ラベル 吃音Q&A の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 吃音Q&A の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年9月1日水曜日

【解説 なぜ医療福祉のはざまなのか】2021年8月31日放送 アベマ アベプラ コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

【番組紹介】

 2021年8月31日放送 

変わる報道番組#アベプラ【平日よる9時〜生放送】 | 企画

コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3106


――法律があったのに自死が起こる吃音業界

2021年8月31日放送された、アベプラにて吃音が取り上げられました。

冒頭にて 1:57の部分で『社会的に多様性が叫ばれる今でも残念ながら吃音は置き去りのまままです』という吃音当事者からの手紙が紹介されます。

当ブログをご覧の方々はすでにご存知のことと思いますが。
吃音は2005年4月より発達障害者支援法に含まれていたのですが。吃音業界の団体がそれを隠蔽していた、障害者運動をしていなかった歴史があります。
・参考リンク
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/200542013.html

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html

これにより現在は2021年なのですが、未だに吃音により困っている当事者、子ども、家族の選べぶことができる、選択肢がなかなか広まっていないのが現状です。

2005年発達障害者支援法に含まれ、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群と全く同じ、社会保障制度、合理的配慮(吃音に適した)、障害者枠での就労などが利用できるのです。

もしも2005年から吃音業界が他の発達障害児者団体と連携協力し政府や地方自治体に、教育機関に訴えていけば。2021年現在、困っている吃音当事者やその家族は、その悩みを持つことがなかった世界線を生きているかもしれません。

また吃音当事者には吃音と同時にその他の発達障害を持っている場合もありますが。それもなかなかメディア、マスコミで啓発されることもありません。吃音でも困っているし、その他の発達障害で困っている人もいるかもしれません。


――2014年厚生労働省の発達障害支援室が、その時歴史が動いた

2013年、北海道の吃音看護師、製薬会社社員の自死が起こりました。後者数年後に報道がありました。看護師はリアルタイム報道でした。しかし、そのときもマスコミの誤報があり「吃音は厚生労働省が障害と認めていない」と報道されたことがありました。その他の新聞社やニュース報道も、吃音がどのような法律の対象かどうかを厚生労働省に取材すらしていないのです。

その時歴史が動いた 障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 障害児支援係が動いたのです。自死報道があり、厚生労働省が障害と認めていないという誤報が流れ。本当は2005年から吃音のある人を支える法律が存在していることを伝えたかったのです。(吃音業界が全く要請要望を厚生労働省にしてこないため何もできなかったのです。※公務員は自分の判断で政策立案してはいけないというルールがあるからです。必ず、市民国民からの議員からの声があって、政策に反映できるのです。このとき自死が起こり、意見が厚生労働省に届き、発達障害者支援法に含まれていることを、障害説明の一覧に掲載するというウルトラCにより再周知を行うことになったのです。本来、行政が一つの症状や病気や難病や障害やマイノリティについて取り上げて再周知を行うことができない。それをしてしまうと私たちもしてくださいとなりかねないため、ギリギリのラインを落とし所にしたことになります)

そして、当時の発達障害支援室の専門官が、発達障害情報支援センターという、国立障害者リハビリテーションセンター内部に属する、そのセンタ-のホームページの発達障害の解説に吃音を入れたのです。これが2014年7月です。
しかもこの国立障害者リハビリテーションセンターには日本の吃音診療の旗艦病院である吃音診療科が存在していました。しかしそこが動くことはなかったのです。ゆえに発達障害者支援室マターで動かすことができる組織。発達障害情報支援センターの情報を更新するに至りました。

そのあとの流れは早く。厚生労働省の広報誌 東京都の発達障害支援ハンドブック 各地方自治体が、発達障害の一覧にて吃音を説明し、そして、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と同じ、選択肢を自己決定権により行使することができる、そういう世界線も存在すると周知がはじまりました。吃音業界、当事者団体、教員団体などが全く動かないなか。厚生労働省により、その時歴史が動いたのです。

そしてやっと、吃音が発達障害者支援法の対象であると世の中に広まってきたのです。もしも2005年から吃音業界が障害者運動を起こしていれば。令和現在で困っている吃音児者がその家族が涙を流すこと。ひきこもりになってしまった人、自死してしまった人も全く別の人生があったのかもしれません…。この点、吃音業界は第三者による検証委員会などは設けず、この大きな問題、否。悲劇に向き合おうとしていないのです。


――令和現在の困っていることは、困っている吃音当事者を支援したい精神科医師が吃音の演技を見抜けないこと

日本では、吃音を診療するのは耳鼻咽喉科と歴史的になっており、吃音の確定診断についても耳鼻咽喉科医師が行うことが慣例となっています。これは、精神科医師では吃音を装う、過去に音楽業界で耳の聞こえないゴーストライター問題がありました。これと同じで、精神科医師も吃音を主訴とする患者が本当に吃音かどうかわからないため。まず確定診断を耳鼻咽喉科から行ってもらい、そこからの紹介状があれば、困っている吃音児者のために手帳や障害年金申請用の診断書を書くということができるようになっています。都内でも筆者と関係のある精神科医師数名は、耳鼻咽喉科からの紹介状があれば、すぐに診断書を書くという篤志家の医師がおられます。


――吃音で困っている人がいるがマスコミが正確に伝えない問題

朝日新聞のオピニオンにて吃音当事者が投稿した内容があります。

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2021/02/blog-post.html


吃音はもちろん、吃音以外の発達障害児者と同じで困っていない人もいます。成功者であったり、とくに問題なく生活している人もいます。しかし、発達障害者支援法に含まれていること、困っているのであれば、選択できるカードがあること。これを伝えてくれないのです。マスコミは吃音が発達障害者支援法に含まれており、ありとあらゆる社会保障制度を行使できる可能性があることをもっと伝えてほしいのです。


とくに法律により、吃音以外の発達障害児者が使える制度を、吃音児者も使えることを正確位伝えてほしいところです。行使するかどうかは自己決定権によりますが。選択肢が存在することを知ることができていれば。本当にどうしてもだめだ。もう頑張れない。死にたい。自死するしかない。もうどうでもよくなった。という段階になってSOSを出すかもしれませんし。最悪の状況になるまえにそれらを避けるためのルートを選ぶこともできるかもしれないからです。



――吃音業界が動かないため、発達障害児者団体が毎年、予算要望を国や自治体に送る現状 そして吃音だけではなく、その他の発達障害も持っているかもしれない場合は、発達障害児者団体に参加してみませんか

吃音業界は、一枚岩となり障害者運動をすることはありません。全ての団体が一致団結して意見表明することもありません。困っている当事者や家族もいるはずなのですが。なかなかそれができません。国や地方自治体の限られた少ない予算のなかで、吃音にもほんの少しでいいので、触れてほしい。政策に反映してほしいと訴えることはしません。

令和現在においても困っている吃音児者やその家族が存在するのはそのためです。しかし吃音は吃音だけではなく、ASDやADHD、LD、トゥレット症候群を同時に持っている人もいます。むしろそれは、発達障害児者団体や保護者・親の会ではもともとわかっているものでした。しかし残念なことに吃音業界では吃音だけが注目され、もしかして、その他の発達障害も持っているかもしれない。。。ということに気づかない。または向き合わない場合もあります。これは吃音至上主義という差別の存在もあります。

これが根底にあり、一部の吃音業界団体が2005年から発達障害者支援法を支えるJDDネット(という発達障害児者団体、専門職団体の連合体に参画していたのに)、吃音が発達障害者支援法に含まれているよ!と障害者運動が起こらなかった原因の一つではないかと考えます。

そこで、吃音業界っておかしいな。変だな。と思った当事者や保護者にはぜひ、発達障害児者団体に参加することもよいのではないかと思うわけです。また吃音以外の発達障害も実はあるかもしれないという場合はなおさらです。

とくに親の会は強いです。百戦錬磨の先輩保護者さんがその情報を後輩のためにどんどん蓄積しています。学校での合理的配慮はどう相談申請したらよいか、どの病院がよいか、どのような人生の選択肢があるか。学校や行政、民間企業とどう接すればいいか。話し合えばいいか。いろいろな情報を持っています。

4月2日は世界自閉症啓発デー、日本国内では発達障害啓発週間です。しかし吃音の団体は積極的に参加せず。他の発達障害児者とその家族と連携しようとしないことも悲しいことです。お互いを知り、一緒に連携して国や地方自治体に意見を伝える。もっと広まっていくことを願っています。


2021年2月8日月曜日

【記事紹介】吃音を克服しなければいけないか? 朝日新聞のオピニオンから

―― 朝日新聞2021年1月29日 オピニオン&フォーラムに 吃音「克服」への違和感 という投稿がありました


・朝日新聞に大学院生 加賀沙亜羅氏からの投稿が掲載されました

【以下投稿された記事】

「克服」は何を意味するのだろうか。辞典には「努力して困難にうちかつこと」などとある。「病を克服する」という例文も。では「病の克服」の意味とは?

米大統領選でずっと気になり、見逃せないことがある。各種報道が新大統領バイデン氏に関し、「誌の朗読で吃音を克服」などと紹介していることだ。

私には吃音障害がある。発達障害の一つとされ、必ずしも「治る」ものではない。自身の学業や人間関係の苦難は割愛するが、鏡の前での発話練習や誌の朗読、CDに合わせた発声など一通りの努力はしている。しかし、治らない。

氏が吃音の症状が出ないように工夫してきたのは素晴らしい。だが「治った」わけではないはず。実際、氏は今も言葉に詰まる場面が見られる。そんな中、「吃音を克服」と報じることで、「吃音は努力で治せる」との誤解を世間に与えないだろうか。

「克服」の表現で何を伝えるのか。どういう印象を与えるのか。メディアは再考してほしい





―― 大学院生の投稿は正しい メディアの報道姿勢そのものが問われる

バイデン大統領については吃音をもった大統領という、またそれを克服し大統領になったという報道が日本国内でされている。しかし本当にそれは多種多様な選択肢のひとつであって、誰もがそうなれるとも言えない現実がある。バイデン大統領というのはバイデン大統領という一人の人間の話であり、それが全ての吃音児者にあてはまるかと言えばそうではない。

たまたま吃音があって、世間的に生活水準が高い生活をしている人もいるかもしれないが。その逆もありえるし、常に吃音という存在が人生にまとわりつき、あのとき、あの人、あそこで発言していれば、今は違っているかもしれないという後悔の念を持つ人もいるだろう。報道をする側の人間は。そこまで考えて取材報道をしてほしいところであるが…。

吃音業界は、吃音を障害にしないように。可哀相な障害者にしないように。保護者にお子さんは障害者じゃありませんと教える。などなど本当に吃音至上主義という差別が蔓延している。(吃音の子どもの保護者さんは、吃音業界団体のイベントに参加することもあるかもしれないが、その際に【吃音は障害じゃないよ、障害者は可哀相な人達だよ。あんなふうになってはダメだよ】と教えられた人もいるかもしれない…。もしも差別の心を植え付けられるような事があれば、今後参加しないほうがよいでしょう)

その中でも『吃音を持った有名人※1』を数多く取り上げて。世の中には、こんなに成功している吃音者がいる。あなたもそうなりなさい。というパターナリズムが横行する現実がある。

※1

有名人とは。王族、議員、弁護士、会計士、医師、言語聴覚士、教員、自衛隊員、警察官、消防官、公務員、一部上場企業職員、教授、理学療法士、営業、エンジニア、芸能人、経営者、コンサルタント、研究者、文筆家、漫画家、音楽家、演奏家、映画監督などなど


発達障害業界でも『発達障害を持った有名人』エピソードはあり。吃音業界ほど深刻ではないが。発達障害業界でも2005年前後、第一次発達障害ブームが起きた際、発達障害を持ったすごい人列伝があった。2021年現在は『たしかに発達障害の才能が現在社会の仕組みピタリとハマり。大活躍する人もいるけれど。そうではない人もいるよね。』という認識が広まっている。NHKが発達障害を報道するとき、才能をもった凄い発達障害児者が放送されると『視聴者から、全ての発達障害の人がそうではありません。そのような報道は気をつけてほしい』とリアルタイムで意見が入り、生放送でその声を伝えることもあった。シブ5時だったような記憶。

しかし2021年現在でも。発達障害(吃音含む)は資産、才能、武器、特別な能力という形で発達障害の啓発啓蒙、発達障害サバイバル(オープン、クローズ問わず)をする当事者や支援者もいる。発達障害とはどのような特性があるのか。知的障害との併存如何。困っている人はどのようなところにいるのかな。困っている人も本当はいるよね。という視点は大切にしてほしいところ。発達障害(神経発達症として知的障害も含み)とはそのまま全ての特性がスペクトラムで個々人がレーダーチャートとして特性ごとの強さを持っているよねという価値観が広まる日本社会に――。


発達障害のある人が生まれた家。保護者の収入。保護者の価値観。学校でいじめられた? 不登校になった? そんなことはなく通学できた? 自己肯定感は? 学校はつまらなかったかもしれないけど自宅で好きなことや勉強ができた? 家庭内で虐待されたか? ということも考えられる。

成功している吃音先輩を見て、『ウチの子どももきっとああなる。大丈夫だ。子どもは障害者じゃない。私達は障害児を産んでない。努力して克服しない吃音者は怠け者。堂々と365日いついかなるときでもどもりまくらない吃音者は逃げているだけ』などと認識する保護者もいますし。その保護者に洗脳される吃音児は成人する、社会人になるまでは居心地がよいかもしれない。そのまま成功している吃音先輩と同じ土俵や同じ生活レベルを維持できる世界にいけば、吃音で困っている奴らはただの怠け者と思い続けるかも場合もあるだろう。また、子どものときに可哀相な障害者という価値観を植え付けられてしまえば、差別する側に自然と立っている可能性もある。



―― 大学院生の投稿に発達障害と書かれているところは重要なこと

大学院生の投稿(以下 記事欄)は、新聞、テレビ、ラジオ、映画や漫画、ネットメディアの吃音に対する姿勢への違和感を示唆している。

記事文中でも、吃音は発達障害の一つして。と書いているように大学院生の強い声が伝わる。

昨今の吃音に関する報道、テレビ番組などは『吃音は2005年4月から発達障害者支援法の対象であり、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と完全に同様な社会保障制度、支援制度、合理的配慮、精神障害者保健福祉手帳の取得、法定雇用率枠での就労が可能である』とは報道しないのである。(なお最新の診断基準、ICD11で発達障害は→神経発達障害群または神経発達症群とされる。神経発達症には知的障害が含まれることも重要)

殊更日本国内では、『吃音と発達障害、精神障害』を結び付けないようにする報道や放送が多くみられる。Googleニュース記事検索で「吃音」を検索した場合に。吃音は発達障害者支援法の対象である。と明記している記事はどのくらいあるだろうか。発達障害者支援法、障害者総合支援法、障害者基本法においても『障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)』というように発達障害を含むとされ。吃音は発達障害者支援法に含まれる。

2021年。令和現在。今でも日本国内、全都道府県において、吃音を診療する病院が設置されていない。子どもが吃音だ。吃音以外にもASDやADHDやLDがあるかもしれない。感覚過敏や感覚鈍麻があるかもしれない。不器用だ。と悩んでいる保護者もいるかもしれない。

2005年4月から吃音業界が障害者運動をしていれば。発達障害者支援法19条により病院が設置され、わざわざ飛行機や新幹線を使い遠く離れた、吃音専門病院に行くこともなかったであろう。吃音以外の発達障害も同時にあるかもしれない場合にも早期発見が可能になり、選択肢を知ることができた可能性もある。吃音のある当事者や子が吃音という保護者にも多種多様な選択肢を持てたことになる。自死自殺、ひきこもり、ニートという選択をしない可能性も考えられる。

吃音のある学生の新卒就活でも障害者枠就労をもっと早い段階で選択肢のひとつとして知ることができた人もいたかもしれない。


―― 吃音を取材報道する側の人はどうしたらいいか?

これはシンプルに、まず、吃音は発達障害者支援法の対象であることを説明。

また、どうして2005年4月から存在する発達障害者支援法があったのに。吃音だけが、ここまで支援が遅れているのかを取材すべきでもある。吃音者の自死自殺報道の際も、その背景を取材した記者がいたのだろうか? ただ、起きたことを報道するだけではなかったか。吃音は発達障害者支援法に含まれていたと報道したところはあっただろうか。なぜ一般的に言われる発達障害の人々のように多くの選択肢があるはずなのに。それが行使できない状況になっていたのか。これらを取材報道することも大切である。

子どもや保護者に吃音は障害者じゃないよ。可哀相な障害者とは違うから大丈夫ですと教える吃音業界団体が本当はあるのではないか? それ故に発達障害者支援法の周知が遅れたのではないか? という視点での取材報道も必要である。

吃音が努力で治せる。または克服できるという内容も本当にそうなのかよく取材することも大切である。治りやすい吃音なのではないか? 治りにくい吃音なのではないか?の部分である。

2020年5月10日日曜日

R2 5月9日TBS系列報道特集「失語症」の放送をみて、障害者手帳格差を考える

2020年5月9日夕方、TBS「報道特集」にて失語症が取り上げられた。
あまり知られていない失語症。失語症とは言葉が話せなくなる症状だと勘違いしていたと語るスタジオのキャスター(膳場さん)

筆者が今回、過去記事で疑問に思ったことが、どうやらまだ継続しているようなので。改めてこの格差を考えます

過去記事
失語症と吃音の障害者手帳格差について考える

報道特集では特別に「失語症で障害者手帳を取得できるか」の部分については切り込んでいませんでした。とりあえず、困っていること、困っている人がいること、自治体や国の支援策が報道されました。

しかし筆者としては、過去記事に書いたように、発達障害者支援法、発達障害としての吃音は「軽度」でも手帳は取得できるところが今回の失語症特集においてモヤッとしたところです(発達障害支援室に確認済、後に就労移行支援事業所、放課後等デイサービスをしているkaienティーンズさんもそれを明記)

Twitterにて、「2020現在は流石に、吃音と同じように失語症の人も精神障害者保健福祉手帳は取れるのですよねという思いをこめて」とつぶやいたところ。失語症当事者さんから取得できませんというリプがありました。


なるほど。その会場で大勢がいる質疑応答にて、言語聴覚士等支援者もいる所で「吃音だと精神障害者保健福祉手帳が取れるのに、今、その場で困りごとを講演してくれた当事者さんが手帳取りたくても取れない、これを聞いておかしいと思いました。障害者運動したほうがよいのでは?」的な内容を述べたのですが――。筆者が2017年にこれって変だよねと過去記事で取り上げたのですが

筆者の投げかけた疑問が高次脳機能障害、失語症の団体、業界にはこれが広まっていなかったということになります。



――― 障害レベルのスケールで取得可否が決定する身体障害者手帳 日常学校職場でできないこと、困りごとがあってそれによって取得可否が決定する精神障害者保健福祉手帳のこと


行政職員や発達障害児者に携わる医療従事者・言語聴覚士はよく指摘するのですが。「あれだけ、吃音を障害者にするな、吃音で障害者手帳を取得しようとする団体や業界の動きを潰してきた経緯があるところ。吃音が発達障害者支援法に含まれていて、精神障害者保健福祉手帳を取得できるルートがあるのは本当に不幸中の幸い。しかし2013年に吃音看護師が自殺したのは使える社会保障制度を知らずにそうなってしまったことがとても心が痛い。吃音業界が発達障害者支援法を隠していたのはありえないこと」といった話をしてくださる方がいます。

現実問題として吃音業界、団体は障害者運動をしておらず(以下 関連記事)
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのか


吃音は発達障害支援者支援法の対象→精神障害者保健福祉手帳の対象→精神障害者保健福祉手帳は日常学校職場社会参加で「できないこと、困ることがある」これで障害者手帳を申請できる。

関連記事
吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例とは?

