよ。

ヤギさん。
でもそれでいいのかな?人それぞれってことで、みたいにまかせてしまった。
吃音だから、話すことから逃げるのはよくないことだと思う。


ミッキーさん。
でも、そんな風に配慮してほしいとか、特別扱いしてほしいってなかなか言いにくいですよね。
僕はできれば周囲に自分が吃音だと知られたくないです。


トバさん。
配慮を受けるために、カミングアウトしなければいけないのは大きな問題ですよね。

コイワさん。
でもそれは仕方ないですよね。
吃音が障害者と思われたくないという感情は、ある意味「障害者」を差別に加担していることです。


ヤギさん。
僕は吃音者は障害者なのかな?って思うけどね。
障害者というほどの重い障害ではないと思う。

ミッキーさん。
喋るのが苦手なのにしゃべらないといけない。矛盾していませんか?
そもそも吃音者が抱える困難って急に頼んでもしかたないことが多いと感じる。

バカにしないでほしいというのはありますけど。基本的に周りのひとは何もできないですし。寧ろ何もしないでほしいと…。

そもそも人口音声とか筆談とかしゃべらないっていう選択肢を希望するでしょうか?


???さん
トガワさんどうですか?


トガワさん
え???私??


ヤギさん
いやーやっぱり僕はね。
吃音は社会で取り組むべき問題なのかな?って思うよ。
障害というのはあんまりよくないと思うよ。
実際にいままでほとんどの吃音者は障害者手帳なんてなくても吃音をうまくやってきたと思うけどな。


コイワさん。
ヤギさんは吃音は障害と認めながら、吃音をXXXXX(筆者 聞き取り不能)
吃音は個性的なものだけど、障害はXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
やっぱり他の障害者に対する差別なんじゃないですか?

ヤギさん。
で、でもさ、筆談や人口音声を使うのは、自分の身体を否定していることになる。
吃音を含めて自分なんだから。
やっぱり障害だといって障害者手帳に頼るのはあんまり良いことではないと思うよ。どうやって吃音と上手く付き合っていくかが大事だと。


コイワさん。
ヤギさんみたいな人がいるから。ダメなんですよ。
みんながみんな前をむくことができるかはわかりません。困っている人もいるんです。


サシマさん 癇癪を起こす
(俳優の藤原竜也さんが演じる「゛」濁点が全てにつくような話し方になる)

うううう!!!!!
め めんどくさいんだよ

なおすとか なおさないとか ぜんぶ どうでもいい

いつまで こんな 小さな意見をグチグチとさ。周囲からみたら滑稽だよ。

びびょびょびょびょ 

平等とか対話だとか、そもそも全然対等じゃないし。

今日だって話している人はいつも同じ人だし。

今日だってイヌイシさんは全然話していないじゃないか。


そそそそそs コイワさんあんたのいっていることがくだらないから。

障害者に対する差別ってあんたがしていることじゃないのか?



コイワさん

ん゛は゛ぁ???

私はXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
困りごとを持っている人が少しでも生きやすいように。


サシマさん
相模原事件の被害者の人たちはどうでもいいというのか
俺は介護職員だからあの事件はとてもショックだった。
全国大会であの事件を考えようとする吃音者いなかったんだ。
コイワさんあんたもそうだ。吃音で悩んで自殺した看護師のことを取り上げても、障害を理由に無残に殺された人のことを取り上げようとしなかった。


コイワさん
それの何がいけないのですか?
私のかかわる、当事者として自分たちの声を発表することの何がいけないのですか?


サシマさん
あんたは被害者の人たちは自分たちじゃないと思っているんだ。
自分たちとは関係のない人達がころされた。
障害をもった自分たちと違う特別な人が殺されたと思っているんだ!
どどど誰もが年を取れば施設に入れるかもしれない。
俺はこの吃音の世界の欺瞞っていうかさそういのに飽き飽きしたんだ。
言いたいやつが自分のいいたいことを言って。
声の小さいやつに仕事をおしつけて。

まぁ。もう俺には関係ないから、あとは好きにやってくれ。



―――サシマさん会場から去る
そこをイヌイシさんが止める。

ぼぼぼぼぼくは吃音で
か かか かか か からかわれて
わ わ わっ わ笑われてずっとひとりぼっちでした。
ぼくもこんな連中の話なんて聞いてやるもんかってずっと

こ こ こ こ こ 心を閉ざしていました。

で でもこのムゲンカイに参加して、サシマさんが話を聞いてくれた。

本当にうれしかったです。



トバさん
そういえば僕もそうでした。
吃音で話せることができなくて。そんなときにサシマさんに誘ってもらったんです。



イヌイシさん
それから周囲の人達に
ちょっと話せるようになりました。自分では無理だとおもっていたけど、街コンとか参加できるようになりました。
サシマさんにやめてほしくない。もっとサシマさんと話がしたい。だから こ こ こ こ ここにいてください。



―――サシマさんはそのまま会場を去る



トガワさん
あ、あの私もいいですか?
父親が吃音といいました。
これまでほとんど父親と話してこなかったです。家庭内別居で暴力をふるいました。
それから父親は家のなかでいない人扱いして、ほとんど会話をせずにすごしてきました。

そして色々あって、このムゲンカイに来て、この会をとおしてみなさんと話して、最近になって
他人と話せるようになったんです。


コイワさん
あのーいいですか?
僕には言葉を話すときに壁が2つあります。
吃音の壁と日本語の壁です。

母国語ではない言葉でコミュニケーションする感じとよく似ているなと思うんですけど。



????さん
ああなるほど。僕も東北出身なんですよ。標準語になおして話すときに、吃音の言い換えとかXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


コイワさん
なんていうかな
吃音があると吃音がある人とXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)

トバさん
ちょ!!
ちょっといいですか??


ヤギさん
おやおや。トバくんも意見かなぁ


トバさん
もう時間ですよ。後の予約の人もいるし帰りましょう。
このあとみなさんと渋谷のイタリアンのお店にいきまよう。

トガワさん
ヤギさん ヤギさん今度実験に参加してもらえないですか?

コイワさん
みんなの写真を撮影していいですか?


トバさん

あぁ。いいですよーーー。



ここで藤原さくらさんの楽曲。

終劇









0 件のコメント:

コメントを投稿