2017年6月6日火曜日

吃音者・吃音のある子どもは就労移行支援事業所や放課後等デイサービス何を基準に選択すればいいの?

吃音のある人。
吃音のある子ども。

障害者基本法や障害者総合支援法、発達障害者支援法によりさまざまな社会保障制度を申請すれば利用できることになっています。障害者手帳がなくても障害福祉サービス受給者証で受けられる就労移行支援事業や就労継続支援、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などなどがある。もっとたくさんあるが割愛する。

就労移行支援事業所や放課後等デイサービスを選択する上で重要なこと。これはとてもシンプルです。その団体が「有料職業紹介事業許可番号」、「指定障害福祉サービス事業者」を持っているかどうかです。このような許可や免許を持っているのか確認しましょう。

このような許可や免許がなぜ必要なのか?
それは一定水準の支援する内容やメニューの基準を満たしていることの証明にもなります。就労移行支援事業所を開所する際の建物の条件や個人情報保護、職員の質や経験、安全安心の担保にもなります。何かトラブルが起きると苦情申し立て制度があります。第三者評価もあります。また、就労移行支援事業所や放課後等デイサービスを利用するのは基本的に無料または所得に応じた低料金で利用できます。

就労移行支援事業所は当事者は2年間しか使えません。
2年しか使えない制度だからこそ、はじめから実績のある就労移行支援事業所に通所したいと考えるはずです。吃音者や発達障害者向けの就労移行支援事業所であれば、
どのくらい、通所した卒業生が就職できているのか?
継続して長期で働いているのか?
正社員に転換されたのか?
卒業後も相談できるのか?
企業団体の人事採用担当者と太いパイプがあるのか?
どのような発達障害者なら雇用したいという本音を理解しているのか?
それが就労移行支援事業所の訓練にもいかされているのか?
ハローワークや障害者就職転職サイトに掲載されていない独自開拓求人を持っているのか?
XXXXXという発達障害の就労移行支援事業所さんなら積極的に雇用したいという採用側雇用側で良い評価が流れているか?
などが重要でしょう。2年だけ、就労移行支援事業所に通所してもらって、事業者が儲かればいいや的な就労移行支援事業所に通所してしまうことは人生の時間のムダになってしまいます。

吃音の就労移行支援事業所の場合は企業団体などの採用、人事の人がどのようなことを考えているのか?吃音についてどう思っているのかを理解していないといけません。

例えば「面接は特に重要ではない」、「話さない仕事でもしっかりやってほしい」、「話したい・話す仕事をしたいと無理をいう吃音者は避けたい」など色々な本音があることがわかってきています。吃音者はとくに面接練習を重ねるという場合がありますが。面接よりも入社後にどのようにコミュケーションすればいいのか、発話発語以外に筆談やメールやテキストのアイテムをつかったほうがいいのか、どうしたら吃音者と雇用する側が円滑にコミュニケーションできるかを重要視しています。このあたりも吃音者と雇用する側のミスマッチと言われています。

吃音者には現在、『吃音を持っているからという理由で、できない職務や職業があるのは差別だ!』と発言してしまう吃音者もいて、そういう人は採用されないのです。雇用する企業団体側が「これをやってほしい。こちらを真剣に職務として遂行してほしい。たしかに裏方というか会社を土台で支える仕事かもしれないがこれも仕事だよ」と説明しても、吃音者側はそれに歩み寄らずミスマッチになるため不採用通知が出ることになります。

ここらへんの企業団体が求める障害者という部分は吃音業界だけの問題ではないので、吃音以外の発達障害児者と協力して、考えていくことが望まれます。例えば発達障害がありのままでも仕事ができるような未来が今後あるかもしれません。

ただ、現時点の就職活動は雇用する側、採用する側の「してほしいこと」への歩み寄りが大切となっています。過度な自己主張をする就職希望者というのは一般枠でも同様ですよね。「あーそういう仕事したいなら、弊社では無理です。よそへ行ってください」と腹の中で思われてしまえば不採用通知がでてしまうのと同じですね。


放課後等デイサービスは事業者によってさまざまです。2017年1月厚生労働省はとても質の低い悪い放課後等デイサービスのことを問題にしています。テレビ番組をずっと見せ続ける放置療育など驚愕の事業者が存在したようです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06H86_W7A100C1CR8000/ 

現在、放課後等デイサービスを保護者が評価する口コミサイトなどがありますのでそちらを利用してもよいでしょう。

就労移行支援事業所、放課後等デイサービスに共通することですが、第三者評価をもっと頻繁に行っていくべきだと思います。




2017年現在、吃音者の就労移行支援をうたう団体がでてきましたが。
確認する限り許可や免許は持っていません。利用料も発生しています。

また、利用者さん、大学生などに「利用料」を支払わせている場合もあります。
通常、行政の認可を得ている団体なら「利用料」は発生しません。これは2013年から2015年ころ東京で流行した「発達障害者ビジネス」と共通するところがあります。発達障害者を食い物にしたり、個人情報を集めたり、ネットワークビジネスに誘ったり、病気や障害を治すという(もっと高額な)民間療法や自然療法やセミナーを案内するための入り口であったり、宗教勧誘であったり……。色々なことがありました。現在東京ではそのような危ないビジネスがあるということが発達障害の当事者や保護者に認知されてきておりそのような募集は減っていると思います。募集をしても人が集まらないということです。

2017年6月1日木曜日

【東京大改革】平成29年度障害者を対象とする東京都職員3類採用選考の変更点 知的・精神障害者も含まれるようになった画期的な大転換

2017年03月30日  人事委員会事務局 東京都の報道発表である。
筆者の知る限り公務員採用試験といえば「身体障害者のみ」というのが日本全国の常識であったが。ついに日本の首都である東京都が「障害者枠採用を身体障害、知的障害、精神障害」の受験を可能にしたのである。