しかし身体障害者手帳としての吃音→身体障害者手帳は「認定基準・検査・この数値を満たしたから●級。これを満たさないと認めない」と仕組みがあり。まず、検査結果、そして数値を満たしたかどうか。ここで判断されます。



故に、2014年7月に吃音が発達障害であること、発達障害者支援法の対象であることが再度周知されるまでは。身体障害者手帳の等級4級と3級ではなくて、5級を設置してもらうように障害者運動を吃音業界で展開しようとした時期もありましたが。無論、吃音至上主義者達の妨害にあい潰されました。そして吃音至上主義達が自分たちの聖域を守っていたところ。いよいよ2013年の吃音看護師自死の報道があり、さらに報道において、NHKのバリバラで【吃音は厚生労働省が障害と認めていない】と誤報されたことにより、厚生労働省の有志職員、本当に志をもった職員さんが立ち上がります。(プロジェクトXが一本撮影できる内容です)

有志職員、発達障害業界の専門職と熟考に熟考を重ねて取った行動が、2014年7月の『国立障害者リハビリテーションセンター(吃音の診療旗艦病院である国リハ病院も何もしないので)の同じ敷地内にある発達障害情報支援センターから吃音は発達障害ということ再度周知しよう』プロジェクトが実行にうつったわけです。その後、それに呼応する形で、東京都の発達障害支援ハンドブック2005でも吃音は発達障害と明記しました。そして東京都が吃音を発達障害としたからウチもやるぜ!という地方自治体がどんどん出てきたわけです。そして2020年現在、東京都の発達障害支援政策がバージョアップされ吃音を診療する小児科、児童精神科、精神科リストまで公開されることになります。

このようなこともあり。吃音業界の医療従事者で吃音至上主義に染まっていた人が『僕も、私も2005年から発達障害者支援法は知っていました。発達障害のあるお子さんに吃音の人もいます。発達障害のあるお子さんを診療しますよ。』などと180度手のひら返しをしている恥ずかしい人もいます。腹の中では今でも、吃音児者が合理的配慮や障害者手帳を取るのは許さんと思いつつ。収入を得るために「発達障害に理解あるよ」というスタンスに変化しているわけです。これでは、吃音看護師自死、製薬会社新入社員自死が発生するわけだ。と思いますね。

そしてついに、吃音で、精神障害者保健福祉手帳を取得できる、合理的配慮を申請できる。障害者枠でも当事者、採用側、また就労移行支援事業所の合理的配慮についての話し合いがあり書面化されれば吃音者を雇用したいという企業も出てきているわけです。就職のみならず、日常、学校での選択肢も当事者や家族がそれを希望すれば行使できる可能性が増えたのです。

―― 失語症の当事者や家族はどうなの? 問題の本質は、日常学校職場でできないことがあるという精神障害児者、発達障害児者と同じ、困りごと。失語症の場合、手帳認定基準が異なっているのでは? 発達障害業界の言語聴覚士、吃音業界の言語聴覚士、高次脳機能障害業界の言語聴覚士は協力できないか?

2020年現在。吃音は身体障害者手帳を申請するよりも精神障害者保健福祉手帳を申請したほうが認められやすいのですが。これが失語症の場合どうなるのか。結局、身体障害者手帳とされている部分が大きい。精神障害者保健福祉手帳を申請しても、認められないという問題がおきているわけです。

発達障害全般で言えることですが。日常や学校や職場において、1年間365日。ありとあらゆる場所空間で。対人関係で。できないこと、失敗してしまうこと、感覚過敏があること、忘れてしまうこと、一人でできないこと、発達障害特性を軽減するアイテムを使うこと、つらい思いをしたこと、騙されてしまったこと、ありとあらゆるできないこと困ったことを、医師に申請書類に書いてもらい精神障害者保健福祉手帳を取得していることになります。

発達障害で言えば、職場は一派枠で働いているが、精神障害者保健福祉手帳3級や2級を持っている人もいます。掃除洗濯家事炊事ができない場合は公的負担のヘルパーを使いますし。家族や配偶者がそれをやってくれる場合があります。

最初のほうに紹介した、失語症当事者さんのTik Tokを視聴しましたが。ADHDと同じ困りごと、吃音と同じ困りごとを明らかに持っています。となると精神障害者保健福祉手帳の3級は取れるのではないか?と筆者は思うわけです。

身体障害者手帳=検査。明確な数値。基準がある。
精神障害者保健福祉手帳=何ができないのか。何で困っているのか。どのように日常、学校、職場で影響しているかで認めてもらえる可能性がある。

失語症と発達障害の場合、どこかが違うのでしょう。
どこが違うのか。
高次脳機能障害の失語症においては、身体障害者手帳で対応するという指針が国立障害者リハビリテーションセンターから出ているから、それが関係者に広まっているからとも推測できます。で、失語症としてICD10のコードを精神障害者保健福祉手帳申請書類を書くと、その段階で弾かれるのではないかとも思います。吃音の場合は発達障害者支援法で精神障害(発達障害ふくむ)なのでF98.5コードを書けば審査されるわけです。しかし失語症も吃音も「こまりごとは似ている」、高次脳機能障害の記憶障害で何かを忘れてしまうのは「ADHDのこまりごとと似ている」わけですから。精神障害者保健福祉手帳3級程度は取れるはずなのです…。

それらの、診断基準の塩梅、暗黙の了解を理解しているのは言語聴覚士だと筆者は考えます。

言語聴覚士というのはこれまた不幸中の幸いで、発達障害業界、吃音業界、高次脳機能障害業界に携わるのです。おそらく、この3つの業界全部に携わる人はいないと思います。発達障害業界に深く関わる言語聴覚士は「吃音業界に携わる言語聴覚士が2005年からの発達障害支援者支援法を隠していること、吃音はかわいそうな障害者じゃないよとおしえること、言語聴覚士協会はJDDネットに入っているのにね…」と考えていたわけで。吃音業界のことをとても心配していた人はいます。というように、縦割り社会になっているわけです。高次脳機能障害業界の場合はどうなのでしょうか?吃音業界の吃音至上主義と同じように、社会保障制度を利用するのは恥ずかしいことだと思っている人もいるのでしょうか?

発達障害業界の言語聴覚士は、精神障害者保健福祉手帳の取得方法や申請方法を深く理解している(上述した困りごとの表現方法、吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類)、精神科医師とも協力しているはずなので、発達障害当事者の困っていることを深く丁寧に質問し聞き出し。それを申請書類に書いてくれるのだと思います。

これを高次脳機能障害業界の医師、言語聴覚士が熟知すれば、もっと精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性が広がるのではないかと考えます。

しかし、発達障害と精神障害とはことなる、身体障害として考え方が【申請され、審査する側の医師にあるとすれば】たしかに失語症や高次脳機能障害の人が困っていても精神障害者保健福祉手帳を取得できないという実態もあるかもしれません。いずれにせよここを調べないといけないのかもしれません。
となると、発達障害業界の医師、言語聴覚士と高次脳機能障害業界の医師、言語聴覚士の連携が必要になる、情報共有が必要になる。【発達障害と失語症で同じ困りごとなのに、こっちは取れた、こっちは取れなかった】の診断書の突き合わせ調査が必要になるのではと筆者は考えます。



――毎日新聞の社説 発達障害の場合は認められるのでは?という切り口で書いてほしかった

失語症を扱った毎日新聞社説が2020年4月4日に出ています。なんと世界自閉症啓発デー、発達障害啓発週間のときに報道されていました。しかも4.25は失語症の日というものができたようです。ダウン症と世界自閉症啓発デー、HIV啓発のように予算がつけば大規模な啓発活動に今後つながりそうです。

脱線しました。

毎日新聞社説 失語症への支援 社会復帰の施策が足りぬ

毎日新聞の社説ですが。身体障害者手帳の等級の枠を広げて、高次脳機能障害の人もっと取得できやすくすべきというように書いてあります。

しかし筆者は先程からずっと書いているように。まず

同じ困りごとなのに

失語症の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得できない

発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得できる

問題を取材報道したほうがよいと思います。
そしてゆくゆくは、身体障害者手帳や療育手帳(自治体によって数値のひらきがある)は数値や明確な基準が必要で、精神障害者保健福祉手帳はそうではない。しかし失語症の場合はなぜか厳しいのではないか?

という切り口で取材してもよかったのではないかと思います。幸いにも毎日新聞社には「発達障害やひきこもりやセクマイ」を取材するのを得意としている記者さんがいます。「吃音」を取材するのを得意としている記者さんもいます。
「失語症・高次脳機能障害」を取材するのとを得意とする記者さんもいるでしょう。

毎日新聞の社内の記者さんだけで。多くの情報収集はできるわけです。
そしてその事例を厚生労働省の担当部署に質問すればよいわけです。
結果的には、障害の程度、重さの明確な基準は身体障害者手帳として必要になるかもしれないが。日常学校職場で困っていることを基準にしてもよいのではないか?発達障害の場合は更新制度はいらないのではないか?などに、報道機関として問いかける内容をもっと深堀りできるはずだと考えます。身体障害手帳が無理なら、スムーズに精神障害者保健福祉手帳を選択できるという流れがガイドラインが必要になるわけです。ここは吃音と同じです。しかし、軽度吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得できるのに、軽度失語症(吃音の軽度の人同じくらいの喋り方でも)では精神障害者保健福祉手帳が取得できないのはおかしくない?という報道があればと考えます。


―― さいごに 失語症当事者・家族 医師、言語聴覚士、支援者は一度大規模な障害者運動をしたほうがよいのではないか?

筆者が考えるのは「過去記事」でも触れましたが。
今回のTBS報道特集をみて、困っている失語症当事者さんがいることがわかり本当に心が痛みます。「ええーあの困りごとなら発達障害としての申請なら通るのでは?」と思うわけです。

高次脳機能障害・失語症業界はまず、発達障害業界とつながること。そして例えば毎日新聞なら発達障害記事を得意にしている記者さんとつながること。身体障害記事を得意にしている記者さんとつながること。そして診断基準などが曖昧なのではないか?日常学校職場で困っているなら取得できるようにしてほしいなどの部分を厚生労働省に問い合わせ取材するように動いてもらえばよいのです。

その次のステージは国会議員さんも巻き込んで、国会または厚労省委員会で取り上げてもらうことです。(ここらへんはとても大変なステップがあるため、筆者に連絡をいただければ色々お伝えできることはあります。場面緘黙業界の方は私からの助言で事態が好転しています)

まずは高次脳機能障害、失語症のみなさん。
一度、「何かへんじゃない?」と思う人で集まってみればよいのではないかなと。


2020年5月5日火曜日

吃音当事者は天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる という件について

―― 吃音のある人は本当に頭が良いのか 社会的に成功した人になれるのか?

吃音業界の不思議の1つに。
吃音のある人は、天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる論があります。

とくに吃音のある子どもやその保護者向けに「吃音のある子どもはこんなに優秀なんです。安心してください。なぜなら吃音を持っている有名な人はこんなにいます」的な意味合いでこれらの表現をする吃音当事者、吃音先輩は本当に厄介です。とくに医療従事者や支援者や学校教員がこういう発言をしているときは。一歩引いてそれらの情報を受け止めましょう。

当事者さん・保護者さんは、吃音の暗黒面である、吃音至上主義に落ちないでほしいのです。
また、吃音至上主義に取り込まれてしまうと。吃音の他に子が当事者が、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群を持っているかもしれない可能性。吃音の他にそのほかの発達障害でも困っているということを見落としてしまう可能性もあるのです。早期発見をして幼少期から使える選択肢を行使し本当は適切な療育をしていればよかった機会喪失をしてしまうこともありえます。吃音業界の団体、吃音業界の有名な人、吃音業界に関わり深い医療従事者や支援者、教員が話すことは本当かな?と考えてほしいのです。

吃音業界だけでは偏向した情報を入手しているかもしれない。
と思う人は。まず発達障害業界につながってほしいです。

吃音も吃音以外の発達障害があっても、吃音至上主義に染まってしまい学校で合理的配慮を申請できなかった事例もあり、もっとはやく制度を知りたかったという保護者さんもいます

関連記事 【保護者必見】吃音の子どもを育てる立場の人はどうしたらいいのか?どうやって合理的配慮を発動する? 保護者に向けたガイドライン

吃音をカミングアウトしているという吃音者の先輩の就職体験談を聞くときに気をつけることとは?



吃音を持った人にはとても優秀な人が、歴史に名前が残る人がいる

総理大臣、議員、王族、医師、看護師、弁護士、経営者、取締役、一部上場企業勤務、国家公務員、地方公務員、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、エンジニア、陸上自衛隊で陸佐、航空自衛隊のパイロット、海上自衛隊の潜水艦乗組員、消防員、救命士、学校教員、精神保健福祉士、社会福祉士、スポーツ選手、レーサー、アナウンサー、芸能人、音楽家、表現者。などなど。

こういう偉大な先輩達がいますよ。という説明は本当に困ったものです。
これは吃音以外の発達障害、その他の障害や難病でも全く同様です。
歴史上のあの人物は発達障害があった、2019年現在生きているあの人も発達障害だ。
だから僕も私も、うちの子どももきっと天才に違いない。
有名な人になれるはず。

たしかに一時(いっとき)だけはその言葉、その表現に安心する当事者、その家族保護者はいるかもしれません。しかし本当にそうでしょうか?先程も書いたように他に発達障害があった場合、早期発見早期療育をしていれば―。機会喪失にもなります。吃音も吃音以外の発達障害も早期療育が大切になります。

―― 都内にてホームレス支援をするNPO法人があります。
(今の新型コロナウイルス感染症の情勢の中、とても頑張っているところです)
ここの職員さんの話として、「路上生活者をしている人の中に吃音の人がいましたよ。吃ってました。昔は工場やトラック運転手として働いていたそうです。そして流れに流れて今の生活になった。吃音の人はそこそこいますよ。路上生活者の方もいれば、障害者施設やGHでも、精神科病院でずっと入院(帰るところがない・社会的入院)している人の中にも……」ということでした。

不思議ですよね。吃音業界のでよくある「吃音のある人の体験談集」、吃音のある人のエピソードでは全く出てこない事例です。いつもキラキラ系の内容が多いと思います。


別の事例として、ひきこもり歴●●年で父母の年金で暮らすひきこもり当事者の中に吃音のある人がいるという事例もあります。

実のところ吃音のある人はいろいろなところにいます。たまたま吃音業界の、吃音当事者会に団体に参加できている人がいる一方、そこには参加しない人接点がない人、または吃音とは別の当事者会に参加している人もいます。発達障害・精神障害を持った人、知的障害を持った人の中にも吃音を併存している人もいます。発達障害があることを先にわかった親子や当事者は先に発達障害業界につながるので。ここもあります。


―― 吃音業界で働く医療従事者はなんとなく気づいている

吃音業界の人で、吃音者の団体に出入りしつつ。本業は精神科で働く医師や看護師、社会福祉士や精神保健福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士として働いている人もいるでしょうか?

働く場所が病院であったり、障害者施設等の場合、そこを利用するお客さん、メンバーさん、利用者さんの中に「吃音児者」がいるでしょう?
そうです。そうなんですよ。
吃音業界で活躍する医療従事者や支援者、研究者や学校教員や保護者であったりが。「吃音の人は頭の回転が早いんだ、吃音の人は優秀なんだ、頭で思いついたことが言葉として出てこないんだ」と説明する人がいてなんかモヤッとイラッとしませんか?

福祉の現場で働く人、福祉の現場に近い病院ほどそう実感しませんか?
吃音業界の医師や言語聴覚士は1年から2年ほど色々な障害者施設等で実習したほうがよいと思いませんか?

一番大切なのは発達障害業界のように、発達障害のある人は優秀な人もいる、ボーダーラインの人もいる、療育手帳を持つ人もいる。いろいろな人がいる。生まれ育った家庭が発達障害に理解がある場合もない場合もある。困っている人もいればそうでない人もいる。
と説明をされることですよね。そして困り毎に応じて社会保障制度も利用できるということもわかります。使うか使わないかその人のイズム、ポリシーによります。

結果として発達障害はとても多様であるから。という説明が令和時代になってからは若い発達障害当事者でもそれ知ってるよということもあるので。吃音業界と違って良い方向に行っているなと感じます。発達障害業界も2005年ころは「発達障害は天才。天才発達障害の育て方」みたいなブームがありそういったイベントや講演会、書籍の販売がありましたが。今はそうではなくなりましたよね。一部まだそういったお話もありますが、その発達障害業界が辿った道を、同じ轍を踏む吃音業界は本当に心配です。

発達障害のある子の保護者家族も最初は子の障害受容ができない。障害児を出産してしまったと悩み葛藤する時間もあり、それを乗り越えて。自分の子にあった方法を制度を使っていこう。使い倒していこう。他の保護者と相談してみよう。と行動をしていく方もいます。

吃音業界はこういうところも周回遅れになっていて本当に不安ですよね。
吃音のある子どもに「吃音の人は優秀で、回転がはやいからだよ」、「社会保障制度を使うこと、合理的配慮申請は恥だよ」なんて教え込まれたら、その子どもが大人になったときに他の障害者や難病者であったり、性的少数者を差別する人、吃音至上主義になってしまいますよね。障害者が障害者を差別する、マウントを取る等。悲しいですよね。


―― 吃音のある当事者、吃音のある学生、他の人の体験談を吃音当事者や家族が聞くときはどうしたらいいの?

関連記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


これはとても重要です。
消費者庁が行った 「打消し表示に関する実態調査報告書」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0003.pdf があります。

この報告書の中に興味深い表現があります。
テレビやラジオ、インターネットでの通販でよく使われる文言です。
これを吃音のある先輩、吃音のある成功者モデルの体験談を聞くときに思い出してほしいのです。吃音の話、体験談集などはあくまでも、その人だけにおきたことです。すべての吃音者には適用されません。そもそも生まれ育った家庭がとても裕福だったら、そうでない吃音の子の家族は、お金がなくて、それと同じ環境にルートに入ることすらできませんよね。

あと、発達障害が治ると言われる。謎の水。謎の植物エキス。サプリメント、飴玉とかこういうのにも吃音業界の保護者さん気をつけてくださいね。これも弱者や障害者やその家族を狙うビジネスです。お気持ちビジネスです。



体験談型 体験談に関する 注意書き 楽しく ダイエッ ト!! 毎日すっきり起きて、 体重が5kg減り、着られ なかった服がぶかぶか になり、周りからほめら れるようになりました。 



・「個人の感想であり、効果には個人差があります」 ・「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」 ・「個人の感想であり、 効果、効能を表すもの ではありません」


非保証型 (体験談を記述 せずに、)効果、性能 等には個人差がある旨や、効果、性能 等を保証するもの ではない旨を述べ る注意書き 10 時間効果が持続!! 




・「結果には個人差があります」 ・「気持ちを表すもので、効果効能を保証するものではありません」



――他にもこういうのありますよね?

吃音業界の人が、吃音のある先輩、吃音のある大人、吃音のある人を育て上げて成功者にしている保護者や学校教員、支援者の話の中で、吃音のある人の体験談集の中で。必ず、吃音があっても大丈夫。という人がいますが。

何がどう大丈夫なのかわかりません。前述したように都内のNPO法人で貧困問題や路上生活者支援をしている団体職員からの話だと路上生活をしている吃音者がいること、ひきこもりの会の話から、ひきこもっている吃音者もいるんだよ。情報が出てきているのです。

成功事例ばかりを伝えずにちゃんと360度すべての情報を伝えていってほしいところです。吃音業界はこういったことを見て見ぬ振りしていました。挙げ句に2005年からあった発達障害者支援法を「なぜか見落とした」ことになります。JDDネットには、吃音関係の団体が正会員になっていた時期もありますし。日本言語聴覚士協会も正会員です。不思議です。もしもしっかり吃音が発達障害者支援法に入っていたことが2005年から周知され障害者運動が起きていれば。自死する人も減り、令和時代に吃音のある子の保護者になった人が涙を流す、どうしたらいいかわからない、なんでこんなに病院がないの。ということは避けられたに…。

その上で。じゃあ吃音業界のキラキラ系・成功者系、当事者や保護者の話や体験談集を読む聞くだけでは、自分の困り毎、子の困り毎、家庭の困り毎は解決しないと思った場合。発達障害業界の団体、支援者や当事者に相談することも大切なんじゃないかと思います。

吃音のある子どもの保護者さんも、発達障害のある子どもの保護者さんと情報交換して、どうやって学校で「合理的配慮やXXXX支援計画を発動すればいいの?」を教えてもらったほうがよいと思うのです。発達障害のある子どもにその苦手な特性があるのに無理やり失敗しそうなこと、辛く悲しいフラッシュバックする思い出にならないように。これはやらせないでください。別の方法で評価してくださいというときはちゃんと学校側に伝えますよね。そういうのも吃音業界では情報が不足していて。吃音があっても人前で話させる、無理やり発話発語させる環境に誘導していく。こういう間違った対応をする教員もいますから。


―― さいごに

まず、吃音業界で、吃音者は優秀。
頭の回転が早い。
吃音者は他の障害児者より優れている。あの人たちと同じになってはいけない。
といった言動を耳にしたときは。一度冷静に考えてください。なぜ吃音業界が障害者運動をせず。令和時代になっても大きく悩む保護者がいるのか……。
それは分断ではないか?
それは差別ではないか?

2018年9月30日日曜日

吃音業界はまた乗り遅れてしまっている 厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/19syokan/03.html

現在、厚生労働省が平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係を公開しています。
発達障害関連の部分は【発達障害児・発達障害者の支援施策の推進 5.0億円(4.1億円) 】とされています。

吃音業界の声は残念ながら届いていないのが現状です。(既存の吃音業界から離れて、独自に行動し接点をもつ吃音団体もあると報告されています)吃音業界が動かない中、昨年に引き続き発達障害関連の予算は大きく動いています。これから吃音、吃音を含め発達障害全般について吃音当事者やその家族の未来はどうなるのかとても心配です。吃音当事者や保護者家族の中には声を伝えたい。吃音と吃音以外の発達障害もあるけどどうしたらいい。既存の吃音業界では真剣に対応してくれない。相談をしても解決しないまたは相談できない。既存の吃音業界は行動してくれない。などと考えている人もいるでしょう。これからどうなっていくのか、何ができるのかを吃音当事者や保護者家族が真剣に考える時期なのかもしれません。吃音業界が乗り遅れ、周回遅れになればなるほど、困っている吃音当事者や保護者、合理的配慮をしてほしい、診断書がほしい、精神障害者保健福祉手帳のための診断書がほしい、どこの病院にいけばいい、吃音を理由に差別をうけた、吃音理由に職場を解雇されそうだどうしたらいい?、などなどたくさんの困りごとが継続していくでしょう。


関連記事 吃音業界乗り遅れ、周回遅れ伝説の1つです
吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年7月1日日曜日

【吃音Q&A】吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例・吃音で障害者手帳を取る方法

【注意 この記事は発達障害当事者が書いています】
その他の注意として、SNS等インターネット上のサイトにて「吃音が軽度だと精神障害者保健福祉手帳は取得できない」という誤った情報、デマが令和時代になっても拡散しています気をつけてください。さらに精神障害者保健福祉手帳を取得するまえに吃音の治療や改善訓練のステップが必要であるという「医学モデル」を振りかざす医師もいますので気をつけてください。医学モデルがまだ残っているのが吃音業界だと認識してください。当事者の困りごとに親身に寄り添い、それを助けてくれる医師と巡り合ってください。


――― 吃音を診療する精神科医師はどこにいるのか?

2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることは2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターがHPを更新し、発達障害の説明に吃音を入れたことで大きく日本中に広がりました。(本来なら国立障害者リハビリテーションセンター病院の吃音外来がもっとはやく周知すべきだったのですが『なぜか』それが実施されず発達障害情報支援センターからの情報として再度周知されました)

しかし、従来から吃音は耳鼻咽喉科医師の領域となっていたため、精神科医師が吃音を診療するというのはなかなか難しいことです。その理由は、音楽家のゴーストライター問題があり、その後、聴覚障害者の診断は特殊な検査方法を用いて行うということのガイドラインが役所より出ることになりました。吃音も『患者が吃音を演技し装う』ことが容易にできるという課題があります。映画英国王のスピーチ、フジテレビドラマ・ラヴソングを視聴すればわかりますが、吃音の言葉うまくでない、話せない、発話発語発声ができないという症状は簡単に演じることができます。

それゆえに、精神科医師は、この人が本当は演技しているのではないか、障害者手帳が欲しいから故意にやっているのではないか。ここがリスクなのです。精神科医師でも吃音を発達障害として診療し困っている当事者のために、障害者手帳申請書類や年金申請書類を書くとなると、客観的な証拠が必要になります。証拠の種類としては、幼稚園、保育園での指摘、小学校、中学校の通知表・評定表。これらの書類に吃音が出ている、ことばの教室、ことばときこえの教室に通級していた、耳鼻咽喉科医師のこの患者は吃音であるという紹介状。これらがあると精神科医師も吃音を認めてくれる場合があります。いきなり大人になって、いままで一度も病院に行っておらず、いきなり自分は吃音なんです。助けてくださいと精神科医師に頼んでもこれは大変困難です。

根本的な問題として、吃音を診療するという精神科医師は表向きにはその情報を公開していません。こっそり診療しているということが多いのです。ホームページに公開するなど大きな告知はしていません。

病院をさがす場合、お住まいの地域の発達障害支援センターに質問することが早いでしょう。または発達障害を診療しているという病院に自分で問い合わせるしかありません。その他にも各地の言語聴覚士会に質問するという方法もあります。言語聴覚士の中には『発達障害を持った子どもや大人』を診療するという精神科病院、子どもクリニックなどに所属している方が一定数いるからです。吃音業界に近い言語聴覚士とは異なり、発達障害のことをしっかり理解しているため、その点でも安心です。

いずれにせよ。国、厚生労働省による『吃音診療ガイドライン』の発表があればと思います。吃音かどうかの鑑別診断は耳鼻咽喉科、その後、手帳や年金を利用したいなら紹介状を貰い精神科医師につながるといった具合です。吃音を訓練して治したい手帳や障害枠採用を使いたくないという考えの人はそのまま耳鼻咽喉科でよいでしょう。

※そして、なぜ2005年から開始された発達障害者支援法が吃音業界で共有されなかったのか。これはとても悲しいのですが。吃音業界の団体は軒並み「吃音は障害ではない。障害者手帳の交付対象と啓発するな!吃音が精神障害だと思われたら困るだろ。吃音が発達障害だと思われた困るだろ。彼彼女らと同じだと思われるなんて嫌だ。吃音があっても堂々と吃れ。堂々とどもって生活している先輩を見習え。社会保障制度を使う吃音者は恥である。税金の世話になるのは恥である。合理的配慮を受けるのは恥である。障害者枠で働くのは恥である。障害者枠で働くと保護者や親戚と同じ生活レベルを維持できなくなる。」などという吃音至上主義があるからです。これは困っている吃音当事者には本当に悲劇です。

吃音至上主義に洗脳されてしまう保護者さんもいます。子どもに障害者枠で働くな!!とパターナリズムを振りかざす保護者も出てきます。吃音のある学生が障害者枠で働きたいと思ってもその道を閉ざすように動く毒親です。毒親問題は発達障害当事者の間でも深刻な問題となっています。保護者のもつ「普通」という価値観、「自分たちと親戚たちと同じ生活レベルを維持しろ」という価値観の押しつけです。この場合吃音のある学生や大人は別として。発達障害業界では、毒親と決別する。自宅から出る。自宅から出る際にお金の問題などがあれば医療機関やソーシャルワーカーに助けてもらい問題を解決する場合もあります。吃音のある学生、大人でもそうですが。吃音以外にASDやADHDがあればなおさら、家族といえども干渉される、価値観を押し付けられると大変な苦痛や混乱、戸惑い、感情が不安定になったりします。もう一つの視点として、そもそも吃音を含む発達障害は遺伝(吃音業界ではなぜか「なりやすい体質」として遺伝という単語を使うのを避けます)の可能性もあるため。毒親・親戚がそもそも未診断の発達障害当事者であることも想定されます。これは発達障害業界ではまあまあ報告される事例です。親子の生活圏を分離させてやっと「お互い」に少し平穏が戻ったということもあります。以上のことから吃音業界の毒親問題。これは深刻であると考えます。

別記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


――― 東京都内で吃音を診療すると東京都発達障害支援センターからのアンケートに回答している医療機関

東京都の発達障害施策のページに、吃音やトゥレット症候群を診療するという病院
のリストが掲載されています。「病院」、「診療所」で大きく分かれています。
さらに、「小児科」、「児童精神科」、「精神科」で分かれています。
そのため、事前にその病院に問い合わせることが必要になるかと思います。
実際に、この公開情報をもとに病院に行った方。その際の診療方針や状況についてメールで教えていただけると幸いです。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

――― 吃音を主訴にして身体障害者手帳を申請できるのか?

吃音を主訴にして身体障害者手帳(音声、言語、咀嚼機能障害)を取得したという事例が少数ですがあります。しかし吃音は身体障害認定基準別表に含まれていない障害です。15条指定医も吃音で身体障害者手帳申請書類を書くことを躊躇する人もいます。これはゴーストライター問題のときと同じで医師自身にもデメリットがある。そもそも4級程度に本当は該当しないのに、吃音で「家族又は肉親との会話は可能であるが、家庭周辺において他人には殆ど用をなさない、コミュニケーションは難しい」と偽った申請書を書くことは社会通念上、倫理上ゆるされないことです。3級の認定基準は発語発声に必要な器官の喪失です。吃音当事者でも吃音を主訴にして身体障害者手帳4級を取得したという人がいますが、家族や肉親以外とも会話ができていることが多いです。(このような不正な申請を見かけたら自治体に通報しましょう)こういう背景もあり15条指定医師は吃音を身体障害者手帳の対象であると認めないことがあります。また、すでに発達障害者支援法に吃音が含まれていること、発達障害による精神障害者保健福祉手帳の申請は日常の困りごとが軽度でも存在すれば取得することが可能なため精神障害者保健福祉手帳をすすめてくる場合もあるでしょう。

今現在、身体障害者手帳4級をもっている吃音当事者はそれを大切にしましょう。

吃音が身体障害者手帳の交付対象になっていないことの原因は吃音業界、当事者団体が発達障害者支援法ができる以前に障害者運動をしてこなかった歴史が関係しています。発達障害者支援法ができるより以前に障害者運動をしっかりして身体障害者手帳に制度の中に明確に吃音を含むようになっていれば別の未来があったかもしれません。それに間に合わなくても発達障害者支援法ができた当初から発達障害業界、発達障害児者団体と連携して障害者運動をしていれば吃音を苦にした自殺自死も避けられたかもしれませんし、吃音を苦にして、自治体や病院に相談したが吃音は障害じゃないと言われ門前払いされひきこもりになってしまっている人にも別の未来があったでしょう。

なお、精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳のように「障害レベル、重度かどうか、明確な数値レベルがありこれ以上だと何級、これ以下だと非該当」という物差しはありません。日常生活、学校生活、職場生活、社会生活でできることできないこと。(他人や例えばブギーボードなどアイテムに)助けてもらえばできることできないこと。電話や挨拶や朝礼や発表の免除、減免などの合理的配慮をしてもらえているならそれを希望するなら精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。1年間365日学校でも職場でも日常でもどんな些細なことでも困っていれば3級は取得できるのです。職場では困ってないけど日常で困ってますでも手帳は取れます。その逆もです。


――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する方法とは

東京都であれば区役所または外部の●●センターなど、市町村で所定の書類をもらいます。
申請者が記入する書面と、医師が記入する書面があります。
これらを入手して、医師に診断書を書いてもらい。
なおかつ、申請者が記入する書面を記入し、診断書と一緒に
最初の窓口に持っていきます。
(なお、この際、医師が書いた診断書は中身を開いて、コピーして保管おきます。
提出の際に病院の封筒から出ていても特に注意されません。障害年金申請の際もそうです。ただ、障害年金の場合は社会保険労務士に委託するほうがセオリーです。
診断書を改ざんした場合は罰せられます。)


これで申請は完了です。
あとは審査を待つだけです。


東京都であれば、医師が記入するための書類はインターネット上に雛形があります。他の道府県も同様かと思います。
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/download.html



吃音は耳鼻咽喉科医師が精神障害者保健福祉手帳の申請書類を記入できることになっていますが(医師免許があればOK)。本当は精神障害者保健福祉手帳2級になる人が、3級になってしまうという事案もあるため。精神障害や発達障害の精神障害者保健福祉手帳申請診断書、精神障害や発達障害で障害年金申請をしたことがある精神科医師のほうがよいです。

後述する「ひとりで食事ができるとはどういう事?」を理解している医師でないとなりません。吃音で2級が取得できたはずなのに3級ということはあってはならないことです。

また、自立支援医療(精神通院)の「重度かつ継続」に関する意見書は精神保健指定医の番号を記入する欄があります。この視点からも発達障害や精神障害を診療する医師が吃音のことをもっと知っていってほしいと思います。耳鼻咽喉科医師の経験、申請書類の記入方法では対応できない現実もあるのです。



――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合診断書に何が書かれているのか?
こちらが診断書の書式です。
今の時代、医師はPCで記入して印刷して、記名捺印するのがセオリーです。






―― 重要な部分 病名をかく部分 ICDコードを記入
(さらに重要なことですが、吃音のある当事者さんは、自分自身にある発達障害が吃音だけなのか? 本当はそれ以外の発達障害があるのではないかと調べることを強くオススメします。このあと記事中に理由が書いてありますのでもしかしたら!と思う人は是非)

(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


ここが最重要です。
主たる精神障害は吃音単独になるか。それとも――。
さらに従たる障害として「気分(感情)障害)」、「発達障害」が記入されるでしょう。

精神障害者保健福祉手帳は発達障害単独でも問題ないです。
うつ病や社交不安障害が無いと精神障害者保健福祉手帳を取得できませんというデマ、ウソが流れています。そもそも発達障害があって困っている状況が悪化して、さらに二次障害が発生しないと手帳を取れないというのはおかしいですよね。発達障害で困っている人が深刻なダメージを受けないといけない? 違います。深刻なダメージを受けないように、守備するためのイージスが精神障害者保健福祉手帳です、合理的配慮です。学校や職場で合理的配慮を受けるために必要な場合はその事を精神科医師に伝えましょう。それも踏まえて診断書を書いてくれます。精神障害者保健福祉手帳は更新制度なので、その人が望む限り、医師は診断書を書いてくれます。

この際重要なのは後述していますが。「困っていること」、「大変なこと」、「吃音があってできなかったこと、人つきあいや手続きを避けていること」、「吃音が問題にならない環境はどこかとどんどんそちらをさがしてしまうこと、本当にやりたかったことを諦めたこと」、それらを事細かく、フラッシュバックする思い出であっても文章に書き起こすことです。どのような些細なことでも。1から100ではなく、1から10000までの詳細さで書き起こすことです。


たとえば発達障害当事者でも発達障害があることを隠して一般枠で就労しているのに、精神障害者保健福祉手帳2級という人もいます。ありとあらゆる手段、方法、スマートフォンアプリ、服薬、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、ストレスコーピング、当事者会での相談、病院医師や支援職と相談などなどで「健常者・定型発達者」に適応する、ついていく場合があるからです。さらに仕事は辛うじてできても、自宅がゴミ屋敷、片付けできない、金銭管理ができない。清潔さが維持できない。同居の家族やパートナーが全部家事をやってくれるという場合もあります。仕事はできるが、仕事にいくまでの準備や日常生活の必要な作業や買い物は誰かがやってくれるという場合もあります。サービス受給者証を使い、部屋の片付けや掃除、家事を支援者に手伝ってもらう一般枠就労発達障害当事者もいます。

ということで、吃音のある人も、一般枠就労で精神障害者保健福祉手帳を取得することも事実上、可能な訳です。ただ、発話発語の発達障害である吃音の場合は学校や職場において『どもれば・話せばバレる』のでそこは事例研究が必要になるでしょう。



たとえば吃音もその他の発達障害を持っている場合は
(1) 主たる精神障害 自閉症スペクトラム障害 F84
(2) 従たる精神障害 吃音症 F98.5
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


のようになります。
主たる精神障害と従たる精神障害の順番の違いは医師の判断になります。
主たる従たる精神障害がダブルで発達障害ということになるので、精神障害者保健福祉手帳の更新は、自発的に取りやめる場合を除き、死亡するまで更新できるでしょう。法律が変化した場合は別です。

このようなこともあるので、吃音のある当事者さんは、発達障害があるかどうかを調べる、心理検査、知能検査を受けることをオススメします。吃音だけが生き辛さかと思っていたところ本当は別の発達障害が併存しており生き辛さにつながっているという場合もあります。読み書き計算などは通知表や評定表でなんとなくわかりやすいです。字が汚い。罫線がないと書きにくい。または罫線があってもずれていく。書き順がわからないが文字を映像、画像として記憶していて、なんとか社会生活を乗り切っている。計算が本当はできないけど文明の利器で乗り切っているなどもあるかもしれない。発達障害の中でも五感視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の過敏や鈍麻は当事者だけでは気付くことは大変困難です。発達障害を診療する精神科医師でもなかなか難しいことです。発達障害当事者が発達障害先輩当事者が書いた書籍やニュースを見て『これ私だ!』となることがあるくらいです。そのときにはもう大人になっていて、安心安全な学校で合理的配慮を受けて、もっと勉強できたかもしれません。大人になってから学校が嫌いだった、真剣に集中できないことが多くて勉強があまりできなかったと後悔する人もいます。