この背景には東京都自閉症協会さんの毎年毎年毎年毎年の要望要請、意見などがあったことである。東京都自閉症協会さんには吃音業界の1人として深く心より感謝の気持ちを表明したい。


今後、日本全国の障害者手帳を取得した、障害受容のできている吃音者が東京都の採用試験に応募する可能性が誕生したことになる

しかし、そもそもこの流れが国家公務員や全国の地方自治体の採用試験にも広がっていくことが望ましい。東京都が先駆けとなり、他の道府県にこの新時代が伝播することを強く望む。公務員採用試験に「知的・精神障害者」が応募できるようになるというのは驚天動地の大事変であるのだ。知的・精神障害者の採用はいままで民間企業にまかせていたものを公務員採用試験に入れること。2018年から事実上の精神障害者雇用義務化(法定雇用率計算式に精神が明記)はじまるのでこの公務員採用試験の条件変更は全国に広がってほしいことである。






東京都の報道発表より
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/30/22.html

障害者を対象とする東京都職員3類採用選考の見直しについて

東京都では、現在、身体障害者を対象としている障害者採用選考を、平成29年度採用選考から知的・精神障害者にも門戸を広げ、併せて選考内容を一部変更することとしましたので、お知らせいたします。
なお、平成29年度採用選考の日程は以下のとおりです。
※「3類」の数字の正しい表記はローマ数字です。

平成29年度障害者を対象とする東京都職員3類採用選考の変更点

身体障害者の方を対象としていた採用選考について知的・精神障害者の方も受験可能に
採用予定者数を45人に拡大予定(平成28年度35人)
正規職員としての適性等を適切に検証できるよう第2次選考の内容を変更




2017年5月30日火曜日

【他記事紹介】発達障害でNHK記者をクビになった私が思う、NHKの「発達障害プロジェクト」

インターネット上でこのようなブログ記事を読みました。
とても気になりましたので筆者のブログでも一部紹介します。
発達障害をカミングアウトしただけで退職に追い込まれる。
吃ればアウトの吃音はどうなるのでしょうか?ととても心配です。
吃音もこういった事例が今後出てくるのではないでしょうか?





記事本体はコチラ

発達障害でNHK記者をクビになった私が思う、NHKの「発達障害プロジェクト」
みーしぇる (id:tomomieshel)
発達障害じゃだめなの?発達障害で幼いころから感じてきたことを、これからいろいろ綴っていきたいと思います/1982年静岡県浜松市生まれ。2005年、早稲田大学卒業後、読売新聞記者。2014年、地域おこし協力隊兼フリージャーナリストを経て、16年からNHK記者、今年4月退職。著書に「八幡平への恋文」(岩手復興書店)

という人が書いたブログです。

内容は2017年現在、NHKで発達障害プロジェクトが局全体で放送されていますが。
みーしぇるさんは発達障害当事者ということを職場のNHKに伝えたら、退職に追い込まれたという記事でした。


上司「障害者だから記者の仕事はムリ」私「ちょっ……」

NHK秋田放送局の上司から、発達障害であることを理由に契約の終了を言い渡されたのは、今年2月のことでした。
会議室に呼び出され、「これからもこの仕事を続けていきたいですか?」と聞かれ、私は「もちろん、続けていきたいです」と答えました。
だけど上司からは、要点をかいつまむと「障害をかかえながら、記者の仕事は担えないと考える。よって契約更新はなしです、以上です」てなかんじで伝えて去られ、その判断はその後、何度もの話し合いの場を重ねても、覆ることはありませんでした。1年にも満たない、あっけないNHKでの仕事、なんだったのかなあと思いつつ、先月末、私は自ら退職願を出し、その日に受理されました。

発達障害を打ち明けたがために……
雇い止めのきっかけは、昨年9月、直属の上司に、社員と同一労働を当たり前のように強いられながらのオーバーワークな勤務体制について相談をしたものの、関係が悪化し、その後、いろいろと追い詰められた末に、発達障害であることなど自分のすべてをもう洗いざらいなんでも会社に話さざるをえないところにまでいってしまって問題が拡大してしてしまったところに、端を発していると私は解釈しています。

私は、10年弱の読売新聞の記者、フリーのジャーナリストなどを経て、昨年4月から「地域型雇用記者」という形態の契約社員として、NHK秋田放送局管内にある横手報道室というところで働き始めました。
報道室、といってもおそらく多くの人が想像するのとはちがう、木造アパートの1室が拠点です。
駐在のようなイメージでしょうか。カバー範囲の県南地域を、おそらく全国どこの報道室記者も一緒でしょうが、取材だけでなく、カメラと三脚を自ら持って映像を撮って伝送して、という作業を、1人で行います。
報道室、といっても他社のように支局長と複数の記者がいるわけでもなく、すべて一人で担います。

吃音をカミングアウトしているという吃音者の先輩の就職体験談を聞くときに気をつけることとは?

吃音当事者団体や吃音のある小学生、中学生、高校生、大学生を集めた集団やつどいと呼ばれるイベントや講演会や催しがあります。吃音を扱うニュースサイトでも「本名」なのか「仮名」なのかわかりませんが吃音者が写真付きで私は吃音があります。でも社会で成功しています。企業団体で働いています!という情報が出てくるまでになりました。(例えば ハートネットTVやバリバラに出演する発達障害当事者は「仮名やビジネスネーム」で出演する人もいます。発達障害を扱う学会誌にもビジネスネームで寄稿しています。その場合、この人は仮名・ビジネスネームですとは表記されません。あのとても有名な発達障害当事者も実は仮名ということはあまり知られていません。実名で出演することの不利益をよく理解しているからでしょう。例えば健康告知が必要な商品に加入している場合、告知義務違反になるかもしれません。「幼少期より発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群、吃音)があったとニュースサイトに書いてあれば、これが疑義になる可能性もあります」)