発達障害当事者によくある、あるあるネタで、そもそも発達障害のある当事者はその見ている、感じている世界の感覚が通常であると勘違い・思い込みしているためです。たとえば音やニオイの感覚過敏がある発達障害の症状がある人は「自分以外の人もこのうるさい世界を我慢しているんだ。この騒音や人混みが大丈夫なんだ」と思い込んでいるため。病院に行こうという状況にすらならないのです。定型発達、健常と言われる人々は軽く受け流すとか不快感を感じていないのです。事例 → エアコンや冷蔵庫や扇風機の音は気になりませんし、ビルの玄関・入り口に設置されている、一定の周波数の音がでる装置(害虫、害獣対策の超音波?)は苦になりません。洗濯洗剤や柔軟剤や香水のニオイは気になりません。リコーダーや笛の音は気になりません。光の眩しさも気になりません。人がたくさんいる居酒屋やファミレス、パーティでも目の前の人と会話ができます。他の音や他の人の会話や店員の会話が耳に入ってくるなんてことはありません。身体が極度に疲れる前に空腹がわかります。何かを食べようとします。 定型発達、健常者と言われる人は「強い極度の不快感を感じません」、「発達障害のある人は強い極度の不快感があったとしても、それを当たり前に生まれた時から経験しているので世界はそういうもので、自分以外の全員がそれを経験して我慢しているんだから自分もそうならないといけない」と思い込んでしまうのです。吃音のある当事者も、自分自身の生き辛さは本当に吃音だけなのか? を調べることをオススメする理由です。吃音のある子どもの場合はまだ適切に困りごとを表現できないかもしれません。保護者がわかるのは、子どもがある場面を避ける。子どもがある場面になるとスペックが低下する、疲れやすい、やる気を失っているなどがある場合。「どうしたの? 何か辛い? うるさい? 臭い? 眩しい? 呼吸がしにくい? 音が聞こえにくい? 変な音がする? 他の人の声が気になる? 空腹なのにそれを忘れている? 水分がほしいのにそれを忘れている? 肌の感覚がへん? 服を脱ぎ捨てたい?」などを子どもと会話してみましょう。保護者も発達障害の人が生きる世界。感覚過敏の世界、感覚鈍麻の世界を事前に知ることが必要になります

こういう視点からも耳鼻咽喉科医師が吃音を診療するだけでは、当事者の困りごとが他にあるかもしれない。という診察での見立てや質問をすることが困難な場合があります。発達障害を診療する精神科医師なら、発達障害のある人の五感の過敏や鈍麻、発達障害のある人特有の言い回し、発言、説明の仕方、外見、表情、服装、持ち物、こういう事経験ありますか? これは? こんなことは? と診察で質問する、またはそれを引き出す質問の仕方をする。初回面談で精神保健福祉士や心理士が話をする場合も多いです。発達障害の特性を理解しているため、発達障害児者に対する質問の投げかけ方が異なるのです。これは吃音業界の耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士ではできないことです。また、可能な限り、母子手帳や小中高校生時代の通知表や評定表を調べることもします。精神科医師・福祉従事者はこのように当事者の困りごとを調べて、そして幼少期から読み取れることはないかなどを調べます。
となると耳鼻咽喉科医師は吃音以外に当事者が困っているかもしれないことを見落とす、見立てをできない、気づくことないという結果になり最終的に耳鼻咽喉科医師だけでは、吃音当事者は「吃音だけで困っている」と判断してしまうでしょう。ここで本来は精神障害者保健福祉手帳2級程度の人が3級になってしまう問題が出てくるのです。

菊池良和医師が執筆した、監修した書籍にも吃音とそれ以外の発達障害の合併が指摘されています。「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 - J-Stage」という報告もあります。吃音のある人の中に、吃音しか持っていない人。自閉症スペクトラムやADHD、LD、チックを持っている人もいるかもしれません。また、不器用さという視点で発達性協調運動障害があることも。発達性協調運動障害の詳細はリタリコ発達ナビを→ https://h-navi.jp/column/article/35025585

また、自閉症スペクトラムのある当事者、ADHDのある当事者の中にも吃音をもっていて吃る人がいます。(診断がついていないことが多い。吃音者から見ればすぐわかる。2014年に発達障害情報支援センターや厚生労働省が吃音が発達障害であると再度周知を行ったおかげで逆に発達障害当事者が吃音があることもわかったという事例が出てきており、精神障害者保健福祉手帳申請時に主たる障害、自閉症スペクトラム、従たる障害、吃音症と診断できるようになったため、等級が重くなる、更新しやすくなったというメリットが報告されています)

実は吃音のある子どもの保護者や親戚縁者に発達障害当事者がいるかもしれない問題
さらに発達障害は遺伝の関連もあります。(筆者も親戚に発達障害当事者がいることがわかりました)お子さんが吃音だった、吃音以外の発達障害だったということは、父母、祖父母、父方、母方の親類親戚縁者で吃音の人。発達障害の人。ちょっと変な人。キャラが濃い人。こだわりが強い人。不思議な感じの人。衝動的な人。距離感がわからない人。引きこもっている人。結婚できない人。結婚はしていたけどパートナーがカサンドラ症候群になり離婚。正月やお盆などに本家や大本家に集合した場合、入ってはいけない部屋がある。またはいつも絶対に集合しない人がいる。いないことになっている。(いないことになっているどこか遠くにいっていることになっているが実はその集まった本家や大本家のどこかの部屋にいる)などなどが存在するかもしれません。もしくは父母がそもそも「発達障害特性」を持っているかもしれません。意外とお父さんお母さんはそういう経験があるのではないでしょうか。そういう経験が子どもの吃音が社会でどう見られるか、どういう仕打ちをされるか。などを想像できてしまうかもしれません。それ故に吃音を障害にしてはいけない、自分の子どもは障害者ではない。彼らと同じになってはいけない。という吃音至上主義につながるかもしれません。



吃音しかないけれど気分障害、社交不安障害など持っている場合は
(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 障害名 FコードXXX
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


純粋な吃音者がどれくらい存在するのかは別として。
吃音症と気分障害、社交不安障害などを記入することになります。


――― 発病から現在までの病歴及び治療内容等
次にこの部分です。
ここはあらすじを書くところです。いつから、なにがあった、何で困っている、トラブっている、特別支援学校・学級・通級の利用有無、仕事のトラブル
などが短い文書にまとめられます。


――― 現在の病状、状態像など 
ここには診断書の(11)と(12)の部分が記入されるでしょう。
11に自閉症スペクトラム、12に吃音という例になります。



――― 4の病状、状態像等の具体的程度、病状、検査所見等 
※おおむね過去2年間の状態について記載してください
ここは障害や病状が具体的に何がどうなっているかを記入します。

対人関係のトラブル、衝動性がある、感覚過敏がある(音、光、におい)、吃音があるため、発話・発語によるコミュニケーションも円滑に進まない。

検査所見として心理検査、知能検査の数値も記入します。
WAIS3、WISC4など。ISS、NRTなど。 
FIQやVIQやPIQなど。
FSIQ VSI PRI WMI PSIなど。



――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)
※おおむね過去2年間の状態について記載してください

ここは診断名に続き、重要な部分です。医師にしっかり記入してもらわないといけません。困っていること、できないことをしっかり医師に評価してもらうこと、その評価のために「私の困っていることリスト」、「私の黒歴史ノート」、「私の人生はこんなに大変でしたノート」を医師に印刷して手渡すことが大切になります。ここには日常生活、学校、職場、窓口などありとあらゆる場面のことを書きましょう。
1から100までではなく。1から10000まで、事細かく、ここまで書くかと自問自答するほど、詳細に書き起こしましょう。フラッシュバックすることもあるかもしれませんが、それくらい詳しく書く必要があります。精神障害者保健福祉手帳を申請するときは、「一番最悪な状態、一番困っているときのことを」思い出しながら書くというイメージです。それを医師に伝えるのです。
(これは初めて精神科医師、精神科病院に行ったときの初回面接や医師とのファーストコンタクトのときに手渡しましょう。更新の際は、日々の通院で、最近こんな失敗や嫌なこと、不利益があったと報告しましょう。定期通院での報告、これらは医師が重要視します)


障害年金申請の考え方と同様です。
そもそも発達障害診療に強い、精神科医師ならそこは理解していると思うので当事者との問診や心理検査や知能検査、日常生活はどうなっているか? 詳しく聞いてくるはずです。

「ひとりで食事ができる」とは、コンビニ弁当を買う、カップ麺を食べることができるなど ではありません!!吃音によりできないことも事細かく、こういうことができない。こういう機会を失ったと医師に理解してもらうのです。


ひとりで1日3回の食事を、栄養計算して、冷蔵庫をみて、どんな料理にしようか考えて、予算(収入)と相談して、持っているお金のうちの何%は食費に使えるか考えて、何を買うか考えて、お店に一人で行き、その道のりまでに安全に移動できるか、商品を選んで、お金を支払い、お釣りを間違わず受け取り、お釣りが間違っていれば指摘し、帰宅後に調理をする、火を使い、包丁をつかい、お皿をあらう、ゴミ捨てをする。

などのように1から10000までのこと。これが含まれているのです。


ひとりで食事できますか?「あっ これできる」
は間違いです。

吃音のある人の場合は、話せることもあるのですが。
困っているとき、話せないときのことを、吃ってしまうことにより不利益があったこと。しっかり医師に表現してもらうことが大切になります。



吃音のある人の場合、下記の部分が重要になります。


吃音のある人の場合、言葉を話すことが難しいとき、家族や友人、パートナーに「援助をしてもらう」、「助けてもらう」本人に変わって意思疎通の過程を行ってもらう、発話発語以外の手段を「周囲に理解してもらい助けてもらう(発話発語が発生しないルートで予約であったり買い物をする等)」という援助を受けている。普段は
これらを考えましょう。【援助があればできる】これが大切になります。

「エ 通院と服薬」
通院が一人でできるか。誰かと一緒に行くか。
次回の予約や病院窓口とのやりとりが上手くできるか。誰かにやってもらうか。
不安を解消するための服薬はあるか。
現在の制度上も可能ですが、実行されている病院があればです。
自立支援医療(精神)で「言語聴覚士による指導」は可能です。
発達障害を専門とする病院が言語聴覚士まで雇用していないだけなのです。
ということで、吃音のある人は、3割負担よりも安く、通院、処方箋、言語訓練が可能になります。
東京だと、発達障害を専門にする病院に言語聴覚士もいる事例もあります。
今後、吃音も診療します。言語聴覚士がいます。という病院が増えることを願っています。



「オ 他人との意思伝達及び対人関係」
家族や友人、学校の友人や教員、職場の同僚などに助けてもらう、吃音がある人だと理解してもらっている状態、事前に説明してもらうなど。テキストチャットやメール筆談での対応がある・対応を認めてもらっている。普段は吃音のことは触れられないが当事者が吃音の調子が悪いようだと周囲が察して動いてくれる。

電話を使える場所なのに、メールやファクスをさがす。いちいち実際にお店の窓口まで訪ねていってしまう。吃音のない人が発話発語で済ませることをできないという事実を医師に書いてもらうことが大切になります。

1から10000までのとても広い視点・細部まで考えて、「あっ、そういえばこの場合は助けてもらってるじゃん」ということをまずは認識していくことが大切になります。当事者さんがこれくらいは吃音だからって甘えちゃだめだよなと自己判断しないで、これは困っていることだと認識することが大切です。
吃音があることにより、こんなにたくさん意思伝達がうまくいかない。
対人関係について課題がある。
友好関係の維持もそうですし。本当は話しかけたい・参加したかったけど、吃ることにより、返事のタイミングを逃してしまうとか。本当はヒマなのに用事があるとウソを言ってしまうとか。

吃音があることにより人生においてこんなにも機会喪失がある。ということをしっかり医師に伝えることが大切になります。


「カ 身辺の安全保持及び危機対応」
ここはどもってしまうために危機対応ができない場合を想定します。
危機を理解していても話せないため、どもってしまうその時間、秒のために危機対応できないこともあるでしょう。吃ってしまうことにより周囲にSOSを出せないという状況もあります。自分が怪我や事故に巻き込まれても、110や119に電話できない。目の前で犯罪行為があっても、通報できない。または目の前で誰かが「助けてくれー。そこの人!」と言われても吃ってしまうから見なかったことにするなど。

警察官に職務質問を受けても吃ってしまうために、違法薬物をやっているのではないかと、応援の警察官を呼ばれてしまったということもあるでしょう。こういうときに精神障害者保健福祉手帳は強い力を発揮します。

吃ってしまう時間=吃る時間
という数秒から数十病の時間があるために、スムーズに流暢に話せていれば巻き込まれなかったはずの無用なトラブルを招いてしまうこともあるのではないでしょうか?


「キ 社会的手続き及び公共施設の利用」
これは市役所など窓口、銀行、病院、何らかの契約、ありとあらゆる公共施設や公的機関、公的機関に準ずるもの。年金事務所でも税務署でも裁判所でも法務局でも健康保健センターでも、公共交通機関でも。どのようなものでもです。
学校でもそうです。

人間社会で必要な手続きや施設の利用が吃ることにより、うまくいかないこともあるでしょう。

 「ク 趣味・娯楽などへの関心、文化的社会的活動への参加」
これは吃音のある人には厳しいですよね。
外に遊びに行く。イベントに行く、他の人と交流する。
新しい人間関係をつくる。
趣味の仲間をつくる。
世間話をして人間関係を維持する。
吃ることによりできないですよね。
難しいですよね。
機会があっても避けることもありますよね。新しい人間関係や趣味の世界、新しい何かを実行したい。でも吃ってしまうから、吃ってつらい経験をしたくないから、笑われたくないから、やっぱり諦めようとなってしまう等。
学校や職場に行くだけで精一杯ということもありますよね。それだけで精神をすりへらしてしまう、吃らないように頑張って疲れてしまうこともあるでしょう。




――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)の具体的程度、状態像
この部分に
吃音があることにより、対人関係の維持構築困難、社会参加できる範囲が限定されている。吃音のために自己防衛するため故意に狭い世界で生活している。上手く話せないことによりトラブルが起きたり、巻き込まれたりする、不当な評価や扱いを受ける。多くの援助を必要としている。

などを書いてもらえるようになると良いです。




―――最後に
吃音が軽度でも精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。
それは「このくらいの吃音じゃダメだろう」という当事者の思い込み。吃音を診療する医師が「このくらいの吃音で障害者手帳を取るなんてダメだ」という独特の価値観を持っている、価値観を押し付けるタイプ、以上の場合の悲劇です。

そして、精神科医師の視点から見る「困っている状態」の書き方を理解しているかどうか。耳鼻科医師が精神障害者保健福祉手帳は取れないね。というのは、精神障害者保健福祉手帳の申請診断書の「困りごとの表現」を熟知していないからです。また、言語訓練などにより吃音が改善したからこの状態なら大丈夫ですね手帳申請はできませんという意味不明な価値観も含まれます。(吃音以外の発達障害当事者だって就労移行支援事業、SST、服薬などなどで中度から軽度になっている人でも手帳を取得できます)

軽度の吃音とは、挨拶ができない言えない、学校名社名が言えない、電話ができない言えない、窓口手続きができない、お店で注文できないなどなどです。そして困っていれば3級は取得できます。就労現場でも電話の免除や挨拶や朝礼の免除、発話発語に関係する合理的配慮があれば3級は取得できます。

例えば発達障害を診療する著名な精神科医師でも精神障害者保健福祉手帳を持っている事例があります。世間から見れば「医師免許を持っているのに障害者手帳を持っているだと!なぜだ!メディアにも出演しているし、書籍も多数出版しているぞ!」となるかもしれませんが。「困りごと」があればいいのですから取得できるのです。


精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳と違い、「明確な診断基準、数値による線引がありません」ここがとても重要なのです。例えば吃音が身体障害者手帳になってしまえば、明確な診断基準、数値により、ここからここまでが●級となってしまうため、軽度の吃音当事者がカバーできません。全員切り捨てられます。

発達障害者支援法と精神障害者保健福祉手帳の概念は当事者が困っているかどうか。できないことがどれだけあるか。吃音状態が発生しないように言語訓練や当事者独自で編み出した方法頑張っていても(その他の発達障害も同様で発達障害特性により何かトラブルや失敗が起きないようにSSTやアプリケーション、服薬、ありとあらゆる事前の準備や特性に合わせた対処方法を使って頑張っていても)精神障害者保健福祉手帳は取得することができるのです。

2018年4月10日火曜日

【保護者向け】理容室、美容室に行けない子どもがいる保護者の方へ

発達障害のある子どもの中に。感覚過敏のため理容室、美容室に行けない子どもがいます。吃音のある子どもの中にもいるかもしれません。吃音のある子ども、大人にも感覚過敏がある場合もわかっています。


頭を触られる。
髪の毛に触られる。
ハサミが顔や頭皮に触れたときに嫌な感覚になる。
バリカンの音、ドライヤーの音に過敏。
髪の毛を切るというその流れが、工程が見える化されていなくて不安になってしまう。
美容室、理容室で泣き叫ぶ、暴れる、逃げてしまう。
暴れた時にハサミで怪我をするかもしれない。

発達障害のある子どもの中には、安心して髪の毛を切ることができない場合があるのです。

そして、その状態に困ってしまう。深刻なダメージを受けるお母さん、お父さん、家族がいます。理容室、美容室で起きたトラブル。他のお客さんやお店の人に謝る謝る。もう、お店にいけない。子どもが就寝中にこっそり髪の毛を切る。変な髪形になってしまう。髪型を誰かに指摘されからかいにあう。保護者が「しっかり育児していないのでは?」という外部の評価を受ける…。保護者がまいってしまう。

そんな中、誕生したプロジェクトがあったといいます。



―――発達障害のある子どもが安心安全な場所で、髪の毛を切るために、そらいろプロジェクトの取組

http://www.sora-pro.jp/index.html


京都に本部がある「そらいろプロジェクト」は理美容師さんが、普段、お子さんが生活拠点にしている場所に出張して髪の毛を切ってくれます。理美容室ではなく、出張してくれる。支援学校・児童館・幼児園・自宅などに来てくれる。

しかも、髪の毛を切る工程の見える化を行い。お子さんの不安。何をされるかわからない不安などを解消します。

そして髪の毛を切ることはどういうこと? という部分から切り終わるまでをサポートしてくれるのです。そして、徐々に髪の毛を切る行為を受け入れていき。最終的に理美容室に来れるといいねという流れになります。

これからもどんどん全国各地に賛同する理美容室が理美容師が増えていくと嬉しいですね。


2017年12月17日日曜日

文科省・厚労省合同プロジェクト「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト」が今後重要になる件

教育新聞からの記事です。


文科副大臣、厚労副大臣による「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト」の初会合が12月14日、文科省で開かれた。両省が連携を密にし、各地域の障害児と保護者への、切れ目ない支援体制の在り方を探るのが目的。会合には丹羽秀樹文科副大臣と高木美智代厚労副大臣が出席した。
同プロジェクトは、発達障害者支援法などを踏まえ、教委や福祉部局の連携体制などを検討する。今後2回の会合を経て、今年度末に両副大臣による提言をまとめる予定で、地域の実情に応じた、より良い連携の在り方と例を示す。
丹羽文科副大臣は「障害のある子供たちに向けて、教育と福祉の両分野から、さらなる対応を考えていきたい。関係者が互いに連携し、子供たちへのサービス充実を実現したい」と抱負を述べた。
高木厚労副大臣は「現場の先進的な取り組みを聞きながら、両省が手を取り合って提言をまとめたい」と語った。
文科・厚労省のPJ初会合 教育と福祉の連携を検討
2017年12月15日 https://www.kyobun.co.jp/news/20171215_05/
現在、発達障害児者支援で大きな課題となっているのは、ライフステージに対応した、困りごとに対応した支援ができているのか? 家庭、学校、病院、行政、労働、福祉の連携が本当にできているのか? これが大きな課題です。

―――その当事者の成長の記録が、合理的配慮を考えるときに役立つ さらに成長につながる

筆者が思う所。母子手帳のように「自分史バトン手帳」のようなものが作成されて、そこでどのような支援を受けたのか、どのように成長しているのか、苦手なもの、得意なものは何か。などなど克明に記していくことが必要になると思います。家族や当事者が記入することもあれば、学校の先生が記入することも想定されます。

自分史バトン手帳については私生活を克明に記録することになるので、自宅に保存する完全版と外部に渡す場合の仕組みも別途考えねばならないでしょう。もちろん、合理的配慮を必要としないという決断をした場合は、全く外部に伝える必要はなくなります。しかし自宅の完全版は引き続き記録が必要になるでしょう。またいつか使う日があるかもしれないということです。

現在、発達障害児者の支援は、幼稚園、保育園のときの支援や合理的配慮の情報。子どものありのままの姿が、そのまま小学校に情報としてバトンされるかが問題になります。それも中学校、高校、大学とバトンする場合もあるかもしれません。

情報がバトンされれば、過去にこういった場面ではこう対応した、こういう合理的配慮をできるようにすればいいのね!ということが学校側も教員もその時点の最新情報が理解できることになり、スタートから大失敗ということ、当事者側も嫌な思い出になることも避けやすくなるはずです。

よくある事例で、親・保護者が学校と話し合ったのに、担任に伝えたのに、他の先生には伝わっていないということもあります。とくに吃音業界では、本来使えるはずの文部科学省の制度が使われないという場合があります。吃音のある子どもの保護者のよくある辛い経験は「話が伝わっていない、ちゃんと対応してくれない、吃音の説明を「保護者がしなくてはいけなかった」のでとてもつらかった。菊池良和医師の本まで自腹で手渡した」まで事例報告されています。しかも相談したときにしっかりと記録されなかった。記録したとしても『XXX号 XX様式』といった法廷根拠のある書面ではなかった。最悪の場合、口頭のみだったという事例もあります。

本来は文部科学省の『「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」について』に書いてあるようにしっかり計画を策定し、書面化し、情報共有するものです。吃音業界ではこの制度を保護者が気づかないようにしているのではないか?と思えるほど悲しい事例が多くあります。(吃音の以外の発達障害のある子どもや大人、保護者の団体であれば、こういう場合はこうするという方法が代々先輩の親から後輩の親に情報共有・引き継ぎされているので、『計画を立ててほしいと申請しよう』という使える武器・カードがあることを早期に知ることができ、子どもや保護者が大ダメージを受けることや嫌な思いをするまえに実行できるのですが…。吃音業界の親の会がまだまだ発展途上ということもあるでしょうか。今後、吃音業界でも法的根拠に基づいた、文部科学省が認めた方法が広まっていくことを祈ります。菊池良和医師が吃音の子どもの合理的配慮説明をする資料を公開しているので、それと同時に、法的根拠のある制度を申請していくことが、安心安全な学校環境に子どもが通えることのルートになるからです)今後の課題になるでしょう。

こうやって計画をつくり、合理的配慮内容、無理やり子どもに話させないで、みんなの前で話す時はこうして、そもそも無理して話すことを強要するよりほかのことをのばしてほしい、話すことは大人になってから必要だから頑張って話せと先生が子どもに強要しないでほしい、ことばの教室の先生・担任の先生がその他の先生に吃音のことを必ず説明すること、などなどを家庭側と学校側で話し合って決めて、明文化していきましょう。言った言わない問題も避けていけると思います…。



―――発達相談のワンストップサービスも今後増えるか?

現在、多職種連携として、当事者である子どもや大人、その家族、学校や職場、生活する自治体の障害福祉サービス担当部門、通院先の病院、言語聴覚士や作業療法士、理学療法士、社会福祉士、精神保健福祉士、放課後デイの職員などなど多くの支援者と『1回で話ができる場』がほしい。ワンストップサービスがあればいいなという声が聞かれます。

事例としてよく取り上げられるのは。
発達障害のある子どもの子育てです。その情報共有や不安なことやしてほしいことの共有です。
お父さん、お母さんが共働きで、いつも平日にどちらかが休んで、病院にいく、療育センターにいく、学校にいく、自治体役所にいく、とあっちこっちに行くためにに1日有給休暇を取得する、半日取得するという大変さが語られます。

しかも、行く場所ごとに、話をする相手ごとに、毎回、毎回、毎回、毎回「同じ話、同じ説明をしないといけない」親としては本当に疲れるといいます。心労だといいます。
「あそこではこのように言われたから、今度からこちらではこのように対応してほしい」なんて説明は本当に疲れるといいます。

じゃあ、一箇所の窓口で1回相談すればワンストップサービスで「関係者全員に話が伝わればいいじゃないか?」という解決策がでてくるわけです。リアルで同じ建物、同じ空間にいることは困難でしょう。ここはビデオ通話ができるスマホのアプリやPC向けソフトが必要になるでしょう。無料のサービスがたくさんありますからこの壁は低いように思います。

そして情報の記録を「自分史バトン手帳」に保存されれば、言った言わない問題などトラブルも避けることができるでしょう。
文科省と厚労省の合同プロジェクトでも、家庭と教育と福祉の横のつながり。情報共有の円滑化、保護者の当事者の負担軽減をどうしたらいいかを考えが今後、具体案を出してくるはずです。



―――発達障害者の就職活動、採用する雇用する側も実は気になっている

非公式な情報で現在、厚生労働省では発達障害者の就職・就労の課題として、雇用する企業側、団体側からこういった質問があるという。(おそらく、今回の文科省厚労省合同プロジェクトで落とし込まれると推測)

『今まで、どういった合理的配慮を利用してきたのか? どういう環境だと落ち着いていたのか? 在学していた学校では何をどう提供していたのか? という詳細な情報を教えてほしい。こういう仕組みを行政が構築することはできないのか?』という問い合わせが多くなっているという。

なぜこうなるのか?という理由は。現在、「発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害、チック・トゥレット症候群、吃音、発達性協調運動障害、感覚過敏、感覚鈍麻など)は一般に浸透してきており、さらに関連書籍も多く出版されており、一通りの表面上の教科書的な発達障害の情報を獲得することはできる。

しかし、発達障害は「個々の発達障害特性が異なるので、最終的には個別の面談で何度も話し合いの場を設けて、当事者側と採用・雇用側が落とし所を見つけないといけない」ということがセオリーになっている。

かといって、発達障害者の就職活動、障害特性や配慮してほしいことなどを説明し相手に伝える「自分の取扱説明書」というものを履歴書、エントリーシート以外に添えるということはデファクトスタンダードになってきているが。それだけでは情報が足りないというのだ。毎回、毎回、毎回、当事者ごとに話し合いの場で『その情報を共有し、合理的配慮の落とし所をさぐる』というのが大変だという本音だ。要はその情報はここに辿り着く前に学校などですでにやっていることだから、そのときの情報を知りたいということになる。

そこで採用・雇用側が知りたいのは
学校時代はどういう合理的配慮があったのか?
発達障害特性により、大変なことはなんなのか?
どうすれば安心安全な環境で仕事ができるのか?(学校にいたときはどういう環境が1番当事者がやりやすかったのか?)
どういったコミュニケーション方法が1番伝わりやすいのか。苦痛にならない方法はなにか?
わかりやすい表現の仕方はなんなのか?
当事者がこういう行動やこういう話をしているときは、実はSOSのメッセージや困っているときなんですと過去の情報があれば助かるとか。


といった具合で、「過去にはこう対応していた。こういう場面は苦手なんだな」をより詳細に理解したい意図があるという。


―――ライフステージごとの支援、どのようなメニューがあるのかの見える化は文部科学省、厚生労働省が合同だからこそ可能になる

全国言友会連絡協議会がホームページ上に公開している資料に厚生労働省の日詰正文氏の講演録が掲載されている。実はこの中でも「情報の引き継ぎ・バトン」が指摘されている。厚生労働省職員がこのような事例報告をするということは切れ目のない支援が最重要視されていることになる。今後は、文部科学省と厚生労働省の連携「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト」によりさらに強いものになっていくことを願っています。

PDFファイル 2016年10月に開催された講演の内容である

次お願いします。(p13図12改正発達障害者支援法)こんな障害福祉サービスでの位置づけが少しずつ進んで、今年、発達障害者支援の大応援団の発達障害者の支援を考える議員連盟によって、国会で改正された訳です。ここでどういうことが言われたかというと、1番の「ライフステージを通じた切れ目のない支援」ってあるんですがどういうことかというと、あの引継の話なのです。さっきからくどくどと話しをしていますが、例えば今大学のセンター試験という入試の試験では、例えば中学高校でスピーカーから音を聞くと音がうまく聞き取れないので、別室でヘッドホンとかイヤホンを使ってヒャリングを受けたいんです、高校や中学でもそういうふうにサポートを受けてきましたという人は、大学のセンター試験でもそういうふうな配慮を受けられるんです。それからマークシートで塗りつぶすのが不器用で塗りつぶせない場吅はレ点チェックでいいです、これも中学高校できちんとそういう支援を受けてきたという証明があればいいんです。それから問題用紙の字が小さくて重なってしまって読み間違えたりするんです、だから大きな問題用紙を用意してくださいと、これも中学高校でそういう支援を受けて来ましたという人は大学センター試験でそういう配慮が受けられるんです。先ほどのヒヤリングの話しもあるし感覚
過敏がある場吅とか別室受験とか時間延長とか、時間延長は公平性からいったらちょっとと周りの人は思うかもしれませんが、中学高校できちんとそういうサービスを受けてきた人は公平性を要求される大学センター試験でもそういう配慮をきちんとしますよ、という時代に今なってきま
した。でなにを言ってるかというと、ちゃんとその人の為になるとやってきた支援は必ず次の人に引き継いでいこう、引き継いだらそれを受け止めてちゃんとやっていこうっていうのをうんと大事にして行きましょうというのが、このライフステージを通じた支援で、逆に言うと中学高校とか小学校でやってないことを急に求められてもそれは世の中的に対応するのは、なかなか難しいです。でもちゃんとやったことはちゃんと次の人に伝えようということをうんと大事にしていこう、いろんな学校とか保育所とか施設とか病院に徹底していこうというのが一番目の話しです。

それから二番目ですね。「家族などを含めたきめ細かな支援」というので、家族の方ももちろん本人を支援することになって頂きたい。逆に家族が壁になっている場吅もある訳ですね、それから家族だけが押しつけられて困っているとかいうのもあります。見ていくとそういう方達に独りでがんばれというのは、そうしていくことが多かったので、もうちょっと地域で動こう、ちゃんと話しをしていこうという話しです。




2017年10月30日月曜日

2017年10月30日放送のNHKあさイチ 俳優の古原靖久氏のタメ口が注意される

シリーズ企画「出たトコ!村」は、視聴者からいただいたメールの中から訪問地を決め、リポーターのヤスくん(古原靖久/俳優)が事前取材を一切せずに現地に飛び込み、“出たトコ”勝負で地域の“ピカピカ”な魅力を探し出す企画です。
果たして今回の舞台は・・・?お楽しみに!

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/171030/2.html


2017年10月30日放送したNHKのあさイチ。
俳優の古原靖久氏が、出たとこ勝負でノープラン。
事前に何も調べないで、取材依頼があった村に突撃するという内容であった。
村は長野県木祖村。縁結び神社、味噌川と笹川が木曽川に変化する場所の取材をしていた。

しかし、この放送のなかで古原氏は、村人(一般の人)にタメ口で、友達言葉で話しかけているところ、感情を出すところがあった。スタジオには有働由美子氏、井ノ原快彦氏、柳澤秀夫氏、ゲストのふかわりょう氏、益若つばさ氏がいた。そしてその中で有働由美子氏と井ノ原快彦氏が「タメ口・友達言葉」を注意していた場面が放送された。

この場面は一瞬、放送されただけであったので。出たとこ村というコーナーのVTRが流れている場面の(視聴者は見ることができない)スタジオではもっと強い注意が古原氏にあったのではないか?放送終了後の反省会でもとても強い注意があったのではないかと推察する。


――タメ口や友達言葉は一般常識として注意される これが日本の常識 吃音のある人が吃音回避として使う場合はどうなるのか?
ここが大切です。吃音のある人でも無い人でも。日本文化の中においてこのような言葉遣いは怒られることがわかりました。もちろん古原氏は吃音かどうかはわかりません。ただ、あのような言葉遣い・敬語無視をすること、これは「悪いこと、無礼なこと」という常識があることはわかります。

では、本題として吃音がある人。この人が『吃らないように発話・発語する技術、人生で身につけてきた処世術、キャラ、身体の動き、言葉の言い回し』を学校や職場や日常生活、NHKの放送で使うようになるとどうなるのか?

NHKではバリバラの「ここがズレてる健常者」などが放送されている。またあさイチでも「発達障害特集」として発達障害の特性が報道されるようになった。もしも吃音のある人が「吃ることを避けるため友達言葉、タメ口を使うこともある」これが報道されれば吃音のある人も少し生きやすくなるのではないか。

一般常識として悪いこと、無礼なことだから、吃らないように常に注意しながら話すのか?吃ることがあって、そうならないように、吃音回避として「友達言葉、タメ口」になることもあるとカミングアウトしておいて、学校や仕事、日常生活で吃音回避に集中する時間をなくして、他のことに使えるようにならないか…と。吃らないようにすることに重きをおくより、この人吃音があって、たまに吃音回避で友達言葉タメ口になってしまうけど許してね程度がいいなと思うわけだ。



2017年10月29日日曜日

【記事紹介】性同一性障害の人の中に吃音者がいること報道される

朝日新聞からの報道です。
性別上の戸籍を女性に変更したという話です。
しかしよくよく読んでみると、内容が複雑です。
筆者はセクシャルマイノリティで発達障害のある人と交友はありますが。このようなケースがあることはわかりませんでした。

想像ですが。吃音の悩みがあった。2006年当時は発達障害者支援法はまだ生まれたばかり。吃音業界は派閥抗争を繰り広げており、日本発達障害ネットワーク(JDDネット)に旧言葉を育くむ親の会が所属していたが、積極的に吃音が発達障害者支援法に含まれていると周知をしていなかった時代です。もしも2006年当時に吃音が発達障害者支援法に含まれている。障害者手帳も性同一性障害ではなく、吃音を主たる障害、従たる障害をうつ?適応障害で申請すれば精神障害者保健福祉手帳を取得できたのかな?と考えてしまいます。

いずれにせよこのニュースの人も吃音業界の派閥抗争の被害者なのかもしれません…。2005年から発達障害者支援法に「吃音」が含まれている。
これが吃音業界がしっかり認識して、権利擁護をしていれば自死する人も、ひきこもりになる人も、未来が変化していたかもしれません。吃音のことを新入社員研修で指摘されて生贄になる必要がなかったかもしれません。

――性転換をしたあとに後悔したという、事例が紹介される動画です
トランスジェンダー映画『悔やむ人たち』監督×中村美亜さんトーク





 朝日新聞から一部引用。全文はリンク先から。
 自分は性同一性障害だと考えて戸籍上の性別を変えたが、やはり適合できず元に戻したくなった――。性別変更をする人が増えるにつれ、こんな悩みを抱える人が出てきた。再変更は現在の法律では想定されておらず、ハードルは高い。専門家からは「何らかの救済策が必要」との声も出ている。
 神奈川県茅ケ崎市の40代元男性は2006年、戸籍上の性別を女性に変えた。それをいま、強く後悔している。家裁に再変更の申し立てを繰り返すが、「訴えを認める理由がない」と退けられ続けている。
 幼い頃から吃音(きつおん)に悩んでいた。疎外感を抱いていた00年ごろ、性同一性障害の人たちと交流する機会があった。「自分たちの存在を認めないのはおかしい」と訴える姿がとてもポジティブに映った。「自分も同じ(性同一性障害)だ」と考えるようになり、03年にタイで男性器切除の手術を受けた。
 04年に一定の条件を満たせば性別変更が認められる特例法が施行されたため、心療内科を受診。十数回の診察を経て、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた。横浜家裁に性別変更を申し立て、06年7月に変更が認められた。
 だが、すぐに後悔に襲われた。男性だった時には簡単に見つかった仕事が、女性になってからは断られ続け、性別を変えたためだと感じるようになった。弁護士に再度の性別変更を相談したが、「今の制度では難しい」と言われたという。
 ログイン前の続き現在は両親と離れて一人で暮らす。7月にようやくパン工場での仕事を見つけた。女性として就職したが、会社の理解を得て現在は男性として働く。「精神的に不安定な状態で申し立ててしまった。このまま生きるのは非常に苦痛で何とか元の性に戻りたい」と話す。
 11年に戸籍上の性別を変更した別の一人も、関西地方の家裁に今年6月、変更の取り消しを求める手続きを申し立てた。自身の判断でホルモン投与や性別適合手術を受け、戸籍の性別まで変えたが、現在は「生活の混乱の中で思い込み、突き進んでしまった」と悔やんでいるという。
 代理人を務める南和行弁護士(大阪弁護士会)は「戸籍の性別によって生活が決まる場面は多い。本人が限界だと感じているのであれば、自己責任と切って捨てるのは酷だ。取り消しを予定していなかった法の不備を、司法が救済すべきだ」と話す。
http://digital.asahi.com/articles/ASKBY5GNNKBYUTIL013.html?_requesturl=articles%2FASKBY5GNNKBYUTIL013.html&rm=589

【記事紹介】「運転手は難聴」伝え 車内に掲示 

毎日新聞からこのような記事がありました。
難聴のあるタクシー運転手さんのお話です。
当初は、難聴であることをカミングアウトせずに勤務していた。
しかし色々とトラブルがあった。
その後、車内に「運転手は難聴です。大きい声でお願いします」という説明書きを
設置した。というニュースです。

過去のことになりますが。長崎屋(今はドン・キホーテグループ)
には1Fに聴覚障害のある人の洋菓子店があったことを記憶しています。
このお店も「聴覚障害者が働いています。紙で注文してください」というお客様に向けた、メッセージ、注意書きがありました。今も長崎屋には同じ形態のお店は入っているのでしょうか?