※このような体験談があると「吃音があることは全部、カミングアウトしても大丈夫」という勘違いを保護者や吃音当事者がしてしまう場合もあります。
もちろんその体験談によって助かる人も頑張れる人もいます。
しかし吃音をカミングアウトするということは、一般枠で吃音をカミングアウトしてしまうことの不都合な真実を知らないのかもしれません…。


――その中で、吃音当事者の先輩のお話。体験談というものがあります。
これは吃音に悩む小学生や中学生や高校生、大学生に吃音のある先輩から
「就職は吃音があっても大丈夫だよ」というメッセージを伝えるものです。

しかしこのお話って「真実」なのでしょうか?
「作り話」、「嘘の話」ではないのかな?
とよく考えて聞く事が大切です。
親御さんも子どもに、あれは嘘や作り話かもしれないから、あんまり信じちゃダメだよと自宅に帰ってから伝えることも大切でしょう。



■どのような点に気をつける???
これは吃音を隠してクローズドで働いているという吃音者の先輩の話は「真実だろう」と思います。
プライバシーなども伏せて話していると思います。このての話は吃音を隠しながら、上手く吃音をコントロールしながら仕事をしているとためになる話でしょう。吃りそうになって苦労した話や家に帰って悲しくなったことや。次にむけてどうしたか?などのためになる話だと思います。


しかし、吃音をオープンにして働いている!という前提で「吃音の体験談を話す先輩の話」は「嘘や創作」ではないか?と疑うべきです。

吃音は障害じゃない。吃音は発達障害じゃない。吃音はかわいそうな障害者じゃない。吃音を障害者にするなという主義主張を信奉する吃音者ほど、吃音をオープンにして働いているといいますが。

吃音をオープンにしているなら、その、とても環境の良い、障害理解のある、先進的な考えをもった「企業名や団体名」も体験談の中で公開しれくれるはずです。そして私の働いている企業や団体は吃音に理解あるから、後輩たちよ!どんどん採用試験に応募してきてくれ!!となるはずです。私が人事部に口利きするから大丈夫だよ!!って言ってくれるはずなんです。

しかし、吃音をオープンにしている吃音者ほど、会社名や団体名は公開しませんよね?自分の職場に後輩を勧誘しませんよね?そういうことです。本当は職場でオープンにしていないのです。吃音に寛容な会社や団体があれば、そこに吃音者の応募が殺到します。そうすると、先に入社している先輩はその後輩と比較されるだとか、椅子取りゲームになってしまう可能性もあります。せっかく見つけた安息の地、安息の日々、安全地帯な職場を公開するわけにはいかないのです。

吃音をオープンにしている。職場で吃音のことは知れ渡っている、吃音は障害じゃない、今日も吃りまくったぞーーなんていう武勇伝は全部嘘なのです。小学生や中学生や高校生が聞いている手前、カッコつけてウソついて話を盛っているだけなんですね。

本当にそんな企業や団体があれば、もっとニュースになっているはずですし。吃音で悩む就活生も、あの会社は絶対大丈夫という情報共有がされて、企業団体の固有名詞が登場するはずなのですが…。そんなことはないのです。とほほ。


外部リンク NHKエデュケーショナル
2017年10月4日 ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる

http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/summary/program/?id=44452

NHK教育で放送されたものです。吃音があるけど一般枠で吃音をカミングアウトしながら就職活動する実態です。当事者も困っています。もしも本当に吃音で成功している人がいるなら、企業団体名が公開されており、ハートネットTVで放送されるようなことはなくなるはずなのです。後輩吃音者に「あの企業団体、XXXXX社は吃音に寛容だ。障害者手帳を持っていてもいなくても採用してくれる」とリストができるはずです。「ハートネットTVを見た、先輩吃音者が自身の所属する組織の人事採用担当につないで、ウチのところに来いよ!」と助けるはずです。そうすれば先進的な企業団体としてニュースにも報道されるはずなのです。
外部リンク
ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる を視聴した人の感想
吃音のある就活生はなぜ障害者手帳を持っていない?人事採用戦略の話 企業団体は可能ならば法定雇用率に計算したいという本音
https://anond.hatelabo.jp/20171012000353


吃音のある先輩当事者の人生経験、体験、成功体験、成功事例を聞く時は?
吃音のある子どものお父さん、お母さんはなぜ障害者や社会的障壁のある人を差別するようになってしまった?

当事者や保護者向けの『先輩の成功体験、人生経験』などのお話は『個人の感想です。全ての人に同じことが起こるわけではありません。効果効能を示すものではありません』と明記するルールを作ったほうがいいでしょう。吃音の場合は特に強く必要です。これはちょっと冷静になって考えればわかるものです。ですが、子どもの吃音で悩むママ、パパ、保護者は冷静な判断が困難になります。

保護者が幼少期から成長してきた環境や価値観が「障害者はかわいそう。障害のある子どもなんて持ちたくない。障害者は税金ばかり使いやがる。障害者なんて生まれなければいいのに。精神障害は殺人をしても無罪。やつらを殺せ」という価値観に囲まれていればなおさらです。盆暮れ正月に本家や大本家に親戚一同が集まると、「変なおじさん、変なおばさん」がいた。座敷牢で管理されていた。なんて環境であれば障害のある人への偏見ができてしまうのは当たり前です。

子どもが吃音になってしまった保護者の価値観。いえ、日本の障害者に対する価値観とは戦前戦後からの差別偏見の歴史でしょう。座敷牢、癲狂院、ライシャワー事件、脳性麻痺の人に人権は無いバスに乗れないからって騒ぐなよビラまくなよバスの運行妨害するなよ、Y問題、精神障害者の起こす事件、精神障害者の隔離収容政策。これらを知っている祖父祖母のもとで育ったお父さん、お母さんは『障害や病気にとても悪いイメージを持つ可能性もあります』

そしてそんなお父さん、お母さんが出会い結婚し子どもが生まれる。その子どもが吃音だった。とても耐え難いかもしれません。障害や社会的障壁のある人を心の中で差別していた。お父さんやお母さんが働く企業団体では明らかに吃音者は採用されないだろうと感じている…。となると、なんとしてでも子どもの吃音を治さないといけない。障害であることがバレたらいけない。差別される側になってしまう。親と同じ生活レベルを維持できないのではないか。などなど色々と不安になるでしょう。

そんなところへ吃音があっても大丈夫だ。吃っても大丈夫という成功している先輩のお話を聞くと、一時的に心が安らぐでしょう。ウチの子どもは大丈夫。成功者側に勝ち組にまわれる。と精神的に安らぐかもしれません。それは本当にそうなのでしょうか?