吃音にも共通しますよね。
・この店舗では吃音のある人が働いています。配慮をお願いします。
・私は吃音があるため、話し方がオカシイと感じるかもしれませんが。ふざけていませんし、からかっているわけでもありません。ご理解のほどよろしくお願いします。仕事はしっかりやります。
・吃音があり、どもることがあります。また吃らないようにいいやすい言葉を発話・発語するため、日本文化の一般常識やビジネスマナーとして話さなければいけないことを実行できない場合があります。失礼なこともあるかもしれませんがご理解のほどよろしくお願いします。
・私は吃音があります説明一覧を名刺と一緒に配布して、相手、お客様に理解してもらう。
・吃音者がコールセンターで働く時は、「この通話内容は録音しています という説明の部分に吃音のある人が応対します。」というメッセージを流すなど。

吃音の人にもこういった、吃音当事者側から、吃音者が勤務している企業団体側から対応してくれるようになれば良いですよね。吃音の無い人も「あっ。吃音のある人が働いているんだね。なるほどね。よし。わかった」となるわけですから。


「運転手は難聴」伝え 車内に掲示
毎日新聞2017年10月29日 12時30分(最終更新 10月29日 12時30分)
 「運転手は難聴です。大きい声でお願いします」。車に乗り込むと、そう書かれたプレートが真っ先に目に飛び込んできた。広島近鉄タクシー(広島市南区)では難聴の運転手が6人在籍し、うち2人が身体障害者手帳を持つ。利用客と円滑にコミュニケーションがとれるように運転手が難聴であることを6人が乗務する車の中に掲示して、行き先の聞き間違いなどのトラブルを防止しているという。【小山美砂】
トラブルが絶えず
 掲示を始めたのは昨年。7年以上同社で働く宗森登美男さん(62)が6年前、勤務中に事故が起きた際に突発性難聴を発症したのがきっかけだった。利用客を乗せて目的地に着き、後部座席のドアを開けたところ、後方から来た自転車と衝突。自転車の30代の女性がぶつかって倒れ、軽い打撲をした。事故の精神的なショックで難聴になったという。「ぼーっとして、警察官の取り調べの声も聞こえなくなった」と当時を振り返る。音がくぐもって聞こえづらくなり、補聴器を使って乗務するようになった。
 当初、客とのトラブルは絶えなかったという。行き先を聞き間違え、全く違うところへ向かった。何度も聞き直して客に怒鳴られたこともあった。その度に「すみません、耳が聞こえづらいんです」と頭を下げた。
 トラブルに悩んでいたころ、長男から「最初から難聴と分かるように掲示したら」と助言された。何度も聞き直して怒られた客に難聴であることを説明したら分かってくれたことも思い出し、客の目につきやすい助手席の後ろに掲示した。
 最初は広告の上に名札サイズで小さく掲示したが、客が気づかないことも多く、昨年から広告を全て外し、大きなプレートに変えた。客が乗り込むと、プレートを指さして難聴であることを説明する。宗森さんは、「難聴のことを事前に知らせることでお客様にもご協力いただける。仕事がしやすい」と効果を実感している。
2種免の門戸拡大
 タクシーやバスなど客を乗せて運転できる第2種免許について、宗森さんの聴力は道路交通法施行規則の基準を満たしている。より耳が不自由な聴覚障害者も、2016年の同規則改正で試験の聴力検査での補聴器の使用が認められ、同免許取得の門戸が広がった。これを受け、同社では障害の有無を問わない採用に積極的に取り組んでいる。仁山功臣(いさみ)社長は「障害の有無を問わない雇用を行う上で、運転手をフォローするために大切な取り組み。お客様のご理解が必要で、全国にもっと広がってほしい」と話す。
より慎重に丁寧に
 宗森さんは「プレートのおかげで助かっている」と笑顔で話す。人より聞こえづらい分、誰よりも慎重に丁寧に運転するよう心がけている。客の目を見て行き先を確認し、今日も広島の街を走り回っている。https://mainichi.jp/articles/20171029/k00/00e/040/209000c

2017年10月18日水曜日

発達障害医療について大きな動きが 中央社会保険医療協議会 総会(第364回)議事次第が公開されました

2017年10月18日 厚生労働省講堂で中央社会保険医療協議会 総会が開かれました。
議事次第が直後に厚生労働省ホームページで公開されました。
発達障害児者向けの医療について大きな変化があるかもしれません。

PDF資料厚生労働省のホームページより
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000180088.html



P107によると、発達障害の診断を受ける人が増加しているそうです。
発達障害に関係する情報、医療従事者の書籍、当事者書籍が増えています。NHKも2017年に発達障害プロジェクトという1年を通して発達障害を扱う番組を放送しています。
一方、発達障害や精神障害のある就職希望者をあぶり出す採用時に使える試験もビジネスとして成立している日本です。
発達障害が排除に利用されていると東京大学の熊谷晋一郎氏も参議院の委員会で述べています。http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/021700092/

発達障害を診ることができる医師も増えてきたかもしれませんが。それ以外のことも関係していそうです。


P108は初診の待ち時間、待ち日数です。総務省行政評価局が調査した内容です。
三ヶ月待ちは当たり前という状況になっているようです。
発達障害を診てもらうと思っても病院に行くのにとても時間がかかるという状況です。


P109からP111まではそのような待ち時間、日数、病院の不足をどう解消していくかが
施策が書いてあります。

発達障害のある人の早期発見、早期療育につなげるため、かかりつけ医に発達障害について研修すると書いてあります。地域のかかりつけ医がなんらかの心配があれば、すぐに専門病院につなげるというイメージです。

P111は新規予算で行う事業です。
都道府県・指定都市が指定する「地域の拠点となる医療機関(高度な専門性)」
「その次に拠点となる医療機関の次に専門性を有する病院」
「チキの専門病院、診療所(かかりつけ医を含む)」
の3つがお互いに協力する体制で臨むようです。

全ての発達障害を診療できるような体制になると良いなと思います。
吃音の場合、高い交通費や宿泊費、学校や仕事を休んでまで遠くの病院に行かないといけない。こんなのはオカシイですからね。発達障害者支援法19条の病院の充実をしっかり実現していかないとなりません。

特筆すべきは都道府県・指定都市が指定する高度な専門性を持った拠点病院に「発達障害支援コーディネーター」が配置されることです。
1.医療機関の研修実施のコーディネート
2.医療機関同士の研修会実施
3.当事者・家族に対して適切な医療機関の紹介

発達障害児者とその家族が、正しい情報につながることも期待できるでしょう。
吃音業界の派閥抗争のように、それらに振り回される当事者家族も減るかもしれません。

また、吃音だけだと思っていたら、ASDもある、ADHDもある、LDもあるということも早期発見しやすくなるかもしれません。耳鼻咽喉科では見落としてしまうかもしれないことです。現在、吃音は耳鼻咽喉科が診療するというイメージですが、今後は耳鼻咽喉科も精神科医も協力する体制になるでしょう。耳鼻咽喉科では吃音があるかないか?発達障害による吃音かどうかの診療に特化し、障害特性については別の病院ということもありえるかもしれません。

しかし2017年現在で吃音業界は厚生労働省や専門家医師とのパイプがとても弱く、困り事が伝わっていないのが実情ですので、吃音以外の発達障害のほうが支援メニュー増加スピードが早いのではないかと心配です。現段階でも吃音は診れない診たくないという精神科医もいます。精神科医も吃音という簡単に演技することができるものは怖いというのがあるようです。


P117からは大切なことが書いてありますね。
ASDは原因不明。治療はできませんが。個々の発達ペースに沿った療育や教育の対応が必要とされています。ライフステージを通じたサポートが必要ということです。吃音の他にも発達障害がある場合は早期発見し個別ごとにあったサポートが必要ということにもなります。

成人になるまで発達障害があることに気づかず、就労や結婚により特性により不利益がある場合も存在するようです。




治療:現代の医学では自閉症の根本的な原因を治療する事はまだ不可能ですが、彼らは独特の仕方で物事を学んでいくので、個々の発達ペースに沿った療育・教育的な対応が必要となります。かんしゃくや多動・こだわりなど、個別の症状は薬によって軽減する場合があります。信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援につなげていく必要があります。乳幼児期から始まる家庭療育・学校教育そして就労支援へと、ライフステージを通じたサポートが、生活を安定したものにすると考
えられています。

自閉症スペクトラム(ASD)がある人の成人後の社会参加の予後に関連する要因としては、早期介入、家族間の育児協力、支援の継続などが重要とされている。
(出典:H19~21年厚生労働科学研究「ライフステージに応じた広汎性発達障害者に体する支援の在り方に関する研究」)
近年は、コミュニケーションや社会性の障害を中核的な特徴とするASDの特性が元々あるが、成人になるまで周囲に気づかれることなく過ごし、進学や就学、結婚などの大きな変化を迎えて初めて自分自身の特徴が 「問題」となり、医療機関を受診することが増えている。(出典:H26障害者総合福祉推進事業「発達障害専門プログラムパッケージ実施報告書」)






















2017年10月16日月曜日

【紹介】12月7日 東京有楽町にて菊池良和医師の講演会(内閣府障害者週間連続セミナー)

2017年12月7日「新しい法律を活用した吃音支援 こどもから大人まで」2017内閣府障害者週間「連続セミナー」の紹介です。

吃音ドクターこと、九州大学病院の菊池良和医師が東京有楽町にくるようです。
詳細はコチラ

http://www.kokuchpro.com/event/seminarcao2017/

2017年10月4日水曜日

吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか?

吃音者雇用ガイドラインです。随時バージョンアップします。
2017年10月4日NHKのハートネットTVで私たちの就活 —吃音とともに生きる— が放送されます。こちらは吃音者が吃音を持ちながら一般枠就労を目指すという内容です。このような吃音者の選択も良いでしょう。しかし合理的配慮がほしいという吃音者もいます。合理的配慮をするから精神障害者保健福祉手帳を持っていてほしい。法定雇用率に計算したいという企業団体や行政機関の採用担当者もいるでしょう。今回の記事は吃音者と職場側の『吃音の認識の違い、情報が共有されていない』がゆえに起こる課題について取り上げます。




―――吃音者の就職活動、吃音者への合理的配慮はニュースになるなど意識が高まっています 検索ワードでも増加してきました しかし大きな課題があった!

吃音者と働く、吃音者と働きたいと考える、企業団体や行政機関が増えてきています。
ここで大きな課題がわかりました。

発達障害者の就労移行支援をする人、障害者枠の採用担当、特に発達障害者の採用担当や職場内での合理的配慮を考える立場の人から、こんな声がありました。

『吃音者がどれくらい吃るのかわからない。面接のときに、私どもります。配慮してほしいと言われて、面接官・採用担当部署もそれを「わかった」というのですが…。そのあとがうまくいきません。』

『採用したあとに吃音当事者が、思ったよりどもる。吃音が中度・重度だったことがわかったのです。これでは仕事になりません。どうしたらいいですか?』


これについて筆者は色々考えました。
なぜ、うまくいかないのか?

1.吃音当事者が言う「私どもるんです。吃音があるんです」
2.面接官、採用担当が考えるまたは知っている吃音のイメージによる「この人どもるんだ。吃音者なんだ。まぁでも面接でも普通に話してるし大丈夫だろう」
この1と2が100%一致していないからです。


吃音者の認識している吃音というそのもの。



吃音 ← ここに認識の違いが生まれることによりトラブルになる。



採用側、雇用側が認識している吃音というそのもの



―――吃音当事者が言う「私どもりますから合理的配慮してください」と面接官や採用担当部署が理解している「吃音、吃るというそのもの」がどういう状態か完全に一致していない


吃音者は「私どもります。吃音があるんです。」
面接官、採用担当「大丈夫ですよ。」
この段階で吃音者は全てが受け入れられたと思い込んでしまう。
面接官、採用担当は、今は上手く話せているからいいか。

そうなのです。
たとえば、発達障害者が就職活動をする場合、エントリシートや履歴書の中に、『私の取扱説明書』、『私はこんなことが苦手ですリスト』、『してほしい合理的配慮・助けてほしいことリスト』などを別途準備してそれを提出します。文書化して見える化します。2018年現在、就労移行支援事業所によっては、就労移行支援事業所、採用側、当事者の間で合理的配慮事項を決定した書類を印刷して保存するという場合もあります。後々の言った言わない問題の回避や採用側(官民企業団体)に採用されたあと上司や同僚に説明する場合に必要、上司が変わった場合、異動した場合などの情報引き継ぎに使うためにも書面化するということです。

発達障害者向けの就労移行支援事業所であれば、就労移行支援事業所の環境がすでに会社という状態になっている場所もあります。上司役の人が数名いて、そのもとで利用者さんが訓練をするという形です。ここでリアルな現実に適応した就労訓練を行います。そこで利用者さんが「自分は何が苦手?何が大変?今日は何を注意された?今度はミスしないようにどういう工夫やアイテムを使う?困ったときは誰に相談する?職場の同僚(他の利用者さん)とはどう接する?上司へはどのタイミングで話しかける?メールで?電話で?言葉遣いは?」という実体験をしながら成長していきます。

利用者さんは実際の会社や職場が再現された環境で、自分の得意不得意を知り、失敗や困難な状況になるまえに避ける方法、アイテムの利用、スマートフォンアプリなどの利用、詳細な順番を書き起こした仕事手順書の作成、困ったときはわからないときは自分で判断しない上司に質問する。報告連絡相談をするということができるようになります。

それでも難しい、失敗してしまう場合は、私の取扱説明書で、「こういう場合、私はミスしやすいです。疲れやすいです。私がこんな行動をしていたらパニックになっているかもしれません。声をかけてください」といったことや「集中したいのでこういう場合は声をできればかけないでください」、「私は一人が好きなので、食事は一人でしたいときもあります。付き合い悪いなと思わないでください」、「感覚過敏があるのでイヤーマフを使っています。ノイズキャンセリングヘッドホンをしています。怒らないでください」などなど色々文章化して、面接官や採用担当者、採用後に働く職場に情報共有します。


上に書いたこと。これが吃音当事者には存在していないのです!!
これが存在していないが故に、面接官・採用担当者、採用担当部署もその後配属される職場も【吃音者がどもった場合にびっくりする】、【思ったより吃音が酷くて仕事にはならない(辞めるように仕向けるということも)】ということになっているようなのです。


この課題を解決するには【吃音状態がどの程度なのか?】を文章に書き起こす必要があります。尺度も必要になります。医療では吃音検査法という尺度があります。しかし働く現場環境を基準にした再現したリアルの尺度は筆者の知る限りありません。医学上の診断では、職場という常にいろいろなことが起こるかもしれない環境は想定されていないからです。
また吃音状態で吃る時に吃る事・発話発語の困難さ以外にどんな外見上の変化があるのか?相手におよぼす影響についても文章にしなければいけません。


―――吃音のこと、吃音状態がでると発話発語がどうなるのか?何秒間吃るのか?合理的配慮とは当事者も相手も「個々の人間ごとに個別の事例ごとに話し合い、お互いに一致した状態」をつくらないといけない 『私どもるんです』→『わかりました』が1番あぶない

・どのくらいの秒数吃るのか?どんな場面が吃りやすいのか?
まずは1番重要なところです。
吃音当事者ごとのどのような仕事・職務で吃るのか?『吃る時間』の見える化が必要になります。
発達障害者の就労移行支援事業所でも吃音者の就労移行支援の中でストップウォッチをつかって、吃る時間の計測が必要になるかもしれません。

●どもることによりどうなるのか?こういったことを見える化文書化すると良いかも
・●●な場面で■■秒吃ります。▲▲秒無音になります。(いろいろな場面を想定して過去を振り返り、文書化すると良い)
これが雇用する側、採用する側が1番知りたいことです。
吃る場面ごと、どれくらいの秒数吃るのか?
そこまで吃るなら発話発語にこだわる必要ないよね。テキストやメールでのコミュニケーションも使ったほうがいいかもしれないと選択肢を考えることができます。

・吃りながら唾液を飛ばしてしまう
だから、職場内でマスクを着用したいと申し出る。

・吃るとき、敬語よりもタメ口、友達言葉を使ってしまうかもしれない
こうなってしまった場合は、怒らないでほしい。触れないでほしい。自分でも悪いという感情はありますと申し出る。

・会社名、人名、お客様の名前、薬品名、モノの名前など言い換えができないときは吃ることがありますと申し出る。

・吃るとき、手足や頭、首が不自然に動いてしまうかもしれない。
このほうが発話発語しやすいのです。それを怒ったり指摘しないでほしい。こうなってしまう時もあるのでよろしくお願いします。

・吃らないようにするため歩きながら話すことがあります。
職場内を歩きながら話したり、壇上でスピーチや説明するときにスティーブ・ジョブズ氏のようにあっちこっちに歩き回りながら話すことがあります。



―――しかし、吃音者が合理的配慮を求める、自分の取扱説明書などなどの書類を就活で提出するとなると、一般枠での勤務は難しい(または一般枠で働くにしても法定雇用率に計算したいから障害者手帳はもっていてほしいと言われる)、障害枠での採用になるのではないか?という場面も想定される

発達障害向けの就労移行支援事業所では当たり前の説明なのですが。吃音業界では全く共有されていない情報です。

就職活動には、障害をオープンにして働く「オープン就労」、障害を持っていることを完全に隠して働く「クローズ就労」の二種類があります。クローズ就労の人でも精神障害者保健福祉手帳を持っている人はいます。クローズ就労の場合でも通院、服薬、ソーシャルスキルトレーニング、発達障害特性により仕事をミスしないようにいろいろなアイテムやアプリを使い頑張るという人もいます。頼りになるのは自分自身ということになります。

※クローズ就労の人でも精神障害者保健福祉手帳を取得できることを考えると、吃音者も吃音が軽度でも精神障害者保健福祉手帳を取得できることがわかります。医師がどうやって申請書類を書くのか?吃音の困りごとを理解しているかが重要になりますね。


オープン就労の場合は基本的に障害者枠採用になります。ただし、職場では合理的配慮をしっかりしてくれます。

クローズ就労の場合は一般枠で働きますが、苦手なこと失敗しそうなことがあっても、全部自分自身で解決しないとなりません。弱みを見せることはできません。

発達障害向けの就労移行支援事業所ではオープン就労の場合の履歴書の書き方、自分の取扱説明書などの書き方について丁寧に教えてくれます。しかしクローズ就労の場合、障害や病気、苦手なこと合理的配慮してほしいことは書いてはいけませんと指導します。もちろん書いていいのですが、一般枠でこのような応募者があった場合不採用になるということを就労移行支援事業所はよく理解しているからです。(このへんは今後変化してほしいとは思いますが、現実はそう甘くないようです。精神障害や発達障害を発見する採用試験がビジネスモデルになっている現状もあります)


さて、ということは。
吃音者も『吃る時間・吃る場面』を克明に文書化した私の取扱説明書を提出するということになれば一般枠採用が大変困難になるのではないかということになります。しかし吃音者は障害受容ができない人もいますので、障害者枠を受け入れないという場面もあります。今後、障害者雇用をする企業団体、行政機関、障害者就労を支援する団体、就労移行支援事業所、障害者向け就活サイトなどが吃音者の実態を知り、どうしたらいいか考えることも必要になるかもしれません。


以上 この記事はバージョンアップします。


関連記事
全文テキスト化 私たちの就活 吃音とともに生きる ハートネットTV
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2018/03/tv.html

2017年10月1日日曜日

【番組紹介】10月15日 バリバラにて場面緘黙を放送

番組紹介です。
2017年10月15日(日曜)放送のバリバラにて場面緘黙が放送されます。
過去には2015年にハートネットで場面緘黙の放送がありました。
今回はバリバラですので、少しテイストが異なるかもしれませんね。

詳細はコチラ 
「知られざる場面緘黙(かんもく)の世界」
学校など特定の場面や状況で話せなくなる状態になる「場面緘黙(かんもく)」。不安障害の一つとされ、場面緘黙のある人は500人に1人ほどいると言われている。しかし、ただの“人見知り”と思われがちで、困っている事を伝えるのも困難なことから、周囲の理解を得られずに孤立している人も少なくない。番組にもたくさんの悩みの声が寄せられている。当事者はどんな生きづらさに直面しているのか、”あるある“エピソードやコミュニケーションの工夫などを紹介。周りはどんな風にサポートすればよいのか、考えていく。
http://www6.nhk.or.jp/baribara/next/

2017年9月27日水曜日

10月4日のハートネット 吃音当事者さんは顔出しなの?プライバシーは大丈夫なの?