本来なら、吃音のある当事者もその保護者も一緒に協力して、他の障害者や社会的障壁のある人や団体と協力して、お互いに困りごとが重なっている部分、協力できる部分をさがす。お父さんとお母さん、家族が「障害」や「吃音」、「マイノリティ」の人権を考えるように。差別の価値観を生み出す社会構造を、変化させようと行動すべきなのです。

繰り返しになりますが、『実際に吃音があっても、吃音以外の障害があっても、障害者手帳無しで就職できる公的機関や企業団体があるのか?障害者手帳を持っていれば就職できる公的機関や企業団体があるのか?本当にこの人が話す成功事例や人生経験は、勤務先は存在しているのか?存在しているのであればなぜ後輩吃音者のために組織名や社名の公開をしないのか?人事部や社長を説得したからウチの所へ来いよ!!と言わないのか?』冷静に冷静に思考することが求められます。

子どもが吃音のママ、パパは自分の職場なら、自分の所属する組織の人事部は吃音者は本当に採用するか? 発達障害のある人は採用されているのか?など条件ごとに考える事が必要になります。また、吃音者が就職しているという企業団体名はリスト化されているのか?調べることも大切になるでしょう。本当にそういった企業団体があるならもっとマスコミに報道されているはずですから。

吃音当事者の学生であれば、この先輩吃音者の「お話」って本当なんだろうか?と考えることも大切になります。自分にも当てはまるのか。別の方法もあるのではないかと思考することも大切です。


――障害者や社会的障壁のある人、マイノリティにはなぜ厳しい価値観を持つように自分は育ってしまったのだろうと考える時間もつくってほしいのです。

――そもそも病気や障害、性別違和などありとあらゆることをカミングアウトすると不利益が発生するという社会構造を変化させるために。吃音者も吃音以外の人や団体と協力して、社会や仕組みを変化させる運動・行動をしないとならないでしょう。吃音のある人も子どもも『あの人達と一緒にされたら、あの人達と同じだと思われたら、あの人達と同じものを持っていると思われたら。困る。嫌だ。一緒にするな!』という差別主義思想から卒業して、困っている人同士が協力していくことが今後必要になるでしょう。


園や学校でカミングアウトする場合と就職活動でカミングアウトする場合の違い

吃音児者が吃音をカミングアウトする場合。
それはその当事者の置かれている環境により大きく異る。

保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専門学校、大学、大学院など学ぶ側。
お客様という、吃音児者や親、保護者がお金を払うという立場であればカミングアウトはとても有効である。
とくに国公立の学ぶ場所であれば、障害者差別解消法による合理的配慮は「義務」である。そのため、吃音児者が進学する場合は国公立の学校に行くことを強くオススメする。
国公立の学校で合理的配慮を利用しながら、勉学に打ち込み、可能な限り最大限の発達をして、自身の得意分野を勉強して、専門的な知識を身に着け就職活動に突入すれば良いのである。

私立の場合。私立だと理解のある学校はそれなりにある。
例えば東京でも発達障害児者当事者団体・発達障害に特化した就労移行支援事業所が主催や共催で「発達障害に理解のある高校や大学」との当事者と親と学校側と情報交換会、イベントが存在する。しかし私立学校だと、まだまだ「努力義務」であること理由にあまり対応してくれないところが多い。福祉系の大学にも関わらず、「障害学生支援室など」が存在しない、「障害者手帳を持っていないと対応しない」という残念な私立大学も存在する。


※余談だが、世間、日常生活でも「お客様」の立場であれば合理的配慮はとても受けやすい。お店でも役所の窓口でも色々なところでお客様というお金を使ってくれる立場なら障害児者や社会的障壁のある人は合理的配慮を申し出れば利用しやすいのだ。本来はオカシナことですが―。


ところが一転、就職活動、就職するときに吃音や発達障害をカミングアウトすると不利益が多い

これはなぜか?
現在、発達障害というのは「精神障害者保健福祉手帳」を取得できる障害者である。官民問わず企業団体というのは「障害者の法定雇用率」を満たしたいのが本音だからだ。
そして何より、今度は吃音児者や発達障害児者は「お客様」ではない。同じ職場で働く人間であり、お金を払う、お給料を支払う対象に変化する。

精神障害者や発達障害者を雇用する人事部、総務部、採用担当者の向けの勉強会や情報交換会、講演会で必ず情報共有がされることがある。

「精神障害者、発達障害者を採用する場合は、必ず、支援者がいること、就労移行支援事業所に通所しているもの、病院と連携できているもの。自身の障害を受けいれているもの」この条件を満たしている人を採用することと説明するのだ。「間違っても、どこの支援機関にもつながっていない障害者を雇用してはいけない」という説明をする場合もある。最近では「発達障害者はそもそも新卒で採用するに値しないのではないか?新卒ではなくて一度就労移行支援事業所を経験したものを採用すべきではないか?大学で就労移行支援事業所と同じ訓練をしているとは思えない」と雇用する側の本音も出てきている。


それらの需要のためなのか?
精神障害者や発達障害者を採用時に発見する試験が販売されているのも見逃せない点だ。
詳細はコチラ
https://matome.naver.jp/odai/2145136262246904801


これらは障害者差別解消法施行におうじて、水面下に潜った。表向きに販売をしなくなり、人事業界向けの雑誌や客から問い合わせがあれば紹介するという形に変化してきている。事態を重く見た障害者団体や発達障害の支援を考える議員連盟、厚生労働省にもこのような障害者発見採用試験は情報共有され、ぎょうせい出版社が2017年2月ころ発売した「改正発達障害社支援法の解説」という書籍でも、障害者発見ビジネスについて指摘が掲載された。

ただ、公務員の採用の世界でも。「必ず面接やグループ面接」を行うという自治体や組織が増えてきているという実態もある。学業や成績だけではないところを採用の判断にするという流れだ。大学の入試も今後、学力を問うペーパーテストから、総合力を試す試験に変化していく。学力だけ磨かれている発達障害児者には突破が困難になるのではないか?いつの段階から合理的配慮を申し出ればいいのか?という議論もある。

このような多くの課題については発達障害の当事者団体や行政や政治家の動きも大切になるだろう。発達障害を排除する傾向があるなら、それに対抗する方法やルールや法の整備も必要になるはずである。吃音者の団体もそのような動きに参加していってほしいと思う。他の障害者や社会的障壁のある人や行政や議員との協力をしていくことは大切だ。




雇用側は合理的配慮を宣言するなら、法定雇用率に計算したい!というのが本音
吃音でも一般に言われる発達障害の自閉症スペクトラムやADHDやLDでもそうであるが。
障害をカミングアウトするということは、配慮してほしいことがある。健常者よりも時間がかかる。健常者よりも必要な工程が多い。健常者には必要ないはずの環境を用意しなければいけない。と雇用する側があれこれ準備をしないとならない。身体障害者のように移動手段やトイレや階段やエレベーターの配慮を一律にできるのではなく、発達障害者は十人十色で100人いれば100通りの支援や合理的配慮を考えなければいけないという手前、雇用する側の負担は大きい。
そこで雇用する側は「最低限、障害者手帳を持っていてくれ。法定雇用率に計算したいんだ」と思うのである。


障害者手帳を持っていないのに合理的配慮を宣言された場合、雇用する側は不採用を決断する 事案紹介 事例紹介
※全ての事例や事案がそうだとは限りません


1.
「吃音者の人が障害者手帳を持っていないのに。合理的配慮をしてくれ」と言ってきたので、面接では合理的配慮をしたが、後日不採用通知を出したということだ。理由は障害者手帳を持っていないから、障害受容ができていないから、他の障害者に何か悪影響を及ぼすような気がしたという。

一度非公式に「障害者手帳のコピーを今度持参してください」と伝えたが「吃音は障害ではありません。個性です。仕事上問題はありません。私は吃音で障害者手帳を取る予定はありません。」と自信満々に言われたため、『あぁ。これが講演会や勉強会でよく出てくる障害受容ができていない人か。入社後もトラブル起こしそうだし、すでに働いている障害者に個別の障害についてあれこれ説教し始めそうだから不採用』という結論にいたったという。

2.
カミングアウトしてきた吃音者が面接に来たので、障害者手帳を持っていれば、障害者枠で採用できると水面下で伝えたが、応じなかった。吃音は障害じゃない!と反論してきた。採用は見送った。

「私の団体では、吃音のある人とも一緒に働きたい。とは思っている。でも障害者手帳を持っていない吃音者が本当にいるとは思わなかった。残念だ」という。

合理的配慮をする以上。法定雇用率に計算できること、という部分については吃音者側にも理解してほしいのだけど残念だという。

3.
障害者手帳を持っているが、不採用になった吃音者。
障害者手帳を持っている吃音者が障害者枠で応募してきた事案。
合理的配慮の希望と法定雇用率の問題はクリアできたが、吃音者側が「障害者枠の仕事じゃなくて。一般と同じ仕事がしたい。なぜ接客や営業をしてはいけないのですか?なぜ喋る仕事をしてはいけないのですか?吃音者に対する差別ですか?機会を奪うなんてズルい。吃っていても総理大臣やアナウンサーや医者や営業がいる。接客や営業だって経験したい」と面接段階で意見を述べていたため、不採用通知を出したという事案。

これも吃音者側と雇用する側のみミスマッチです。
現在、吃音業界、吃音当事者団体では、東証一部上場企業や国家公務員、地方公務員に就職して活躍する人もいるため。成功した吃音者がやっている仕事や職務を遂行したい!という若い学生、新卒就活をする吃音学生が多いことと条件が合わないという事案。

たしかに発達障害という概念が世界に生まれる前は「ちょっとあの人変だよね」という人は就職できていたが、2017年現在の就職活動は件の障害者発見試験や面接、グループ面接、グループ討論、などに「発達障害傾向のある人」をなんとかしてあぶり出す手法が販売されているため、一般枠で発達障害者が隠して応募してもなかなか突破するのは難しい。ましてや吃れば一発でバレる吃音者にはハードルが高い。

そこで障害者枠で就活している吃音者が出てきたが。吃音のある先輩達、パイオニア達がやってきたこと、同じ仕事をしたい。機会を提供しないのは差別だ!という雇用する側が用意した仕事をしたくない!差別だ!と衝突につながる事案が発生したという。

雇用する側としては無理に話す仕事はしなくていいので、社内に限り電話や通信はまかせるけど、積極的に表舞台では活躍しなくていい。もっと他にも仕事があるから、こっちを一緒に頑張っていきたいと吃音者側に伝えても。吃音者側が拒否する、その仕事しかさせないのは差別だと反論してきたという事案だ。雇用する側としてもトラブルになりそうな人は最初から雇用したくないというのだ。たとえ障害者手帳を持っていたとしてもだ。