10月4日放送のハートネットTVです。
吃音者の就活だそうです。
現在、ホームページを見てとても驚いているのと同時に心配なことがあります。
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/program/index.html?id=201710042000

「顔出し」でやるのでしょうか?

「名前」は出すのでしょうか?

「仮名」なんでしょうか?

「音声加工」はするのでしょうか?

就活生を顔出しや名前出しで放送するのはリスクがとても高いです。
ハートネットTVは医療従事者や福祉従事者、支援者も見ますが。障害関連だと、官民企業団体の障害者雇用担当者、就労移行支援事業などに携わる人も視聴します。また、悪意を持って見ている人もいます。精神や発達障害者発見試験などを販売する人たちです。

もしも今回、吃音者の就活という番組に出る人が「クローズで就活」しているなら、絶対に顔出しや名前出しはダメです。リスクが高すぎます。

「オープンで精神障害者保健福祉手帳を取得している状態で就職活動するなら」それはまだマシかもしれません。

ただ、吃音以外の発達障害児者団体なら就職活動をする新卒学生がテレビ番組に出演するという場合に顔出し、名前出しについてはリスクの説明を当事者に何度も何度もします。まずはモザイクと仮名での出演をするようにと話し合います。テレビ局やテレビ局から委託され番組撮影をするスタッフもそういうことは理解していると思うのですが…。支援者も当事者を守るためできるかぎり個人がわからないようにしてほしいと働きかけるはずです。
今回「私たちの就活 —吃音とともに生きる—」という吃音当事者の就活番組が放送されますが。もし顔出しだとしたら、今からでも遅くないので、顔も服装もモザイク入れたほうがいいと思います。(可能なら音声も変更します)

吃音業界の支援者や支援団体は出演者に何も言わなかったのか?と心配になります。
発達障害関係の番組はできるかぎり当事者が誰であるかわからないように番組制作するのがセオリーです。

NHKハートネットであれば、ASD当事者など発達障害児者の番組を何度も報道しているのでそれはわかると思います。発達障害の当事者団体、保護者団体も当事者がわからないようにしてほしいとNHKハートネットの番組スタッフに伝えるでしょう。普段から発達障害関連の番組に携わっているNHKハートネットのコアスタッフもそこは理解しているはずです。それなのに現在ハートネットTVのホームページを見る限り、就活する吃音者は顔出しのように見受けられます。心配です。

NHKハートネットでも発達障害者向けの就労移行支援事業所を取材したときもできるかぎり当事者がわからないように撮影しています。普通はそういうものなのです。

吃音業界は発達障害業界と比較して、本当に情報が周回遅れです。
就職活動には「オープン」、「クローズ」の2種類しかない。ということが理解されていません。極稀にイレギュラーがありますが。原則としてオープンかクローズしかありません。発達障害者向けの就労移行支援事業所でも「オープンとクローズ」についてはとても丁寧に何度も説明します。オープンの場合、クローズの場合で履歴書、エントリーシートの書き方が異なること。オープンの場合は自分の取扱説明書などそれに準ずるものの書き方も指導します。

しかし吃音業界はまだまだそうなっていません。
今回のハートネットTVに顔出しででてしまい、あとで不利益があってもなんともいえません…。何事もないことを祈るばかりです。

2017年9月26日火曜日

【番組紹介】9月26日27日 NHK(Eテレ)で『自閉症アバターの世界 仮想と現実を生きる』が放送

メーリングリストで紹介されてきました。
今日、明日放送だそうです。




『ハイパーワールド:共感しあう自閉症アバターたち』(2017年3月刊、NTT出版、
2,808円)で書かれた自閉症アバターたちに会うために、著者・池上英子先生が全米
各地を旅してきました。その記録が、NHK(Eテレ)の「ハートネットTV」で、二夜連
続で放映されます。

2017年9月26日(火) 20:00~『自閉症アバターの世界 仮想空間の住人達』(再放送
は10月3日 13:05~)

2017年9月27日(水) 20:00~『自閉症アバターの世界 仮想と現実を生きる』(再放
送は10月4日 13:05~)

「インターネット上の3D仮想空間として誕生し、10年前にはバーチャルコミュニケー
ションの一時代を築いた「セカンドライフ」。SNS等の登場でブームは去ったもの
の、今もそこを楽園として居住している人々がいます。自閉症の人達です。
米国ニュースクール大学大学院の池上英子教授は、自閉症者には無いとされてきた他
人への共感性が、セカンドライフ内では豊かに存在する事を発見しました。
池上さんは、今回初めて現実世界で彼らの暮らしを知る旅に出ます。出会ったのは、
4人の個性的なアバター達。」(「ハートネットTV」での番組内容紹介より)

*) 『ハイパーワールド:共感しあう自閉症アバターたち』:「大人になった自閉症
の人は世界をどう見ているか。米国では約50人に1人いると言われる「自閉症スペク
トラム」の人たち。仮想空間で遭遇した自閉症の人々が語っていた内面世界は、情報
を過剰なままに取り込んでいる強烈な脳内景色、ハイパーワールドだった。「自閉
症」の社会史への深い洞察と、仮想エスノグラフィーから見える世界を斬新にリポー
トする。」( https://goo.gl/y4EQqP )

*) 9月26日放映の内容紹介は、https://goo.gl/ecHEgD
*) 9月27日放映の内容紹介は、https://goo.gl/AXtzyN

2017年9月21日木曜日

【保護者必見】NHKで発達障害関連番組再放送!!2017年9月22日0時ころから

吃音のあるお子さんの保護者。
吃音のあるお子さんが吃音だけじゃないかもしれないと考えている方。
吃音当事者の方。
吃音当事者で自分は吃音以外にも生きづらさがあると考えている方。


発達障害関連番組が一挙再放送されます。
NHKとNHK教育で2017年9月22日0時ころから再放送の情報です。
見逃してしまった人はぜひご覧ください。
おそらくNHK総合で一挙放送されると思います。
詳細はテレビの番組表をご確認ください。
深夜放送なので録画しておくことをオススメします。



■番組放送予定はこちら
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/hattatsu/

9月2日(土) ・9日(土) ・16日(土) ・23日(土) ・30日(土) 総合 夜11:25
「ハンク ~ちょっと特別なボクの日常~」
★学習障害の少年が主人公 イギリスの人気ドラマ
 5回シリーズ(一話完結)で放送!

9月22日(金) ※21日(木)深夜 これまでの番組を一挙アンコール放送!
① 9月22日 総合 午前0:10
 NHKスペシャル「発達障害~解明される未知の世界~」
② 同 午前1:10
 ETV特集「“いるんだよ”って伝えたい ~横浜・特別支援学級の子どもたち~」
③ 同 午前2:10
 ウワサの保護者会 「子どもの発達障害part4 どうする?進学・就職」
④ 同 午前2:40
 ハートネットTV「シリーズ 罪を犯した発達障害者の”再出発” 第1回 少年院の現場から」
⑤ 同 午前3:10
 ハートネットTV「シリーズ 罪を犯した発達障害者の”再出発” 第2回 出所、そして社会へ」

9月24日(日) 総合 夜11時
深夜の保護者会「発達障害 子育ての悩みスペシャル」
★「あさイチ」と「ウワサの保護者会」のコラボ特番
 保護者の悩みに徹底的に向き合います!

9月26日(火) Eテレ 夜8時
ハートネットTV
「自閉症アバターの世界① 仮想空間の住人達」

9月27日(水) Eテレ 夜8時
ハートネットTV
「自閉症アバターの世界② 仮想と現実を生きる」

9月27日(水) 総合 朝8:15
あさイチ「どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」

2017年9月20日水曜日

【番組紹介】10月4日 NHKハートネットにて吃音者の就活について放送 発達障害の部分は説明されるか?

NHK Eテレ、ハートネットTVの紹介です。

私たちの就活 —吃音とともに生きる—
2017年10月4日(水曜) 再放送2017年10月11日(水曜)
今年もスタートした就職戦線。社会に出る期待と不安に揺れる大学4年生。近年、売り手市場が続くなか、取り残されそうな若者たちがいます。吃音症のある就活生たちです。
吃音症とは、発声の際、第一音が出ない、繰り返す、引き延ばすなど言葉を円滑に話せなくなる症状。全世界の人口の100人に1人が吃音者であり、日本では120万人以上の吃音者がいると言われています。吃音は、その場の状況によって不規則に変化していき、家族や周りの人も理解しづらい上、本人すらもいつどこで吃るのか、わからないといいます。医学的にも、その原因や本態は分からず、完治も困難というのが通説です。
多くの吃音者が、自分の障害と正面から向き合わざるを得ないのが就職活動の時。言葉によるコミュニケーション能力が要求される面接は大きな壁となっています。言葉が円滑に話せないことで、コミュニケーション能力が不足していると判断されることも少なくありません。夢を抱くことよりも、吃音による障害が頭をよぎり、話すことの少ない職業を選ぶ吃音者も多くいます。
吃音への理解が乏しい状況で、生きづらさを抱えながら、社会に旅立とうとする姿を追いかけました。
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/program/index.html?id=201710042000





吃音者の就職活動についてEテレが取り上げるようです。
多くの吃音者が、自分の障害と正面から向き合わざるを得ないのが就職活動の時。言葉によるコミュニケーション能力が要求される面接は大きな壁となっています。
と明記されているようにNHKが、NHKのEテレが『吃音を障害である』と表現するのはとても良いことです。今までの吃音業界では吃音が障害ではない障害ではないとしていた空気もありました。しかし吃音があって困っている人がいる。就職活動で悩む人がいるということになります。

ただ、放送まで気になるところがあります。
「吃音は発達障害者支援法に含まれており、精神障害者保健福祉手帳を取得することができると説明するのか?」
「放送では純粋吃音者だけを取り上げるのか?」
「ASDやADHDやLD、チックを持った吃音者も取り上げるのか?」
「吃音と発達障害は異なるんだ!彼らと彼女らと一緒にしないでという空気感で番組が放送されるようなことはないのか?発達障害児者の当事者や保護者が見て悲しくなるような内容ではないか?」

2017年、NHKは発達障害プロジェクトという名目で、ASD、ADHD、LDについては頻繁に多くの番組を放送しています。しかしチック・トゥレット症候群、吃音についてはほとんど取り上げていないように感じます。

吃音業界では「吃音と発達障害は違う」という差別主義者もおり、発達障害を持った人と一緒にしないで、あんな人たちと一緒だと思われたら困るという価値観が蔓延しています。このようなことが当日放送する番組で出てこないだろうか?という心配があります。

2017年9月18日月曜日

8月7日 日本経済新聞の吃音記事について思うこと どこの組織?団体?がやっているの?

(読了目安 15分)
少し古い記事を紹介。
2017年8月7日に日本経済新聞が15面医療健康にて吃音の記事を掲載した。
日経スタイルがそれをネット上に記事公開。引用記事は最下段に。

さて、この記事が出た時に思ったのはどこの誰が研究しているのか?ここです。
吃音当事者団体が吃音の治療や診療ガイドラインを厚生労働省に要請要望したという話が
過去にあるが、それに厚生労働省が応えた結果なのか?ということだ。

また、吃音の記事が日本経済新聞社から、また関連の日経と冠するメディアから発信されるのは影響力が大きいと考える。日本経済新聞と言えば読者層もビジネスに関心がある層、人事部門、採用部門、障害者採用担当部門、発達障害者と一緒に働く人、経営者層が読んでいるともいえる。

吃音(きつおん・どもる人)は障害でもある。
発達障害者支援法に含まれていること。
精神障害者保健福祉手帳を取得できること。
吃音者は法定雇用率に含むことができること。
これらを読者層が知ったというのは大きな一歩だ。
困っている吃音者、障害受容のできている吃音者、障害者枠で働きたいという吃音者と経営者側の情報がリンクしたことになるからだ。

また、発達障害者の就労移行支援事業を行う事業主、経営者も『吃音者も就労移行支援事業所で受け入れるようにしよう』という考えをひらめいた人もいるであろう。

■1 記事本文について

―――記事冒頭は吃音の説明

記事は吃音の説明。幼少期の20人に1人。そのうち7割は自然になくなるという説明だ。
吃音は専門家の間でも病気や障害としてのとらえ方や、治療や対策の考え方に違いが出る難しい分野だ。世界保健機関の定義をもとに、厚生労働省は吃音症という病気の分類を設けている。これに沿って診断を受けると発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合もある。
というように、厚生労働省は吃音の分類を世界保健機関の定義をもとにして発達障害者支援法を利用し精神障害者保健福祉手帳をもらう場合と明記している点も見逃せない。

吃音を診療する医療従事者や支援者の間では、『吃音は身体障害者手帳を取得することも可能』との見解を述べる人間もいる。この場合は『吃音と明記しないで言語障害を表現すればよい』とのことであるが。身体障害者手帳申請書類を書く15条指定医師は 音声・言語・そしゃく機能障害の診断基準に明記されていない状態を書くことを躊躇う人もいる。15条指定医師としての資格を取り消されるリスクもあるためだ。

日本経済新聞では身体障害者手帳については触れていない。発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合、としている。15条指定医師も吃音については曖昧な基準になっている身体障害者での申請よりも発達障害者支援法で明確になっている精神障害者保健福祉手帳での申請を促すだろう。

実は筆者もこの点が気になっており。東京都に確認したところ、『吃音は発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳を申請できる』と説明を受けている。身体障害者手帳も取得できるのでは?と聞くと『発達障害者支援法に吃音が含まれている』と説明を受けた。

この点、日本経済新聞の藤井寛子氏はしっかり取材しているなと受け止めた。
日本経済新聞が『世界保健機関の定義をもとに、厚生労働省は吃音症という病気の分類を設けている。これに沿って診断を受けると発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合もある。』と明記したことは大きな影響がでるだろう。



―――国立障害者リハビリテーションセンターが2016年夏からアンケートを実施
記事中盤では国リハが中心となり、3歳児健診などの際に吃音を調べる調査を昨夏から始めたこと。自治体と連携して親にアンケート調査をし、必要ならば面談もするという。言葉の繰り返しの状況などを確認し、4カ月ごとに質問用紙を送り、計2000人を調べるという。
 
 調査期間は2年で、2017年3月の集計では約5%が吃音と推定されたという。同センターの森浩一部長は「幼児全体では5%よりもっと多いと考えている」と話す。調査を続けると増える可能性があるとみているとのこと。

―――気になるのは「費用対効果」という発言
記事中盤では
 一般に、8歳になるころから、症状はなくなりにくくなるといわれる。早期に日常生活の対策となる訓練を受ける必要性が指摘されている。森部長は「半数以上は自然になくなるため、支援のかけすぎという声もある。費用対効果を考えて、最適な介入のタイミングを調べたい」と話す。
と書かれているが。費用対効果を治療、療育、訓練に持ち出すのはいかがなものか?というのが率直な感想だ。X歳までに、●●をすれば吃音が完治する。寛解するというならばよいが、そうでない場合もよくよく想像してほしいものだ。

そもそも2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていること、それが公に広く周知されるのは2014年7月3日の国立障害者リハビリテーションセンター内部の発達障害情報支援センターが「発達障害の一覧」に「吃音」を加えた日である。

本来であれば2005年から、自閉症スペクトラムやADHD、学習障害、トゥレット症候群の当事者や家族と同じ権利が吃音児者にあったはずである。医療機関の充実や、社会保障制度、合理的配慮、障害者雇用枠の利用、自立支援医療費(精神通院)などなどありとあらゆる面で全く同じ権利、同じ内容を利用できたはずである。

とくに国立障害者リハビリテーションセンター病院は2014年7月3日以前から吃音者に精神障害者保健福祉手帳を取得できることをホームページ上で公開していたのか?医療従事者に吃音は発達障害者支援法に含まれていて、法によりありとあらゆるサービスを利用できますとアナウンスしていたのか?という疑問がでてくる。まさかと思うが費用対効果という価値観で、吃音者に気軽に精神障害者保健福祉手帳を取得されたら日本の財政が傾くというような価値観があったから?吃音が発達障害者支援法に含まれていることを故意に伏せていたのかしら?と想像すると恐怖しかない。

このように発達障害者支援法に吃音が含まれていたことが事実上、見えなくされていた過去があったうえで「費用対効果」という言葉がでてくるのは驚きを隠せない。
困っている当事者が、ライフステージに合わせて、いつでもありとあらゆる制度が利用でいて良いはずである。

そもそも、発達障害者の中でも精神障害者保健福祉手帳3級を取得しているが、服薬、スマートフォンのアプリ、スケジュール管理、リマインダー、イヤーマフ、静かな環境、人が少ない時間に移動、ソーシャルスキルトレーニング、当事者会で悩みを話す、病院で医師や支援者に相談などなど、余暇活動でストレス発散、仕事や職場ではなんとかなるが帰宅した後は何もできないから家族や他人に助けてもらう、仕事や職場で働く時間の体力・ヒットポイントはあるが使い切ってしまう(仕事や職場以外で定型発達を装うのが精一杯でそれ以外の場所で発達障害特性がでてしまう、飲み会や遊びの誘いを断ることも)いろいろな選択肢を利用して健常者・定型発達者を装い、振る舞い、