4.
採用後の事例。雇用側が吃音だけ配慮する予定で採用計画を考えており無事入社した吃音者。しかし吃音以外に、発達障害があることがわかり雇用側が「採用ミス」だと社内で一致した事例。吃音者は社内ニート扱い。

採用時に吃音者は吃音のことしかカミングアウトしておらず、雇用側も吃音だけだと思っていた。しかし、発話発語のコミュニケーションよりも空気や気持ち、雰囲気、ホウレンソウが原因となる問題が多発。時間配分や時間を守ること、ケアレスミスなども多い。独自ルールが社内ルールよりも優先されるなどのトラブルも。

吃音以外に広汎性発達障害、ADHDがあることが後に判明。雇用側は採用時に見抜けなかったのかと問題に発展。

吃音者は純粋吃音だけではないと障害者の人事採用、障害者の就労移行支援など支援者や就職エージェントなどの間で支援困難事例として現在情報共有されている。



一般枠で応募するなら絶対にカミングアウトしないでください
発達障害全般に共通することですがカミングアウトを絶対にしない場合は一般枠での応募が可能です。これは就労移行支援事業所でも、とてもしつこく説明されることです。就労移行支援事業所は雇用する側の本音を知っているためでしょう。そのため一般枠応募ようの書類の書き方と障害者枠応募ようの書類の書き方の違いや面接の違いを何度も何度もしつこく説明するという場合もあります。


吃音児者の親、保護者は「ご自身が働いている組織団体に吃音者が障害者手帳を持たずに応募してきたら採用するか、人事部に質問して」

吃音のある子どものお父さん、お母さん、親戚のみなさん。あなたの働いている組織では障害者手帳を持っていないのに発達障害や吃音をカミングアウトしてくる応募者を採用しますか?ということを質問してみてください。もしも採用するというのならとても良い企業団体ですし。そんなの採用しないと言えば。それも1つの答えです。


吃音者は就職活動で吃音をカミングアウトすること、合理的配慮を求める場合はよく考えて

現在の就職活動は色々な利害関係があります。
吃音のある先輩たち、総理大臣やアナウンサーや医師などなど有名人が世間に存在するからと言って、あなたの人生や生まれた時代や生活環境はその人達とは異なります。何かコネがあるとか、通常の採用過程を経ない場合は吃音があっても普通に働けることもあるでしょう。一般枠で運良く吃音を発見されずに採用されたということもあるかもしれません。

現在、吃音者の就職活動では「気軽にカミングアウトしてみましょう」と思えるようなニュースや書籍、先輩の体験談や美談があると思います。しかしこれらにはリスクがあると心に強く刻んでほしいのです。気軽にカミングアウトしたことにより、その場は合理的配慮されたが、後日不採用通知が来ること。または一般枠ではなく障害者枠で応募しなおしてほしいと言われる場合も。(むしろ障害者手帳や障害者枠をこっそり伝えてくる雇用する側のほうが優しい人だと思ったほうがいいです。チャンスを教えてくれたわけですから)

吃音も発達障害も気軽にカミングアウトするほうがリスクが大きいです。
最初から障害者手帳を持っていて、雇用する側と歩み寄って仕事ができる吃音者であれば話は別ですが――。


吃音児者を受け入れるという就労移行支援事業所でも気軽なカミングアウトを推奨する場合も?

現在、吃音児者を対象に就労移行支援をしています!
という組織も出てきているが―。
気軽にカミングアウトしてみましょう。などという利用者さんに不利益を与えるかもしれないことを平気で教えてしまうところもあるのでよく気をつけてください。吃音児者を支援するという団体の支援者スタッフやボランティアスタッフは、そもそも普段の職場で「障害者手帳を利用しているのか?吃音をカミングアウトしてオープンで働いているのか?一般企業での就労経験があるのか?特殊な専門性の高い業界以外で働いたことがあるのか?」という視点で評価・観察することも大切になります。




2017年5月25日木曜日

吃音がある子どもが生まれたのは両親に責任があるのか? あると言えばあるし、無いと言えば無い

吃音の原因。
例えば、子どもが吃音になったのは「母親の育て方のせい。母親の育児がなっていない」などという昭和時代の価値観が未だにはびこっている。

この母親の育て方、父親の育て方のせい、祖父母の育て方のせいというのは2017年現在否定されている。

しかし、問題は遺伝や環境の視点から見て考えた場合である。
吃音や発達障害のある子どもが生まれた場合、現在エビデンスがある情報としては「遺伝7割、環境3割」とか「遺伝6割、環境4割」などと言われる。吃音に限って言えば前者のほうが菊池良和医師の書籍でも紹介されている。(エビデンスに基づいた吃音支援入門 学苑社 14ページ)

ここで大きな問題は遺伝といえば、父方、母方、または両方に吃音の遺伝子があったのですね。となると父方か母方、もしくは両方の親戚縁者にも吃音者がいるかもしれないね。と理解できることである。


次に「環境」という言葉である。
実はこの環境というのは、母親の胎内で成長する時期、周産期医療と呼ばれる時期のことである。もしかすると父親の精子の劣化というものも今後データがでてくるかもしれない。不妊の原因が父にあったという話も週刊誌やお昼のワイドショーなどで報道されている。吃音業界では「環境」が勘違いされており、赤ちゃんとしてこの世に産声をあげてから成長する環境のことと思われている点である。もちろんその考えも間違ってはいないのだが―。


発達障害児者の就労移行支援事業や放課後デイサービスを行っている株式会社kaienのホームページから引用する。これがわかりやすい。
http://www.kaien-lab.com/aboutdd/definition/

「遺伝+環境要因」が現在の主流な説

 特に自閉症スペクトラムについてはDNAレベルの研究が進んでいます。それによると遺伝子ですべてが説明できるわけではないが、大きく遺伝要因が関与していることがわかってきました。

 発達障害に関連する遺伝子は200とも400ともいわれますが、発症までのメカニズムはまだわかっていません。例えば自閉症の兄弟がいる場合、もう一人も自閉症である場合は発症率が高まるという研究結果が出ています。ただし遺伝子がまったく一緒のはずの一卵性双生児の場合でも、一人だけが発達障害の傾向がみられることもあります。つまり遺伝要因以外にも原因が考えられるということです。
 環境要因の仮説として環境要因があげられます。親の年齢、出産時の合併症、妊娠時の食事、汚染からの影響などが考えられています。今後、遺伝要因と環境要因がどのように絡んで発症に至るのかが徐々に解明されていくと思われます。
 何よりも重要なのは発達障害は先天的(生前)であり、後天的(生後)の要因ではないこと。また先天的だからといって100%遺伝するというわけでは決してなく、複雑で複数の要因が絡んでいるものだということです。

また、吃音は神経発達障害として一般にいわれる発達障害と同じカテゴリになっています。
神経発達症とは?発達障害との違いは?概要、分類と症状、原因、周囲の接し方について徹底解説! りたりこ発達ナビより紹介
https://h-navi.jp/column/article/35026377

それは、これらの障害は別々のものではなく、神経の発達阻害という共通の原因を持つ連続的な障害なのだという考え方に基づいています。「神経発達症」という言葉は、そうした連続的な障害の全体を指すための言葉です。近年、この考え方が広まりつつあります。



吃音者も保護者も勘違いしている人が多いが環境というのは親の年齢、出産時の合併症、妊娠時の食事、何らかの事象の影響ということであって。生まれてから地球上で育つ時期のことをメインにして環境とは言わないのである。


ここまで読むと、ある意味、吃音の遺伝子を持っていたかもしれない父方、または、母方、両方かもしれないとも言えるし。周産期の母親の食生活や妊娠時の年齢の話、出産時の合併症や早期出産などにも関係していまい。

吃音の原因や責任は親にある!!というようにも読める。
遺伝子や環境の土俵で判断すれば父や母にもなんらかの原因があるかもとも読めるのである。

しかしこれは本当に馬鹿らしいことで、人間、どんな年齢になろうと好きな人ができて、結婚して子どもがほしいと思う人もいるし。子どもまではいらないかなと思う人もいるし。里子や養子を考える人もいる。セクシャルマイノリティであれば子どもがいなくても幸せという人もいるし、何らかの方法で遺伝的つながりのある子どもを望むかもしれないし、里子や養子がほしいという人もいるだろう。子どもがほしいと思っても不妊治療をする人もいる、それが成功する人もいれば、次の段階に進む人、子どもがいないことを受容して、こういう人生も自分自身かなと受け入れる場合もあるかもしれない。


2017年5月21日夜に放送されたNHKスペシャルにて発達障害児者の感覚過敏について報道があった。これは2017年NHKがNHKのありとあらゆる番組が協力して発達障害全般について報道するという第一回の放送と言われている。NHKスペシャル、ETV特集、ハートネットTV、バリバラ、あさイチ、きょうの健康などで発達障害について今後、怒涛の放送がされるだろう。吃音について放送があるだろうと思う。発達障害はかわいそうだからという理由で吃音だけ身体障害です。とか発達障害ではありません。とか吃音だけの話をして吃音と自閉症スペクトラムの併存などには目を瞑るかもしれない。

5月21日に放送された発達障害の感覚過敏について体験する機械、システムが公開されていた。これは東京大学先端研や京大、阪大などが協力している1つのプロジェクトの中にあった研究の1つである。高齢者体験や身体障害者体験は健常者が体験することのアイテムの準備などは比較的容易だが、発達障害についてはどうやって健常者である定型発達の人間に体験させて少しでも理解してもらうかは課題だった。これを解決した形になる。

しかし、この「構成論的発達科学-胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解-」文部科学省が補助金を出している研究では、「周産期からハイリスク児はどのような成長をするのか?」という研究メニューもあるのである。ハイリスク児とは高齢や、不妊治療、人工的な妊娠、複数妊娠、予期せぬ早期出産(保育器で成長するパターン、現在の医学の進歩により低体重でも生存成長可能になった)などの影響が発達障害につながるのかどうかを研究しているようだった。

http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/about

この研究はダウン症を発見するための出生前診断のように発達障害児を診断するようなシステムを医療現場では提供しないが、周産期の段階でそのことがわかれば、どうやれば生きやすい世の中になるのかというところに重きをおいている。支援制度や教育制度、社会保障制度全般である。発達障害児が生まれることが事前にわかるような、人工妊娠中絶手術に踏み切るための出生前診断にはしないということは筆者も公開講座のときに確認している。

もしかすると、一般に言われる発達障害である自閉症スペクトラムだけではなく、吃音も周産期から吃音になるぞ!ということがわかる未来もあるかもしれない。がしかし、それは社会が受け入れていくことが人間の文明社会として望まれることである。共存・共生社会になっていくことが大切なのである。



結論として
吃音がある子どもが生まれた場合、父や母に責任があるか?といえばあるといえばあるし、無いといえば無いわけである。仮に子どもの母や父が「あなたのせいで子どもが吃っているのよ。こんな障害者を生みやがって!!」と祖父母や親戚縁者に文句を言われたら、「もしかすると、祖父母や親戚縁者にも吃音や自閉症スペクトラムやADHDやLDの人がいるかもしれませんよ。盆暮れ正月に大本家にみんなが集まったときに、座敷牢に閉じ込めていた人はいませんでしたか?変なおじさん、変なおばさん扱いをしていた人はいませんでしたか?」と逆に質問を投げかけてやれば良いのである。