(上に書いた数々の努力により)精神障害者保健福祉手帳を持っていることを勤務先に隠して、一般枠で働く当事者も存在するからである。吃音だって上手く吃らずに話す方法を編み出して頑張っている人が精神障害者保健福祉手帳を取得することはできるはずなのです。

ここに「費用対効果」という価値観が入ってきてしまうのは悲しいことだと考える。この考えが拡大していくと軽度吃音者は精神障害者保健福祉手帳を取得できません。手帳申請書類を医師が書きません!! などという日本社会に発展する可能性もある。また発達障害者も一般枠で働ける人には精神障害者保健福祉手帳を交付しません!という日本社会に発展する可能性も考えられる。

吃音も含む発達障害は学校や職場だけ「障害特性」が表出しなければいいというものではない。日常生活も、毎日の終わりの飲み会や遊びのお誘いも、買物、銀行、役所の窓口、友人との電話、家族や親戚とのつきあい、御近所付つきあい、パートナーとの時間、余暇活動などどこの場面でも困ったことがあれば精神障害者保健福祉手帳を取得できる。こういった価値観が吃音業界にも、吃音を診療する医師にもひろがってほしいものですが…。吃音業界はあくまでも学校や職場という想定ばかりなのが気になるところだ。

吃音を含む発達障害を一般の人が体験できるシステムができればと思う。発達障害については最近、その世界を体験できる方法が開発されたが、吃音の場合はまだまだ難しい。口が動かない、喉を締められている、頭のなかで何かが衝突している、話したいことを話せない。こういったことが365日、いつどんなタイミングで襲われるのかということである。医療従事者にはこういった「●●障害体験」などは積極的にしてほしいと思う。

2014年7月3日に発達障害情報支援センターの説明に吃音を加えるように指示した、英断した、「英雄の職員」には心から感謝している。あなたのおかげで吃音児者の失われた1X数年に終止符がうたれた。

こういうところを日本経済新聞に取材してほしかったとも思う。



―――診断方法の紹介
費用対効果の語りのあとは。診断方法や治療について書かれている。
診断は患者の年齢もふまえ、音の繰り返し、子音と母音の長さ、単語の途切れなどの症状をみるという。
 子どもの対策では、海外で開発された手法「リッカムプログラム」を使う医療機関が増えているという。環境調整法という子どもが話しやすい環境を整える例についても言及されている。


―――吃音治療ガイドライン作成へ
この記事の本題だと思われる、吃音治療ガイドラインの作成について言及。
 現場では様々な取り組みが進むが、国内の学会などによる治療ガイドラインはまだない。そこで国立障害者リハビリテーションセンターなどは、これらの対策の効果を探る多施設での試験を昨秋始めた。約2年で結果を出し、ガイドラインの作成につなげる狙いだ。
 この分野は専門家不足が指摘されている。実際に訓練などをする言語聴覚士は高齢者施設に就職することが多く、吃音に対応できる人は少ないという。森部長は「十分な対策をとりたくてもできない」と話す。
 悩みのある人は耳鼻科医や言語聴覚士に相談することになるが、診断や訓練などを十分に受けられないことも多い。受け皿の整備が求められている。
吃音の治療ガイドライン作成。これは一定の評価はできる。
吃音が治療できるなら、筆者も治したいものである。
ただ、問題なのは吃音はそもそも全員が全員治るものなのか?
ある一定の年齢でなになにをすれば治るものなのか?
それとも何をどうやっても治らない吃音もあるのか?
こういったことも判明していけば嬉しいが。

―――吃音治療ガイドラインだけでよいのか?

吃音を治療するべきだ治すべきだという医学モデル、医療モデルではなく、吃音をもったまま生きていける日本社会の構築も同時にやっていかないとならないだろう。社会モデルである。
吃音でうまく話せないこと、発話発語できないことの不利益は発達障害者支援法や障害者基本法、精神障害者保健福祉手帳、障害者権利条約、障害者差別解消法でも対応できる。

吃音を治療しなければいけないという価値観のガイドラインを作成するよりも。
吃音を診断するガイドラインを作成し、その後の生き方は当事者の自己決定権に委ねるという視点も忘れてはならない。精神障害者保健福祉手帳を取得してオープン就労、精神障害者保健福祉手帳を取得してクローズド就労する際のガイドラインも考えてほしいところである。

もしも吃音は治すものであるという価値観が広がれば、そのうち出生前診断の中に「発達障害があるかどうか」を調べる時代になったときに吃音のある子どもを出産しないということにもつながりかねない。

例えば東京大学、大阪大学、京都大学、同志社大学、早稲田大学などが協力しているこの研究がある。
構成論的発達科学-胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解-
http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/about

http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/archives/42#A01

この研究では各分野の研究者が横断研究をし、発達障害を多角的に解明していくという。
しかし、この研究の目的は発達障害を持った人がこの世に誕生しないように生まれないよにするためではなく、発達障害があってもこういう配慮やこういう方法があって、こうやって生きてけるんだ。と勇気づけるものだという。当事者にも親にもどのような支援が必要?周囲の人はどう接する?という視点だ。発達障害を治すよりも発達障害があってもこうやって生きていけるという視点である。

吃音業界では吃音を治せ。吃音を治せ。吃音を治せ!!!という価値観がまだまだ消えないということである。吃音治療ガイドラインだけではなく、別の視点を入れてほしいのである。吃音業界の医療従事者も上に書いたこういった研究者とつながってほしいと考える。

吃音を持つ子どもの親は保護者は「なぜ。子どもが吃音だと困るんだろう。悲しくなるんだろう。子どもの吃音を治さないといけない」と考えるのか?
親、保護者向けのアンケート調査も必要だろう。
たとえば「お父さん、お母さんの職場では発達障害者や吃音者が働いていますか?」、「働いている人はどのような条件で働いていますか?」、「吃音を持った子どもは不幸だと思いますか?」こういったアンケートを行い、そもそも日本社会が吃音を含め発達障害児者に厳しい価値観なのではないか?という仮定をして問題解決するアプローチがあってもよいのではないか?とも考える。


記事終盤でも
 悩みのある人は耳鼻科医や言語聴覚士に相談することになるが、診断や訓練などを十分に受けられないことも多い。受け皿の整備が求められている。
という書き方がされているが。そもそも吃音のある人は耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士に相談するだけで良いのだろうか?発達障害分野につよい精神科医師、社会福祉士、精神保健福祉士などともつながるべきではないか。


―――北里大学東病院について
記事終盤は北里大東病院の事例が書かれている。
こちらは大人の場合という内容である。
吃音について治療のマニュアルはないというのが印象的だ。
それでも少しでも吃らないように、吃りを減らせるようにというのは吃音当事者の切実な願いだろう。
北里大東病院を訪れる人が存在するということは、吃音を持ったままでは生きられない、日本社会が吃音を許容していないということがうかがえる。



■2 日本経済新聞の吃音記事 この研究はどの組織がやっているの?
日本経済新聞を読んだだけではわかりませんでした。
調べた結果
発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト
http://www.kitsuon-kenkyu.org/
というグループが行っていたということがわかりました。

―――構成メンバーは?
メンバーは以下の通りです 2017年9月18日閲覧時点
氏名所属担当
研究代表者森浩一国立障害者リハビリテーションセンター全体統括/青年~成人期の治療研究
研究分担者原由紀北里大学疫学調査/介入研究
宮本昌子筑波大学疫学調査/介入研究
小林宏明金沢大学疫学調査/介入研究
菊池良和九州大学病院疫学調査・介入研究
酒井奈緒美国立障害者リハビリテーションセンター疫学調査統括・青年~成人期の治療研究
見上昌睦福岡教育大学ガイドライン作成
前新直志国際医療福祉大学ガイドライン作成
川合紀宗広島大学ガイドライン作成
坂田善政国立障害者リハビリテーションセンターガイドライン作成/介入研究統括
北條具仁国立障害者リハビリテーションセンター青年~成人期の治療研究統括
金樹英国立障害者リハビリテーションセンター合併症への対応
研究協力者大野裕国立精神・神経医療研究センター認知行動療法に関する助言
堀口寿広国立精神・神経医療研究センター啓発活動に関する助言
須藤大輔薩摩川内市鹿島診療所疫学研究に関する助言
宇高二良宇高耳鼻咽喉科疫学調査

構成メンバーは主に、吃音業界で吃音研究をしているおなじみの人達だ。
ただ、発達障害を専門するに著名な医師や社会福祉士や精神保健福祉士養成学校の教員、
社会学者の参加はない。ソーシャルワークについて研究やガイドラインは作成しないのだろうかと心配になる。あくまで吃音を治療することが重視されているようだ。
また就労移行支援などの視点も不足しているように見受けられる。

―――研究予算はどこが出している?
この研究予算は国立研究開発法人日本医療研究開発機構  
http://www.amed.go.jp/

から出ている。

詳細は平成28年度「認知症研究開発事業」「長寿科学研究開発事業」「障害者対策総合研究開発事業」の採択課題について の中にある。
障害者対策総合研究開発事業→(イ)感覚器障害分野→発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成 国立障害者リハビリテーションセンター 森 浩一

http://www.amed.go.jp/koubo/010420151125_kettei.html

と説明がある。


―――この研究の目的は何?
この研究の目的については
ホームページにこのように書かれている。
研究の詳細 http://www.kitsuon-kenkyu.org/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%AE%E8%A9%B3%E7%B4%B0/

1) 幼児吃音への支援ガイドラインの作成
1a) 幼児の疫学調査
幼児吃音への早期介入システムの開発
1b) 幼児の介入研究
1c) 合併症のある幼児の対応
2) 中高生・成人の認知行動療法による治療
2a) グループ訓練
以上が行われるという。

メインは幼児期の吃音について子どもや保護者向けに支援するようだ。
吃音児への早期介入システムも開発するという。
ここがX歳までになにかをすれば吃音が消失または寛解するというところだろう。

合併症がある子どもへの対応であるが。こう書かれている
吃音のある幼児さんの中には、自閉スペクトラム症や注意欠如多動性障害(ADHD)、構音障害といった他の難しさを併せ持っているお子さんが少なくありません。幼児の介入研究を行う中で出会う、このような合併する問題があるお子さんの経過や、研究班のメンバーのこれまでの臨床経験、文献レビューをもとに、合併症のある幼児の対応に関するガイドラインを作成することも、本研究では目指しています。
まずは子どもへの対応であるが。しかもこれだと、吃音を主訴にした子どもに他の発達障害や症状があった場合に読める。例えば(耳鼻咽喉科ではなくて精神科病院などで)発達障害を先に発見された子どもに吃音があった場合の展開を想定していないように見受けられるので、国リハの精神科医師1人だけではなく、このような部分はなおさら、発達障害に強い精神科医師が入るべきだと思う。吃音を普段研究する環境から作るガイドラインでは不足である。発達障害児者を診療する精神科医師も入るべきだと考える。

もちろん幼児だけではなく、成人している吃音者の中にも「発達障害」を持った人いるのではないか?という研究もしてほしいところ。ここは吃音業界の派閥抗争、戦争、当事者会分裂、当事者団体分裂、ソーシャルワークの失敗を含めて研究してほしいものなのだが。今回の研究グループのこのような危機感を持った研究者がいないことが残念である。

そもそも厚生労働省もこのように調査をしている
平成28年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業指定課題15「発達障害当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」を委託し、結果がでている。
http://jdda.or.jp/info/chousa2016_15.html

なかでは当事者会運営における、トラブル。運営スタッフ内の喧嘩や主義主張の違い、結果的に団体を分裂させる、発展的解消と称して会を潰す、発達障害者どうしのトラブルを第三者機関が仲裁するというサービスを希望する当事者の声も聞かれた。しかし、この話を聞いていて思うのは吃音業界が1960年ころから繰り返している歴史だということがよく理解できるためである。発達障害者の間で起きているトラブルはそもそも吃音業界が昔むかしからやっていることなのだ。

●「発達障害当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」に関連する報道
発達障害 85%が「就労支援必要」
 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14HC0_U7A710C1000000/

「本人が自覚していないと周りが振り回される」「事務作業が苦手」大人の発達障害当事者会で見えた課題 池上正樹
https://news.yahoo.co.jp/byline/masakiikegami/20170731-00073946/

「大人の発達障害」当事者会の国内初の調査報告 参加者は30~40代男性が突出
池上正樹
https://news.yahoo.co.jp/byline/masakiikegami/20170705-00072937/

大人の発達障害、悩み話し合う 当事者の交流必要 初の全国調査 /東京 
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170819/ddl/k13/040/011000c

全国の発達障害当事者会が一堂に会する日本初のフォーラム!〜発達障害当事者会フォーラム2017〜 りたりこ発達ナビ
https://h-navi.jp/column/article/35026532



―――2) 中高生・成人の認知行動療法による治療 2a) グループ訓練
について。
ここでも吃音を治すことについて重視されている。
これも仕方ないのかもしれないが…。

例えば、就労移行支援事業所やどのような合理的配慮があれば吃音者と一緒に働けるのか?という雇用する側、一緒に働く側のことについて触れられていないのだ。吃音のある人同士の訓練や吃音を治療する医療従事者との訓練だけだと実社会では使えない可能性もある。吃音者と医療従事者以外がいることにより、より実社会に近い状態になるわけである。

また、実社会でも、無理に発語発話するよりもテキストチャットやメール、筆談してほしいという要望もあるだろう。

この部分も今後、もっと別の視点がある研究者が加入して方法を編み出してくれると期待する。




以上
2017年8月7日 日本経済新聞の記事を読んで思うところである。




「吃音」幼少期20人に1人 治療ガイドライン作成へ
2017/8/7付 日本経済新聞 朝刊

 話すときに言葉がつまったり同じ音を繰り返したりする「吃(きつ)音」について、実態調査や有効な対策を探る動きが進んでいる。幼少期には約20人に1人にみられ、そのうち約7割は自然になくなるといわれるが実態はよく分かっていなかった。学校など日常生活を過ごしやすくするための明確な治療ガイドラインもない。担当できる専門家の医師や言語聴覚士が少なく対策が遅れていた。
 吃音は専門家の間でも病気や障害としてのとらえ方や、治療や対策の考え方に違いが出る難しい分野だ。世界保健機関の定義をもとに、厚生労働省は吃音症という病気の分類を設けている。これに沿って診断を受けると発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合もある。
 吃音の症状は「おおおおかあさん」などと音を繰り返す、言葉につまる、「ぼーく」などと言葉を伸ばすことが代表的だ。自身が吃音の九州大学の菊池良和助教は「頭の中では話しているつもりだが、タイミングがあわず、つまった感じになる」と説明する。
 いつも言いよどむわけではなく調子の波がある。周囲にも左右され、誰かと一緒に同じ文章を読んだり、メトロノームに合わせて文章を朗読したりすると症状が出ないことも多い。
 原因は遺伝的な要因や脳の機能障害なども指摘されているが、明確には分かっていない。緊張や不安、ストレスは原因ではないが、症状が悪化する要因になると考えられている。
 2~4歳から症状が出始め、幼少期は20人に1人にみられるが、約7割は3年ほどで自然になくなる。成人になると100人に1人になるともいわれている。だが国内の実際の対象者数はきちんと調査されていなかった。
 そこで国立障害者リハビリテーションセンターが中心となり、3歳児健診などの際に吃音を調べる調査を昨夏から始めた。自治体と連携して親にアンケート調査をし、必要ならば面談もする。言葉の繰り返しの状況などを確認する。4カ月ごとに質問用紙を送り、計2000人を調べる。
 調査期間は2年。今年3月の集計では約5%が吃音と推定された。同センターの森浩一部長は「幼児全体では5%よりもっと多いと考えている」と話す。調査を続けると増える可能性があるとみている。
 一般に、8歳になるころから、症状はなくなりにくくなるといわれる。早期に日常生活の対策となる訓練を受ける必要性が指摘されている。森部長は「半数以上は自然になくなるため、支援のかけすぎという声もある。費用対効果を考えて、最適な介入のタイミングを調べたい」と話す。
 診断は音の繰り返し、子音と母音の長さ、単語の途切れなどの症状をみる。幼児や小学生、中学生以上と年齢に合わせて検査する。
 子どもの対策では、海外で開発された手法「リッカムプログラム」を使う医療機関が増えている。家庭で吃音の子どもの発言に対して声をかけていく方法だ。
 流ちょうに話せたときはほめたり、「いまのどうだった」などと自身の評価を聞いたりする。明らかにつまったときなどには「ちょっと疲れてたね」などと指摘し「さっきのすらすらでどうぞ」と言い直しを促す。指摘よりも褒める頻度を増やすことが重要ともいわれる。言語聴覚士がかける言葉の内容やタイミングなどを家族に定期的に助言しながら進める。
 国内では以前から「環境調整法」と呼ばれる方法が使われている。子どもが楽に話しやすい環境を整えることで滑らかに話す力を伸ばす。症状に合わせて、吃音が出にくい話し方の練習も組み合わせる。
 九大の菊池助教は「話し方をアドバイスするのではなく、話を聞いて内容に注目して自信を育ててほしい」と指摘する。家庭で子どもが話せずいらいらしていたら、順番に話すなどの工夫で話す意欲を育てる。
 現場では様々な取り組みが進むが、国内の学会などによる治療ガイドラインはまだない。そこで国立障害者リハビリテーションセンターなどは、これらの対策の効果を探る多施設での試験を昨秋始めた。約2年で結果を出し、ガイドラインの作成につなげる狙いだ。
 この分野は専門家不足が指摘されている。実際に訓練などをする言語聴覚士は高齢者施設に就職することが多く、吃音に対応できる人は少ないという。森部長は「十分な対策をとりたくてもできない」と話す。
 悩みのある人は耳鼻科医や言語聴覚士に相談することになるが、診断や訓練などを十分に受けられないことも多い。受け皿の整備が求められている。

■大人の対処法 悩みにあわせ練習提案
北里大学東病院では、その人にあった練習法で支援
 「『いらっしゃいませ』や『ありがとうございます』がうまく言えない」。北里大学東病院を受診した吃音の人の悩みだ。アルバイトを始めたが、流ちょうにあいさつできないときがあり、このままでは仕事に支障があると考えて来院した。

 中高生や大人になると、吃音の対策は、実際に社会生活で言えなくて困っている言葉や苦手な場面でも話しやすくする訓練をするのが中心だ。電話や面接での名のり方などそれぞれ言いたいことがうまく言えなかったり苦手に思ったりして悩んでいる。それを聞き、症状や悩みにあわせた練習方法を提案する。

 練習の基本は力を抜く、話す速度を変える、息の吸い方を変えるなどがあり、試しながら、その人にあった方法を探ることになる。同病院の言語聴覚士、安田菜穂さんは「吃音の治療にマニュアルはない」と話す。

 国立障害者リハビリテーションセンターなどは、中学生以上を対象に認知行動療法を生かしたグループ訓練法を開発した。5~6人のグループで週に1回、約3時間かけて話す訓練などをする。例えば、言葉が滑らかに出てこなくても、やめずに続けて話すようにする。今年からこの訓練法の臨床研究を始めており、2020年度まで実施して効果を探る。

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO19661070U7A800C1TCC001?channel=DF140920160921