しかしもっとも重要なことは、どのような障害や病気を抱えていても世の中で生きられることが人間社会の文明社会の良いところである。吃音があろうと、自閉症スペクトラムがあろうと、使える選択肢やメニューを使い倒して生きていけばよいことだし、父や母や祖父母が「合理的配慮や社会保障制度を利用することは恥だ!!」なんて思わなくてよい世の中になることが大切であると考える。

幸いなことに、現在日本では発達障害児者を研究することや、それに基づいた適切な支援を行うこと。文部科学省の言葉を借りれば「成人するまでに可能な限り最大限の発達をうながす」とも言うわけであり、機会を平等にし、できるだけ成長の機会をバックアップし、成人しても困ったことがあれば今度は厚生労働省管轄で社会保障制度を利用したい人がいれば利用すればいいわけである。

障害者は嫌だ!
障害を持つ子どもなんて幸せじゃない。
障害者はかわいそうな存在だ!
吃音をかわいそうな障害者と同じにするな!
と思い込んでいる、吃音のある子どものお父さんお母さん、祖父母は好きにしても良い。だが、日本社会、2017年現在のこの日本社会には発達障害者支援法、障害者基本法、障害者権利条約などがある。権利を行使してよいわけなのである。また、支援や社会保障制度が上手く機能していない、不備があるなら、親の会や当事者会が単独または他の発達障害者や社会的障壁ある人達と協力し政治や行政に意見を述べることも大切になるだろう。

吃音の子どもを持ってしまったと思っているお父さんお母さんへ、家族へ
これは日本社会の価値観なんだろうと思います。

例えば2018年現在でも、30代の夫婦が胎児は障害を持っていないことを確認するため出生前診断を行い、生まれたが、発達障害があることがわかった。もうどうしていいかわからない。最悪だ。もう終わりだという人が価値観を変化させていった事例もあります。出生前診断をしないといけない、障害を持った人は幸せにならないという、日本社会独特の空気なんでしょう。これを変えていこうとなったのです。


日本社会は戦前、戦後から、精神障害を持った人、今現在でいう発達障害を持った人を隔離する政策をとっていました。断種してしまうこともありました。座敷牢、癲狂院、精神科病院、祖父母や親戚縁者の価値観など色々なニュースをお父さんお母さんは見聞きしていたのかもしれません。吃音の子どもが生まれるまでは、障害を持った人、病気の人、困っている人のことなんて考えることが少ない人生だったかもしれません。そして、障害を持った人は日本社会においてはこのような仕打ちが待っている、このように扱われる、このように処遇されることお父さん、お母さんが子どものころから見聞きしていたかもしれません。そして障害や病気を持った人に何らかの価値観をお父さんお母さんが持ってしまう。そこに吃音のある子どもが生まれた場合に『うちの子どもはどうなるだろうか。就職できるだろうか、結婚できるだろうか、父と母のような生活レベル、収入レベルを維持できるだろうか。いやちょっとまてよ。父、母が働く職場では障害や病気を持った人に対する価値観が差別的だ。父、母が働く職場に仮に吃音者が就職活動でやってきても採用しないぞ。どうしよう。どうしよう。どうしよう』と心の中で繰り返し思うかもしれません。となると、次にどうしたらいいのか。子どもの吃音を治させるのか?

吃音を持ったままでも、障害や病気を持ったままでも生きていける、働ける社会にならないといけないのではないか? と考えることが大切だと思います。もしもお父さん、お母さんが吃音のある子どもが誕生するまで、障害や病気、マイノリティのことを考えていないとしても、一旦立ち止まって、『お父さんお母さん自身がこのような価値観を持つようになってしまった』人生や周囲の人間関係そのものを振り返り考える時期かもしれません。その後、そうだ社会を変えていこうとなれば幸いです。

例えば発達障害の研究をしている東京大学先端研の医師でもある熊谷晋一郎氏、綾屋紗月氏などは、障害は個人の中にあるものから、社会にその困りごとを返していこうという説明をします。もしも吃音を持った子どもが生まれたお父さん、お母さんが社会でできること、職場でできることがあれば、吃音のことを啓発すること、吃音のある人を積極的に採用していくようにしようということもできるわけです。現在状況により個人の立場で難しいならば(例えば踊る大捜査線の名シーンで「出世して変える。偉くなって変える」こと)、吃音児者団体、発達障害児者団体に参加することもよいでしょう。誰かがやるだろう、誰かがやってくれるということではなくできる範囲でいいのでアクションをしていくことが大切になります。

2017年5月20日土曜日

英国には発達障害などによる感覚過敏を持つ人向けにショッピングモールがクワイエットアワーという時間帯を設けている

2017年5月20日、朝7時のNHKニュースのなかで、発達障害についてミニコーナーがありました。明日放送のNHKスペシャル、発達障害と感覚過敏についての番宣も兼ねていると思います。

2015年ころから大阪大学大学院工学研究科の長井志江特任准教授と東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎准教授の研究グループが共同で行っているASD体験シミュレーター。この進捗状況とどれくらい進化したかがわかりました。

高齢者体験、障害者体験のように手足や身体の一部が動かないこと、視聴覚が不自由な場合はどうなるかといった体験のように。発達障害者はこのように世界が見えている可能性がありますというシミュレーターです。

これは明日の放送で詳細があると思います。



さて、筆者が気になったのはイギリスのショッピングモールに存在する「クワイエットアワー」という静寂をお客様に提供する時間があるということです。例えば1時間この時間があるとします。その間。店舗の照明、BGM、動いているモノ、などを全て電源を落として・または弱くする。など対応をします。発達障害などの感覚過敏に対応するのです。

これは吃音だと「コミュニケーション障害アワー」という形かな。で、吃音も場面緘黙もその他の言語障害やコミュニケーション障害の人が、気軽に店舗で、笑われたり、バカにされたり、怪訝そうな顔されないで買物できる!なんてものがあればいいなと思いました。